サクサホールディングス(6675) 特別調査委員会設置 架空取引も

6/24 サクサホールディングスは同社の連結子会社において、不適切な会計処理に関わる疑義が判明したことを受けて、特別調査委員会を設置し調査を開始することを公表しました。外部の専門家2名と社外監査役2名で構成する委員会です。

サクサホールディングス

聞いたことない名前の会社だったのでスルーしそうになりましたが、田村電機製作所と大興電機製作所が統合してできた会社なんですね。統合時の名称は田村大興ホールディングス。その後サクサホールディングスに商号変更しています。

元々は電話機のメーカーですが、そこから発展させ、音声と情報通信を融合させた情報通信ネットワーク関連システムやセキュリティー分野などにも展開しているようです。

不適切な会計処理

問題の会計処理があったとされているのは連結子会社のサクサシステムアメージング。不適切な会計処理とは、今回のプレスリリースで次のような疑念があると記されています。

2017年3月に計上した仕掛品に関わる不適切な会計処理(開発プロジェクトの中断、規模縮小に伴う会計処理)
2017年9月にサクサ株式会社に販売したソフトウェアに関わる不適切な会計処理(対象ソフトウェアの実在性有無と架空取引の可能性)

今のところ開示されている情報はここまで。またシステム会社の架空取引ですかぁ。実は、より気になるのは同日に開示された「(変更)剰余金の配当に関するお知らせ」の方。

当期の配当を55円として定時株主総会に付議することとしていたんですが、これを無配へと変更しているんですね。調査結果により、過年度の財務諸表に大きな修正が入る可能性があることを懸念しているようです。配当金総額は3億2千万円ほどなんですけどね。

プレサンスコーポレーション 明浄学院事件で東証から「改善報告書」の提出請求

東京証券取引所より、6/24、有価証券上場規程第502条第1項第2号に基づき「改善報告書」を提出するよう求められ、同規程第508条第1項第2号に基づき「公表措置」が実施されました。前代表取締役社長及び元従業員らが業務上横領罪で逮捕、起訴された事件ですね。

ここまでの経緯

10/30 大阪地方検察庁特別捜査部の強制捜査を受けたことを公表
12/5  従業員が、明浄学院事件に共謀した疑いで大阪地検特捜部に逮捕される
12/17 社⾧が、同事件で元理事⾧他と共謀した疑いで大阪地検特捜部に逮捕される
12/23 社長交代と外部経営改革委員会設置を公表
3/31 外部経営改革委員会からの調査報告書の受領を公表
5/14 外部経営改革委員会の提言を踏まえた当社再発防止策についてを公表
6/24 東京証券取引所による「改善報告書」の提出請求について公表

明浄学院事件

学校法人明浄学院(大阪府熊取町)の資金21億円を元理事長らが着服したとされる事件なんですが、外部経営改革委員会の調査報告書等を読んでもその実態がよく分かりません。

ただ、この明浄学院の21億円というのは、プレサンスコーポレーションが明浄学院の保有する土地を購入するために支払われた手付金です。元社長と元従業員が元理事長らと共謀していたんだとすると、プレサンスコーポレーションが21億円の被害者ということですね。

ガバナンス

この会社、2020年3月期の決算を見ると、かなりの好業績です。売上高は2240億円で前期比40%増。経常利益でも320億円、この事件の影響は軽微といえますね。分譲マンション供給ランキング3年連続第2位だそうです。

ここまで成長した企業のわりに、ガバナンスはお粗末で、組織図を見てもコンプライアンス担当セクションがなかったりします。調査報告書では内部監査機能が脆弱で、監査等委員会も機能していなかったと指摘しています。身の丈に合った態勢が必要ですね。

天馬 株主総会 会社側の取締役選任議案 一部否決

ベトナム子会社のl贈賄事件という不祥事で取り上げた同社でしたが、会社と元名誉会長、監査等委員会、投資会社入り乱れての取締役選任争いに発展。で、株主総会が一昨日行われました。会社側提案の8名のうち3名が否決されるという結果になったようです。

会社提案 第2号議案

総会の焦点は第2号議案。会社提案の8名の取締役(監査等委員除く)選任議案です。総会でどのような議論が行われ、どう展開してこういう結果になったのでしょう。

否決されたのは同社の創業者メンバーである常務の金田宏氏をはじめ、須藤 隆志氏、与謝野 明氏の3人です。会社側と投資会社のダルトンは意見が一致しているようでしたし、どういう力関係でこの3名が否決されたのか、興味あるところですね。

