積水ハウス 現経営陣の圧勝 株主総会

五反田の一等地をめぐる地面師事件で55億円の損失。その後のクーデターで退陣に追い込まれた和田元会長が、4/23に開かれた株主総会で現経営陣との戦いに挑みましたが、、、結果は現経営陣の圧勝ということです。取締役の選任についても会社側提案が賛成多数で可決となりました。

タイミング悪すぎ

「和田前会長による現経営陣の刷新という株主提案は否決され、「内紛の再燃」と注目を集めた株主総会は大きな波乱なく終わった。」と翌日の日本経済新聞が伝えています。これがまた、めちゃくちゃ小さな記事。この日の日経で読み落とした人は相当数にのぼると思います。

投資情報面(15面)ですから、例によって新型コロナウィルスの影響で今期〇〇%の減益、、、みたいな決算関連記事ばかり。コロナの影響でこのニュース、見事に隅っこに追いやられました。もちろん、前会長側が勝っていたらこんな取扱いじゃなかったでしょうけどね。

コロナの逆風

記事の大きさだけではありません。前会長が株主提案をする旨表明したのが、2月14日でした。東京都内居住者の新型コロナ感染が初めて確認された2月13日にほぼ重なります。そして株主総会が4月23日です。

つまり、株主総会に向けて、世論や他の株主に対し、地面師事件の責任追及や同社のガバナンスの問題を訴え、賛同を得ようとした期間と、新型コロナウィルスの感染拡大の期間が見事にカブってしまったわけです。メディアでも取り上げられることがかなり減ってしまいました。

さらに、新型コロナウィルスとの戦争の真っ最中に、一事業会社のお家の事情(内紛再燃)に振り回されているような姿を晒したくない(見られたくない)という思考も、機関投資家の中にはあったんじゃないでしょうかね。まぁ、とにかく現経営陣にとっては、新型コロナさまさまです。

三信建設工業株式で仮装売買、インサイダー取引

証券取引等監視委員会は4/17、取引が活況であるように見せかけるため仮装売買をしたとして、金融商品取引法違反の疑いで、島根県に住む70代の会社役員の男性に課徴金3億3475万円を納付させるよう金融庁に勧告しました。相場操縦による個人に対する課徴金としては過去最高だそうです。

同一人物

監視委員会のホームページでは、この三信建設工業株式に係る仮装売買に対する課徴金納付の勧告と、同株式に係るインサイダー取引に対する勧告の2件が別々に記されています。見た目には課徴金納付命令対象者は別の人物のように見えますが、メディアの報道では同一人物とされています。

三信建設工業は2018年6月25日に、アクティオHD(非上場)による株式公開買付け(後に完全子会社化して上場廃止)を公表しましたが、その事実を知りながら仮装売買と内部者取引を公表日の前まで行ったというものです。この70歳の男性、TOBによる完全子会社化の契約に関する交渉をしていた人物らしいです。

売買の手口

親族や知人の口座も利用して、自身が出している売り注文に、買い注文を対当させて、権利の移転を伴わない売買を6/5まで、計27回、71,000株約定させたとのこと。TOBの価格を少しでも高く決定させたかったんでしょうかね。71,000株のうち28,000株が自己の口座での売却となっていて、自己の口座での買いはありません。

そして、6/5から6/14までの間に、5,000株を266万円で買い付けており、こちらはインサイダー取引で御用となりました。課徴金は70万円です。最後に自己の名義で1,000株だけ買ったのと、知人名義で4,000株買ったのが、インサイダー取引とされています。

売買の流れをみると、仮装売買した後の数量合わせをしただけで、インサイダー取引の意図はなかったのかもしれませんね。三信建設工業はこの70歳の会社役員について、同社の関係者ではないと公表しています。金融庁が公表しているポンチ絵でも、両社の枠の外に描かれているんですね。この70歳、会社役員って、、、どこの誰?

新型コロナウィルス 濃厚接触者の定義変更

濃厚接触者の定義が、「患者が発病した日以降に接触した者」とされていたことに違和感があり、当ブログでもSHIFT(その2)の記事で取り上げました。やはりというか、4/20に更新された国立感染症研究所の積極的疫学調査実施要領において、濃厚接触者の定義が変更されましたね。

発病の2日前から

今度は「患者の感染可能期間」なるものが登場しています。その定義が「発熱、咳、呼吸困難などの急性の呼吸器症状を含めた新型コロナウィルス感染症を疑う症状(以下参照)を呈した2日前から隔離開始までの間」。以下には、発熱、咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、頭痛、関節・筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐など、、、と書かれています。

