SMBC日興証券 元社員のインサイダー取引に有罪判決

オフィス家具のイトーキが実施したTOBをめぐり、インサイダー取引を行ったとして、金融商品取引法違反に問われていた元SMBC日興証券社員鈴木直也被告。大阪地裁は懲役2年、執行猶予3年、罰金200万円の判決を言い渡しました。

事件のおさらい

事件は2016年8月ころ。ダルトン株に対するイトーキのTOBについて、公表前にその情報を知った鈴木被告は、知人の山脇氏に伝え、山脇氏がダルトン株を29万6千株(約5300万円)を買い付けたというものでした。詳細は下の関連記事をお読みいただければ。

調査によりこの事実を検知した証券取引等監視委員会は、2018年、鈴木被告を金融商品取引法違反容疑で大阪地検に告発。大阪地検特捜部は同年11月末、鈴木被告と山脇氏を逮捕しています。で、その裁判の結果が8日に出たという流れです。

SMBC日興の一人負けだね

2012年に発生した、執行役員(当時、三井住友銀行から出向中)がTOBに係るインサイダー情報を知人に提供し、3600万円の利益を得たという事件。こちらは、最終的に横浜地裁で教唆犯が成立しています。

今回のイトーキTOBに係るインサイダー取引も、とりあえず一審では有罪判決となりました。SMBC日興の役職員は二人とも有罪です。会社としての責任も重いものがあります。

さらに、SMBC日興証券が事件のおかげで社会的信用を失ったとして、この元執行役員を相手に損害賠償を求めていた件は、、、残念ながらこの請求は棄却されました。

とまぁ、同社にとって鬼門のTOB。訴訟の結果を見ても踏んだり蹴ったりです。

ネットワンシステムズ 東証へ改善報告書を提出

6/5、ネットワンシステムズは東京証券取引所から求められていた、「改善報告書」を提出したそうです。昨年12月から特別調査委員会で調査し、架空循環取引や原価付替取引が発覚した件についてですね。なかなか立派な改善報告書ですが・・・。

これで一区切り

改善報告書においても、架空循環取引は当時マネジャーのA氏単独の不正行為であり、社内において組織的に実行されたものではない。。。という見方を崩していません。が、その割にはかなり大掛かりな再発防止策。これを提出して一区切りということなんでしょうね。

しかし、ここ10年間で2度の架空取引事件の舞台となってしまった同社です。取引所はルール通りに報告書を受け取ってお終いかもしれませんが、世間はそうは見てくれません。改善報告書に内包された再発防止策、ちゃんと実現できてナンボです。

施策の評価

再発防止の施策の数々。ここではいちいち取り上げられませんが2点だけ。まず一つは対官公庁ということで設けられていた霞が関オフィスの撤収です。本社の2線、3線機能が及びにくい別ロケーションのオフィス撤収は正解だと思います。多分この施策が最もコスパ高いです。

そして二つ目が「属人化の防止」。同一顧客の担当期間が5年以上になると、必ず異動または担当顧客の変更を行うという施策です。金融機関でも同じルールがありました。ところが金融界ではここ数年でこのルールが廃止されています。

顧客に寄り添い、顧客本位で付き合うためには長期間担当するべきでは?という考え方が出てきてるんですね。顧客担当者が定期的に交代することは、一方で顧客満足度を低下させてきました。少なくとも金融界では。属人化による弊害に関しては、他の改善方法を検討してみた方が良いのではないか、、、と思います。

レオパレス21 2020年3月期 800億円の赤字

6/4 レオパレス21は、2020年3月期の業績予想数値を大幅下方修正しました。当期の最終損失は304億円→803億円。なんとほぼ500億円の下方修正ですね。これマジでヤバくなってきました。同社にもやはり新型コロナの影響がここから大きく出てくるでしょうし。

純資産が

この時期にまだ予想の修正かよ、って感じですね。2019年3月期の最終損失は687億円でした。で、同期末の純資産額は813億円まで減少しています。つまり2020年3月期の期初の純資産額が813億円でスタートし、803億円、、純資産がほぼ吹き飛んだことになります。

入居率

同社のサブリースの特性上、80%を下回ると逆ザヤになると言われている入居率の推移。昨年10月に初めて80%を割れ、年末まで下げ続けました。今年に入って3月までの3か月間は80%を超えて推移し、3月は83.07%まで回復してたんですね。

