Gunosy(グノシー) 特別調査委員会による調査結果を公表

法令に違反する不正な広告を作成、配信していたことに関し、特別調査委員会を設置し調査してきましたが、10/8、その調査結果を公表しています。子会社digwellが違法広告を作成し、グノシーがこれを配信していたというものです。

きっかけは報道

今年3/17、毎日新聞が違法な広告に関する記事を掲載したのがきっかけのようです。「スマートフォン向けニュースアプリ大手の「Gunosy(グノシー)」の子会社が、化粧品や育毛剤などについて、架空の「口コミ」や関係のない写真を使うなどした虚偽の広告を制作、配信していたことが明らかになった。」といった内容です。

ネットを使用する人ならすぐにピンとくるヤツですよね。シミが消えたとか、ふさふさ毛が生えてきた、簡単に痩せられるサプリ、、、っていう怪しい広告です。薬機法違反ですね。薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)では、医薬部外品や化粧品等についても誇大広告を禁止しています。

手口 あるある

子会社のdigwellにおいて、売上を獲得するという目的で、あるいは、同業他社も同じような記事を作成しているからという理由で違法広告を作成していたということです。法令遵守の意識はほぼみられません。それを配信してきたグノシーにしてもそうですね。手口は次のようなものだそうです。

1 実際に商品を使用、体験していないにもかかわらず体験した結果のように創作した記事(体験風記事)
2 商品を使用した体験者のような口コミを創作した記事(創作口コミ記事)
3 フリー素材等から購入した写真画像を利用して商品を使用した体験者として記載した記事(別人使用記事)
4 商品を使用する体験者の使用前(before)と使用後(after)の写真画像を並べて掲載する記事(BA 並列記事)

なお、東京都薬務課は9/20、薬機法違反があったとしてグノシーに対して再発防止を求める行政指導を行っています。

理研ビタミン(4526) 特別調査委員会 やりなおし~

7/27、特別調査委員会の設置を公表した理研ビタミン株式会社。9/23、同委員会の調査報告書を受領し、開示しました。取引の実在性を確認できず、売上原価相当分である120億円ほどを特別損失に計上するという雑な結論を出していましたが、、、やっぱり次が出てきました。

青島福生食品

舞台はまたしても青島福生食品です。前回はエビ加工品の取引の実在性が問題になっていましたが、今回は鱈などを中心とした水産加工品だそうです。一部が通常とは異なる低価格で売上計上され、それに伴い約 26 億円の営業損失が計上されていたとのこと。

青島福生食品と同社との間で、在庫の仕入・製造時期についての認識に相違があることが判明し、過年度においてそれらの評価が適切に行われていなかった疑い、およびその結果と
して、過年度の連結貸借対照表上の棚卸資産が過大に計上されていた疑いが生じているとのこと。

少し前に取り上げた小倉クラッチの子会社と同じですね。期末の棚卸資産を過大に計上することで、売上原価を抑え、利益を大きく見せるという手口です。

脇の甘さ

前回の特別調査委員会が調査を終え、報告書をあげてからまだ2週間ほどです。決算を締めるためにやや強引に特別損失を計上して終わらせたツケが早速、、、って感じです。どうもこの会社、脇が甘いんですね。今回の開示文書にも次のようなくだりが。

「青島福生食品以外の海外子会社については買収によるものではなく、当社が設立から関与しております。また、当社の熟知した事業領域であり、当社から代表者をはじめとする管理者が派遣されていることから、日ごろのコミュニケーションが緊密であり、経理面や業務推進上の管理・統制が十分に図られております。したがって、今回の調査は青島福生食品のみを
対象といたします。」

ね、甘いでしょ。

サクサホールディングス 特別調査委員会の調査結果を公表

サクサホールディングスは10/7、同社グループにおける不適切な会計処理等に関して、特別調査委員会の調査結果を公表しました。調査報告書を受領し、連結業績への影響等も開示しているので、上場維持期限の12日までに四半期報告書等の提出が可能になりそうです。

調査報告書全385ページ

いやぁ、凄いことになってたんですね。調査報告書は別表等含まず385ページです。調査委員会を設置した当初の調査対象、サクサシステムアメージングの架空取引疑義から、どんどん他へ拡大し、グループ各社で不正が行われている実態が明るみに。

事案のタイトルだけ拾ってみると・・・

1 サクサホールディングスにおける不適切な決算調整
2 ソフトウェア開発における会計不正及び誤謬処理
3 サクサテクノ における不正な決算調整(仕掛品勘定の調整)
4 グループ間取引における架空の修理取引による売上計上等
5 架空の資産計上疑義事案について
6 サクサ及びサクサシステムアメージングにおける不正な売上計上(スルー取引)
7 サクサシステムアメージング及びサクサテクノにおける不正な売上の前倒し計上
8 サクサプレシジョンにおける不正な会計処理等
9 コアタックにおける不正な会計処理
10 X0 に関する不適切な会計処理(X0は非開示)
11 中国における贈答行為

