住友ゴム工業(5110) 子会社で架空取引

ゴム製品の架空取引を繰り返し、住友ゴム工業の子会社「住ゴム産業」に約9000万円の損害を与えたとして、警視庁は28日、同社元社員(50)を背任容疑で逮捕しました。架空取引は2011年ごろから50回以上、取引関係があった複数の企業を相手に繰り返されたといいます。

架空取引

平成27年、斜面の崩落防止などに使うゴム製品を宮城県の建築資材販売会社から仕入れて、都内の土木工事の設計会社に販売するという架空の取引を装って、会社におよそ9000万円の損害を与えたということです。

約10社の会社と架空の取引を行う、いわゆる循環取引を繰り返し、これまでの捜査で、平成28年までの5年間に、あわせて17億円の架空の取引が確認されているとのこと。架空取引の中で、一部をキックバックする手口で、あわせて数千万円を不正に着服した疑いがあるということです。

生活費や遊興費が欲しくて

容疑者の元社員は50歳。生活費や遊興費が欲しくて架空取引を行ったと。そして、容疑者は取引先に架空伝票を作成するように持ち掛けていたといいます。さらに、取引先には別の取引を繰り返すなどして利益が出るように仕向けていたようです。このあと、他の取引先でもこの架空取引を通じた損害が表面化してくるんでしょうね。

しかし、最近多いですよね。架空発注、架空取引、循環取引。当ブログで取り上げたものだけでも10社は軽く超えているのではないかと思います。

こうした不正、数年間に及ぶことも少なくありません。企業としてのガバナンスが効いてなかったために発生してしまったのは事実なんですが、一方でようやくガバナンスが効くようになってきたからこそ、実態が把握されるようになってきたという面もありそうです。

ストップ高 東証 制限値幅の拡大運用

コロナショックを何とか乗り切り、買い下がっていたインデックス投信はすべて利益を出して売却することができました。そして、コロナが追い風になる可能性が高いだろうと、売らずに残していた唯一の保有株式がストップ高。買値の2倍近くに、、、ありがたいことです。

東証制限値幅

東証では一日の売買における値動きの幅を価格水準に応じて一定に制限していて、この値幅を制限値幅といいます。例えば、前日の基準値段(終値と考えて良いです)が500円以上700円未満の銘柄は、制限値幅は100円。つまり、当日上下100円の幅しか動きません。

1000円以上1500円未満の銘柄なら上下300円。こんなふうに決まってるんですね。700円以上1000円未満であれば、上下150円なんですが、このゾーンの値幅は、kuniが相場を職業にしていたころにはなかったような気がします。

制限値幅の拡大運用

こんなふうに一日に動ける値幅が制限されているわけですが、一方で需給が偏り、株価の方向性が明らかな場合には、売買を早く成立させた方が良いので、例外的な措置が取られることもあります。一定の要件(連続してストップ高やストップ安して売買が成立しないようなケース)を満たすと、制限値幅を2倍に拡大するという運用です。

8/3からは4倍に

それでもなかなか売買が成立しないケースがあることから、8/3から制限値幅の拡大運用が4倍に拡大されました。その記念すべき8/3にkuniの保有銘柄がストップ高したんですが、値幅拡大の要件を満たしておらず、制限値幅は拡大されず。これはちょっと残念でした(欲張りすぎですね)。

東レ子会社 水道機工 第三者委員会はその後

東レの子会社である水道機工と水機テクノスで、実務経験を偽って国家資格である土木施工管理技士を不正に取得していた件。3/27に第三者委員会設置のお知らせがあってから既に4カ月以上が経過しました。その後どうなったんでしょうね。

委員の追加選任

第三者委員会はちゃんと機能しているんでしょうか。まぁ、新型コロナウイルスの感染拡大という影響はあるんでしょうが、5/14になって委員を2名追加するお知らせが出てます。二人とも弁護士先生ですね。

しかし、このタイミングで追加とは???会社は「より機動的な調査体制の強化を図るため」としていますが、、、。本来なら調査結果が出ていてもおかしくないタイミングです。

この5月のお知らせの中で、「第三者委員会による本件調査は、本日(5/14)から約2か月半を目途に延長します。」としていました。ということで、既に8月に入りましたから、2か月半が経過したことになります。そろそろ調査結果出てきますかね。

経営の関与

同社の実務経験虚偽については、何といってもどこまで会社が、というか経営が関与していたのかというところが注目されます。「経験がない方でもやり方次第」などと書かれた社内の試験マニュアルの存在も報道されていますし、経営のどの辺りまで巻き込むのか、、、その落としどころでもめているのかな。

などと、ついつい考えてしまいます。5/27に取締役(監査等委員)がお一人辞任されてます。一身上の都合により、ということになってますが、場合によってはこの方も責任問われる立場ですしね。この辞任もちょっと気になります。

それにしても、朝日にスクープされて初めて開示。第三者委員会を設置したものの、委員の追加や調査期間の延長など、、、何もかも後手後手って感じです。おそらく今週中には何かしら開示しないとね。コロナのせいにしてまた延長とか?