そして、濃厚接触者の定義は、「患者の感染可能期間に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である」と変更されました。今回はさすがに変更点をしっかり明示しています。

次の範囲にも変更が

次の範囲に該当する者として、4点が示されていましたが、その4点目にも変更が加えられています。「手で触れること又は対面で会話することが可能な距離(目安として2メートル)で、必要な感染予防策なしで、患者と接触があった者」とされていた部分が以下のように変更されました。

「手で触れることのできる距離(目安として1メートル)で、必要な感染予防策なしで患者と15分以上の接触があった者」

ということで、2日前まで遡って判断するということ。さらにマスクなしでの接触については、2メートルという間隔を1メートルにし、かつ15分以上の接触と基準を緩和したものの、手で触れるとか、会話することといった具体的な行動の定義をなくして、状況に応じた総合的な判断を求めています。

今後は朝発熱がある社員を出社させなくても、その日から2日前までの接触者を保健所が調査するため、濃厚接触者が確実に増加するはずです。消毒も増えそうですね。

TISのテレワークサービス 「RemoteWorks」が障害(その2)

全面的にサービスを停止してしまったTISのテレワークサービス 「RemoteWorks」。400社とも言われる顧客が影響を受けているようです。想定を超えるアクセスによってシステムが不安定になったため、システムの増強を決定したんですが、やはり新たな問題が出ていたようです。

4/20発表のサポート情報

この日のサポート情報では発生した事象について、次のように伝えています。「利用時にほかのお客様のユーザーIDを含むエラーメッセージ、およびWindowsログイン画面が表示される事象が発見されました。現在、発生事象の調査を進めております。」

この事象が元々このシステムに隠れていたバグなのか、サイバー攻撃等によるものなのかは分かりませんが、これヤバいですね。(日経は「現段階ではサイバー攻撃などは確認されていない」と同社の言葉を伝えていますが、現時点では何とも)

機密情報てんこ盛りの会社のサーバーに、自宅PCから会社の自分のPCを遠隔操作してアクセスするわけです。そんな場面に他人のIDとか出てきた日にゃあ、、、。って感じです。たとえ同じ会社の社員のIDであったとしてもですよね。そのため即サービス停止です。

他社のシステムは大丈夫?

日経の記事も指摘していましたが、テレワーク向けのクラウドサービスでは、想定を超えるアクセスによるシステムダウン等、当然他社が提供する類似サービスにおいても起こる可能性大なわけです。また、Web会議システムのZoomがそうだったように、サイバー攻撃の対象になることも十分考えられます。

「オリパラ開催で日本のシステムがサイバー攻撃の標的にされる」と言われていたのと全く同様に、今みんなが必要としている在宅勤務を支援する各種システム、、、標的にされていると思っておいた方が良さそうです。

けど、標的にされるシステムを提供するTISはじめシステム会社の皆さん、こんなことに負けず、頑張ってくださいね。いまどき業務が多忙なんて、世間では羨ましい限りですから。

大和ハウス 外部調査委員会の報告書を公表

大和ハウスは4/16に外部調査委員会より調査報告書を受領したそうです。4/17に公表しました。施工管理技士の技術検定試験における実務経験の不備に関する件ですね。約3ヶ月に及ぶ調査でしたが、出てきた結果は何とも、、、。

結果の概要

委員会設置時点で349人としていた、実務経験証明書を偽装して合格した者は、少し増えて357人。既に退職した者で確認できたのが14人。併せて371人となったもようです。これらの不正合格者を主任技術者や監理技術者として配置した物件は16件あり、建設業法26条違反となる可能性があるとしています。同様に専任技術者として配置した営業所は4ヵ所。

発生の原因

これらの不正の発生原因としては、3点があげられています。まず第一に、経営が主導する資格取得に関する強力な推進。2つ目に、所管する技術本部における受験資格チェック体制の不備。3つ目に、受験者と承認者(管理職)の不注意だそうです。

受験者も資格試験の実務経験に関するルールを良く知らず、それを承認する上席者も知識、認識がなかった。推進する技術本部も体制が整備されてなく、チェックを怠っている。そんななか、経営が資格取得を推進したものだから、これだけ不正が発生したってことですね。

調査委員会の限界

今回の報告書、いかにも会社が筋書きを作って、調査委員会に認めさせるといったスタイルで進行しているように見えます。これだけの数の不正が起きてるわけですから、受験者、承認者、技術本部がダメダメでした。だけじゃないでしょう。

同じ不正が発覚している水道機工では、「経験がない方でもやり方次第」などと書かれた社内の試験マニュアルの存在が発覚しています。この切り口が見当たらないんですね。大和ハウスの外部調査委員会の報告書には。