特別調査委員会は、委員4名でスタートしましたが、上記のように別件疑義が多岐にわたって検出され、調査範囲が拡大したことから、最終的には補助者の人数を44名まで増やしたそうです。調査費用1億円近くになってそうですね。

上場維持

10月12日までに四半期報告書の提出ができなかった場合、同社株式は整理銘柄に指定された後、上場廃止となる見込みでした。が、、これで何とか上場は維持できるのかな。しかしながら、上場企業としてステークホルダーからの信頼を取り戻すことができるかどうか。。。役職員の努力は、ここからが始まりです。

小倉クラッチ(6408) 特別調査委員会を設置

JASDAQ上場の小倉クラッチは10/5、特別調査委員会を設置したことを公表しました。同社の子会社で不適切な会計処理が行われていたこと、また別の子会社では元従業員による横領の可能性が出てきたため、これらの全容解明のため同委員会を設置したとしています。

ORC(Ogura Racing Clutch)

小倉クラッチ株式会社は、群馬県桐生市に本社を置く、クラッチ/ブレーキの会社です。マニュアル車でよく聞いたクラッチ、半クラとかっていうあれです。モータースポーツ好きの方ならブランド名ORCでよくご存じだと思います。レース用強化クラッチやら、スーパーチャージャーとかも作ってますね。

多種多様な製品を提供しているようで、カーエアコン用クラッチや、オフィスで使用するプリンターや複合機(コピー機)の中で使われるマイクロ電磁クラッチなども作っています。他にも高圧クーラントやオイルミスト除去装置なども(これらはkuniには説明できません)。

棚卸資産の過大計上・横領

そんな小倉クラッチが今回公表したのは、在外子会社2社(開示情報ではこう表現されています)において、約780百万円、棚卸資産を過大計上していた可能性があるということです。また、この2社とは別の在外子会社では、元従業員による横領の可能性が判明したとのこと。

横領に関しては「現在、事実関係の把握を行っている段階」としていますが、元従業員といってますから既に解雇されていて、横領の事実までは把握済みと思われます。ただし、横領金額については触れられていません。

棚卸資産の過大計上は、企業の粉飾決算の典型的な手法です。期末の棚卸資産を過大に計上することで、売上原価を抑え、利益を大きく見せることができます。現時点で分かっているのはこの辺りまで。また調査結果が出てきましたら取り上げます。

ひらまつ(2764) 創業者による訴訟の提起

ひらまつは10/5、同社の創業者である平松博利氏が経営するひらまつ総研から東京地方裁判所において訴訟を提起され、10/3に訴状の送達を受けたことを公表しました。ここにも創業者と現経営陣との争いが、、、。訴訟の請求金額は10億円を超えています。

平松博利氏とひらまつ

平松氏はホテルオークラのフレンチレストランに従事し、フランスにわたり、パリのレストランで修業。帰国後に西麻布にレストランひらまつ亭を開店しました。その後店舗網を拡大し、フランス・パリにオープンした店舗は、開店4カ月でミシュランの星を日本人オーナーシェフとして初めて獲得したという方です。

そして、2003年にジャスダック、翌年には東証2部(現在は1部)に、高級フランス料理専門店として初の上場を果たしています。一流のシェフでありつつ、起業家としても成功された、、、そんな方なんですね。

フランス料理店は全国に29店舗展開されていて、ほかにウエディング、ホテル経営など、事業領域を拡大しています。2016年に同氏は社長の座を降り、代表権のない会長に就任しています。

訴訟の提起に至るまで

同社は2016年7月以降、平松氏が経営するひらまつ総研とホテル開発、レストラン運営のの助言等に関する契約を締結していたようです。が、しかし、2019年12月、この契約を2020年3月末をもって解約する通知をしたとしています。

この間の2019年8月、同社はアドバンテッジアドバイザーズというコンサル会社と事業提携契約を締結し、20億円の第三者割当増資も実施。その後の株主総会を経てアドバンテッジから社外取締役も受け入れています。

どうやらこの辺りから創業者が邪魔になってきたようですね。そして今年に入ってコロナの影響をもろに受け業績が悪化、元日本マクドナルドの役員を新社長に。増資により調達した20億円も、ホテル開発に充てるはずが、開発中止に追い込まれ、資金使途の変更のお知らせも。。。

そこへ、今回公表した創業者からの訴訟提起、、、なんとまぁ、酷いことになってきました。