職場でのパワハラを防ぐために必要な措置を事業主に義務付ける、いわゆるパワハラ防止法が、まずは大企業を対象に6月施行されます。日本経済新聞が4/27の紙面で伝えていました。この記事の中で紹介されていた個別労働紛争解決制度について少し見てみましょう。
個別労働紛争解決制度
昨年8月には三菱電機の新入社員が教育主任により、今年に入ってからもヤマハの男性社員が役員によるパワハラで自殺に追い込まれました。最悪の結果となってしまったこの2社の事件については、当ブログでも取り上げました。まずはこのような時代錯誤のパワハラを起こしてしまう社員の一掃(社員教育)が望まれますね。
それでも、ハラスメントに基づくトラブルはなくなりません。そのため、パワハラを受けたと感じた社員が相談できる窓口が機能することが重要になってきます。内部通報制度ですね。この内部通報制度が適切に運営されていて、お世話になるのが個別労働紛争解決制度といったところでしょうか。
訴訟になった場合の事業者リスク
被害者は当然のごとく精神的な被害を訴えますが、加害者はそんなつもりではなかった、、、といった反応を示します。そうした場合に会社としてどういうスタンスを取るか。ココが重要です。世間一般的に見て・・・と判断したつもりでも、ついつい加害者側を庇う結果になるものです。会社が自らを守るための結果に見えて、被害者に納得感がありません。
完全に中立の立場で、被害者も納得する結論を出すというのは至難の業だと思いますね。そんなときに使うべきなのが、個別労働紛争解決制度です。当然会社側に不利な結果となることもあるでしょう。しかし、この制度での結果については公表されることはありません。訴訟にまでなってしまうと、負けた場合の会社のリスクが格段に大きくなりますからね。
18年度、個別労働紛争解決制度における総合労働相談件数は112万件だそうです。そのうち、民事上の個別労働紛争相談件数は32万件。相談内容として一番多いのが「いじめ・嫌がらせ」で、8万3千件で、約26%を占めているそうです。