サンテック 従業員の不正行為 1億3400万円

株式会社サンテックは7/30、「当社従業員による業務上横領の疑いについて」という開示を行いました。同社は東証2部上場の「総合設備工事のリーディングカンパニー」(同社ホームページ)だそうです。1948年創立という歴史のある企業です。

山陽電気工事株式会社

最近のカタカナ企業や英語表記企業ってほとんど知らない企業なんですが、社名を改める前の企業名でやっと思い出せたりします。サンテックもピンときませんでしたが、1992年に現社名になる前は「山陽電気工事」なんですね。この社名なら分かります。元は広島の会社です。

業務上横領の疑い

開示情報によると、事件が起きたのは、竣工引き渡し済みの電気工事現場。「当該現場の最終清算が遅延していることから当該従業員に連絡し、事業所に出社するよう指示しましたが、当該従業員は出社することなく連絡が途絶えました。」、、、いやぁ~な展開ですね。

同社は直ちに当該現場の調査を実施し、書類の改ざんによる横領の疑いが発覚したとのこと。引き渡し済みの工事現場で書類の改ざんが行われて横領が発覚、、、という流れがいまいち理解できません。すみません、業界に土地勘がないもので。

現場に残されていた書類等から、これまでの顧客との取引内容が虚偽であることが分かった、、、みたいな感じでしょうかね。現時点で判明している損害額は1億3400万円で、全額回収は厳しいとのこと。

総合設備工事の業界

当ブログでも取り上げましたが、今年5月には、日比谷総合設備で従業員の不正が発覚しています。こちらは取引先従業員と共謀した架空発注によるものでした。5億8000万円の不正でしたね。この事件との関係はあるんでしょうか。

こうした事件が起きた際、ほとんどの企業が「当社元従業員の・・・」と、表現するんですが、サンテックは「当社従業員の・・・」としています。潔いですね。当該従業員が行方不明になっているため解雇できず、、、そのため現在も社員なので、元従業員と記すことができなかったっていうことでしょうか。

無駄な書面 金融審 「重要情報シート」

7/30 金融庁ホームページで、金融審議会「市場ワーキング・グループ」議事次第が公表されました。投信の比較が容易になるとかいう新たな書面のプロトタイプも掲載されています。予想通り、契約締結前交付書面と内容がカブリまくりです。

市場ワーキング・グループ

メンバーは法務の神田先生を座長に、各界から有名人が委員として参加しています。凄く賢くて、偉い方々ばかりなんでしょうが、おそらく自分で投信や仕組債を販売した経験のある方はいないでしょうね。机上の空論とはまさにこのことです。

顧客本位の業務運営をさらに進展させるための方策と、超高齢社会における金融業務の在り方。大きくはこの2本がテーマとなっています。前者のテーマの中で、「顧客にとって分かりやすい情報提供のあり方」という段落で、「重要情報シート」なる新たな書面が検討されています。

重要情報シート

投資リスクのある金融商品・サービスの提案・選別の場面において、例えば、顧客にとって分かりやすく、各行法の枠を超えて多様な商品を比較することが容易になるように配慮した書面。これが「重要情報シート」だそうです。

この重要情報シート、別添で例として提示されています。契約締結前交付書面や目論見書と内容がカブリまくり。と思ったら、委員の中にも「他の資料との役割分担を重視するべき」との意見はあったようです。

しかしまぁ、机上の空論です。資料を交付して営業員が説明すれば、顧客はそれを時間を掛けて聞いてくれて、時間を掛けて理解してくれるということが、議論の前提になってるんですよね。現場は全然そんなことないです。

あともう一つ、交付すべき書面や説明するべき項目が増えること自体が、顧客の理解を妨げるということ。完全に理解、比較してもらうためにあまりに多くの情報を提供しても、顧客はそれを受け止め、消化しきれません。委員の皆さんのように能力の高い顧客ばかりではないんです。