キックバック 平和不動産

少し前になりますが、平和不動産の行った不動産取引ににおいて、同社が支払った仲介手数料が同社従業員等にキックバックされていた件の調査報告書が公表されていました。平和不動産は東京証券取引所の大家さんです。1949年の取引所再開当時からの上場企業です。

キックバックの概要

不正を働いたのは同社の不動産ソリューション部長とその部下の計3名。彼らは社内規則に違反して無許可で個人会社を経営していました。平和不動産が当事者となる不動産取引に関して、同社が仲介手数料を支払った仲介業者から、アドバイザリー報酬等を個人会社で受領するというのが典型的な手口です。

2014年~2019年の約5年間で、部長は23取引。その他二人(いずれも次長)は5取引、7取引の報酬を受領。このキックバックは基本的に、「手数料過大支払い」と「収益機会盗用」の二つのパターンで立証してます(詳細は省略します)。

上場企業のレベルじゃない

非常に歴史のある上場企業で、不動産会社と書くと、かなり大きな企業をイメージすると思いますが、この会社、従業員はたったの110人です。取引所の大家さんだから上場させてるだけで、昔から「なんで上場してんの?」と誰もが思う上場企業だったんです。

おまけに今回舞台となった不動産ソリューション部。部長1名、次長6名、副参事1名、課長2名、その他6名の合計18名の人員構成。金融機関なんかでいうと超小規模店のレベルです。これくらい小さな組織だと不正など出来たもんじゃありません。

隅から隅までおよそ目が届く範囲のはず。もちろん、行為者3人のうち2人が部長と次長だったから、というのはありますけどね。そうそう、もう一人この悪事を知ってて知らないふりしてた従業員(報告書では幇助者)もいます。部長の指示には逆らわない方が得策と考えたようで。

実態のある取引に対するキックバック

しかし、不動産取引におけるキックバックって難しいですね。不動産を売る会社も、買う会社も仲介手数料3%支払いに納得して支払いました。なかなか出て来ない良い物件を持ち込んでくれたということで、仲介業者は売り手側のトップセールスに感謝の意味で1%の報酬(キックバック)を。例えばこのケース、どの企業も損をしていないようにも見えます。犯人の部長もそう主張しているようですが。