ところが4月は81.40%まで下落してます。一旦は回復の傾向が見られていましたが、おそらく新型コロナの影響が出始めたんでしょう。先ほどの803億円の損失はあくまで3月までのもの。4月以降のコロナの影響はこれからです。相当マズいことになりそうです。

外部からの出資

正直言って、レオパレス21の自力での回復はもう無理っぽいですね。日経の記事でも「外部からの出資を募るしかない」と、ある証券会社のアナリストの見立てを載せていました。物言う株主が同社株の44%を保有しているため、他者が手を出せないとも書いてます。

続報で1000人の希望退職者を募ると伝えられましたが、最後はメインバンクがどう考えるか。ですかね。りそな銀行も関連するローンを相当抱えているようですし、どう判断するんでしょう。時間はあまり残されてません。

野村證券に見る証券界の向かう先

6/4付け日本経済新聞に、「個人向け証券営業に成果報酬型も」という記事が。野村が個人向けの証券営業で、成果報酬型の手数料体系の導入を検討していると伝えています。大手証券として業界をリードしてきた野村の動向。対面証券他社も追随するんでしょう。

まずは預かり資産の一定割合を報酬として受け取る仕組み

日経では、成果報酬型の手数料体系の導入をクローズアップしていましたが、野村としてはまず、預かり資産の一定割合を報酬として受け取る仕組みの導入を考えているようです。証券業界ではこれまで、金融商品を売買する際の手数料が収益の柱でした。

今後は顧客の同意を元に、この仕組みを導入するようで、併せて金融商品の販売手数料を引き下げるんでしょうね。そうすることで、営業員の回転売買(売り買いを頻繁に繰り返すことで収益を得る)に対するインセンティブがなくなります。長期投資を浸透させる効果があるといえそうです。

さて、この仕組み日本で受け入れられるでしょうか。お金や有価証券を無料で安全に預かってくれるのは当たり前と考える日本人の常識。この壁は結構高いように思います。銀行がいまだに逡巡する口座維持手数料の導入と似ています。銀行も野村の動向に注目しているでしょう。

1%くらいかな

預かり資産の1%を手数料としていただく場合、10年間で顧客は10%の手数料を支払うことになります。長期投資においては、これは意外に大きなコストです。このコストを払ってでも受けたいと思うような、質の高い投資アドバイスができるかどうかが鍵になります。

というのが一般論だと思うんですが、、、。実際のところはどうでしょう。どれだけ質の高いアドバイスができたとしても、結果が伴うかどうか(儲かるかどうか)は分かりません。日本の顧客はこの結果にかなりシビアなんですよね。

最初の一年が経過して、結果が出ていなければ、翌年の手数料取られる前に解約。みたいなことにならなきゃいいんですが。昔、ラップでこれを経験しました。

NTTコミュニケーションズにサイバー攻撃 また狙われた防衛関連情報

NTTコミュニケーションズは5/29、攻撃者から不正アクセスを受け、一部の情報が外部に流出した可能性があることを公表しました。同社は公式には公表していませんが、日本経済新聞などによると、自衛隊関連の情報が流出した可能性があるとしています。

防衛省関連の情報

またしても防衛省関連の情報の流出です。以前当ブログでも取り上げましたが、三菱電機、NEC、神戸製鋼所、パスコなどが外部からの不正アクセスを受け、防衛省関連の情報を流出させてきました。今回は防衛関連企業ではないでしょうが、情報は自衛隊関連と言われています。

NTTコムでは、5/7に不正アクセスを検知し、同日に関連するサーバーを緊急停止、外部への通信を遮断。情報流出の疑いを11日には確認していたと言います。そのうえで、防衛省へは13日に報告しています。踏み台にされたのはシンガポールの海外拠点だそうです。

その他企業の情報も

工事情報管理サーバーから、同社のサービスに関する工事情報なども流出した可能性があるとしており、その対象となる顧客は621社だそうです。あるサービスの環境を新しいシステムに移行した後のサーバーが狙われたようですね。

今後の改善策として「新サービスへ移行中の設備に対しても、物理的な撤去が終わるまでは最新の攻撃手法に対応可能なセキュリティ対策を適用する」、とか、「お客様が利用停止される都度、不要な通信経路の停止を徹底します」などと書かれています。

公表文には発生原因が書かれていないんですが、上記改善策の書き振りで、まぁだいたい分かりますかね。

防衛関連情報の流出。国家としてのサイバー攻撃への対策は進んでいるんでしょうか。超機密ですから、対策に関する情報についても公開されないのは当然なんですが。。。気になります。