朝10時から始まった株主総会。「第72回定時株主総会開催結果に関するお知らせ」がTDnetに掲載されたのが19時20分。かなりの長時間もめてたのでは、、、と勝手に想像してしまいます。

今回の株主総会で最も注目されたのが、現行の取締役会の刷新を求める元名誉会長の株主提案でした。新たな取締役候補が全員現執行役員という提案(第5号議案)でしたが、これは否決されています。

監査等委員会は元名誉会長寄りのようでしたし、5号議案が否決されつつ会社側提案のキモである3名が否決という結果が上手くイメージできません。

議決権行使助言会社

元名誉会長が主導する「天馬のガバナンス向上を考える株主の会」というサイトで、有力な議決権行使助言会社である Institutional Shareholder Services Inc.及び Glass, Lewis & Co., LLCのレポートが紹介されていました。

「上記3名の取締役候補について、いずれもベトナムでの贈賄事件に関与した可能性があるため、その取締役選任議案につき反対推奨」するとしていたようです。結果だけ見ると、この議決権行使助言会社の助言通りになったということですね。

TISのテレワークサービス 「RemoteWorks」 サービス終了

テレワークサービス 「RemoteWorks」 が障害を起こし、4/13から全サービスを停止、不具合等の原因調査を行っていたTIS。6/18に同サービス終了のお知らせをHPに掲載していました。今まで気が付きませんでした。9月末をもって全サービスの提供を終了します。

発生事象

①利用時にほかの利用者のユーザーIDを含むエラーメッセージが表示される
②利用時にほかの利用者のWindowsログイン画面が表示される
とされていますので、4月時点で確認されていた事象以外はないようです。

調査結果

システムのトラフィック増大等が起因して処理に遅延が発生した際、利用中に他のユーザーとセッションの取り違えが発生する不具合が検出されたそうです。その他、ログ分析や不正アクセス調査においては何も検出されていないとのこと。

しかし、発生している事象から考えて、セキュリティリスクが内在しており、これを解消するにはアーキテクチャ全体の見直しが必要となることから、サービスを終了することを判断したとあります。

顧客対応

400社の顧客へは、障害発生時より代替手段の提供やサービス利用終了の手続きなどを案内してきていたようで、顧客ごとの個別対応はしっかり出来ていたようです。現状では大半の顧客がサービスを解約済みだといいます。

新型コロナウイルスの感染拡大で在宅勤務が拡大し、テレワークを支援するアプリケーションは大流行しました。各社サービス導入件数を大幅に伸ばし、収益化する一方で、TISのようにシステム障害を起こしてしまい、システム復旧を断念。サービス終了に追い込まれる会社も。この辺りがシステム会社の怖いところですね。

エルピクセル 取締役が33億円を着服(その2)

スタートアップが重宝され、メガバンクまでもがこぞって出資するようになってきました。ガバナンスやコンプライアンスの機能がまだ整っていない企業であっても、魅力的な技術があれが金は集まる時代になったということですね。エルピクセルだけの問題ではありません。

他にも似たような企業が

「当社が出資したスタートアップの〇〇は大丈夫なのか?(経営陣)」に対して、「は、はい。すぐに確認させます。(スタートアップ担当部長)」なんて会話が上場企業等のあちこちで聞かれたんじゃないでしょうか。そんなの出資する前に確認することでしょ、、、と思いますが。

これでまた監査法人の顧客層が拡大しましたね。従来は上場を意識したころ辺り、つまり証券会社が引き受けに際して態勢を求めるころから整備されてきたんですが、ガバナンス態勢はもっともっと早い段階からということになっていきそうです。

FX取引?

今回の取締役による横領事件。一番理解しがたいのが、この取締役が横領した金を主にFX取引(外国為替証拠金取引)に費消していたというお話。普通は一攫千金でお金のない奴がFXに賭け、、、そこで負けて借金を積み上げ、、、どうにもならなくなって他人のお金に手を付けるもの。

だと思ってましたが。この人、スタートアップとはいえ取締役ですからねぇ。なんでFXなんぞにはまり込んでしまったのか。何かほかにつぎ込んだ先があるんじゃないでしょうか。例えば異性とかね。つぎ込んだ金を取り返すための方法がFX取引だったとか。

最初からFX目的の横領だったとは思えないんです。プレスリリースでも「主な費消先がFX取引であることを確認しています」とビミョーな表現になってますしね。もう少し捜査が進むのを待つしかないですね。