資産運用 株式市場はいま(3) 東洋経済オンライン 平野憲一氏

東洋経済オンラインに「日経平均は『大相場への初期段階』の兆候がある」という記事が出てました。平野憲一氏(ケイ・アセット代表)という方の書かれた記事です。この方、立花証券のご出身だそうで、1970年に同社入社といいますから、kuniにとっても大先輩の方ですね。

積み上がった裁定取引売り残

同氏の説明。積み上がった裁定売り残やレバレッジETFの信用売り残が減少することなく、スルスルと日経平均は上昇してきており、この積み上がったままの売り残が解消するまで、息の長い相場になるのではないか、、、との見立てです。

また、投資家サイドへの取材を通じて、空売り筋も個人投資家も圧倒的に弱気が多いとおっしゃってます。確かにまぁ、弱気を決め込む理由はいくらでもありますからね。弱気の理由も沢山あるし、その影響で実経済も痛み始めているにもかかわらず、『なぜか相場は下げない』。

なぜか下げない

実は相場ってこういうところが大事なんですね。「相場は理外の理」などという格言もありましたっけね。なぜか下げない、、、ということは自分に見えていない何かがあるわけです。平野氏も何かそういう雰囲気を感じられているのかもしれません。この場面で「大相場」なんて言葉なかなか使えないものです。

平野氏は最後に次のようなことを書かれています。「大相場の予感がするが、それに投資家が気付くのは日経平均が27年ぶりの高値を再び抜いた時かもしれない。」うん、うん、そうかもしれません。

年末相場

2018年の年末は大暴落でした。10月からの3カ月間で日経平均は5000円下げ、19000円まで売り叩かれるといった荒れ相場でしたね。では、もう一年前、2017年を覚えてるでしょうか。この年の10月から12月末までの3カ月間は、逆に3000円超の上げ相場でした。今年は2017年ふうな感じでしょうかね。最後にもう一つ格言を。「相場は相場に聞け」。

水素閣僚会議(H2EM2019) FCV1000万台へ

9/23の日本経済新聞の記事『燃料電池車など「1000万台に」』より。水素の利用拡大をめざす主要国などが集まり、25日に水素閣僚会議(H2EM2019)を都内で開催するとのこと。今回は2回目の開催。経済産業相が議長声明として、水素燃料電池を使った車両や航空機を計1千万台に増やす目標を掲げるようです。

FCV(燃料電池自動車) 世界で1万台→1000万台

燃料電池自動車(FCV)は世界で現在約1万台にとどまっていますが、これを10年間で1000万台まで拡大しようという試み。燃料を供給する水素ステーションを10年間で1万カ所にする目標も掲げています。

FCVは車内で水素と酸素を化学反応させて作り出した電気を使って、モーターで走ります。FCVもEVも電気で走る自動車という点では同じですが、一般的にEVが構造上簡単な一方、FCVは水素から電気を発電するために構造が複雑になり、技術力も必要になります。

ちなみに、記事でも紹介されていたトヨタのFCV量産車ですが、名前は「MIRAI(ミライ)」。お値段の方はなんと723万円です。水素ステーションが現在100カ所しかないことや、車両の高価格もあってなかなか普及しません。2014年からの累計販売台数も5000台程度だそうです。

水素ステーション

水素ステーションの1基当たりの建設コスト、こちらも半端なく、4億~5億円だそうです。国内の水素ステーション数は計画中も含めて100カ所にとどまります。EVの急速充電器が7000カ所以上あるのに対してその差は大きいですね。

ボトルネックになっている水素ステーションの整備。昨年3月、トヨタなど11社が新会社「日本水素ステーションネットワーク(JHyM:ジェイハイム)」を設立しています。国の後押しも受けながら、FCV普及に向けた水素ステーション整備を加速しているところです。

この11社。自動車メーカー3社以外には、豊田通商(8015)や岩谷産業(8088)などの名前もあります。株式投資先としても期待できそうですね。

日立製作所 成長戦略 Lumada(ルマーダ)

9/21付け日本経済新聞のトップ記事、「日立、成長投資へ1兆円調達 守りから攻めの財務に」。ここからの3年間に、借入金や社債で約1兆円を調達し、M&Aや設備投資を合計約4.5兆円と倍増させる。という内容です。これまで日本企業は借金返済を優先し、投資などは抑制してきたが、そうした縮み志向を抜け出す企業が増えていく可能性がある。とも書いていました。ん~、そうなると良いですね。

リーマンショック後の構造改革

米金融危機後の業績悪化を受け、日立は構造改革を進めてきました。金融や物流、工具などの事業を相次いで売却し、09年当時に22社あった上場子会社は4社まで減少したそうです。以前当ブログでも取り上げたことのある日立化成も近く売却されそうです。

海外プラントなど不採算事業からも撤退しましたし、その間投資は抑制し、有利子負債は約1兆円にまで減少しています。ここから一気に攻めの財務に転換するということなんですね。負債の増加で財務レバレッジを効かせて、ROEも向上します。

成長戦略のカギ Lumada(ルマーダ)

IoTでモノに取り付けたセンサーなどを通じて収集したデータを分析。業務の効率化などにつなげるビジネス。今後の成長市場と見込まれていて、この基盤システムを顧客に提供するプラットフォーム事業がLumada(ルマーダ)です。先日、米国にIOTの世界本社を設立、なんてニュースもありましたね。

製造プロセスで生まれる様々なデータを収集し、そのデータをAIなどを用いて分析することで、その製造プロセス等を改善、高度化するというソリューションのようですが、kuniには今のところコンサルティング業務のように見えています。もちろん、日立にはモノを直接作っているというアドバンテージはありますが。

難しい話はこれくらいにしますが、日立には昔からどうも良いイメージがないんですね。あっ、証券の世界の話ですけどね。いつも最後に遅れてくる巨人、、、って感じです。この株が動き出すと、相場もそろそろ天井、、みたいな。。。いや、今回はそんなことないと思いますが。

三菱商事 海外子会社でデリバティブ巨額損失

9/20 日中のニュースで知りました。三菱商事の子会社、原油・石油製品トレーディング会社のペトロダイヤモンド・シンガポール(PDS)が行っていた原油デリバティブ取引において、総額約345億円の損失が発生する見込み、、、というニュースです。

中国籍の現地プロパー社員の行為

中国籍社員が、顧客との契約にはない原油先物のデリバティブ取引を繰り返し、損失が拡大したということです。この社員は2018年11月にPDSに入社。主に中国の顧客との原油取引を担当していましたが、今年1月ごろから、顧客との取引とは関係がないデリバティブ取引を開始。原油相場が乱高下した6~8月に損失が大きく膨らんだとのこと。

デリバティブ取引で発生した損失については、PDSのリスク管理システム上のデータを変更することにより、顧客との取引に関連したヘッジ取引であるかのように装い、PDSにおける損失が社内で認識出来なくなる操作を繰り返していたそうです。

大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件

1995年、大和銀行ニューヨーク支店で米国債トレードで1100億円の損失が見つかった事件です。最初に出した5万ドルの損失を埋め合わせようとして売買を繰り返し、最後には1100億円の巨額損失。最後に犯人が精神的限界を感じて頭取宛に手紙を出し、表沙汰になったという事件でした。

今回の三菱商事の巨額損失を聞いて、大和銀行事件を思い出した方は多いのではないでしょうか。この事件でも犯人は書類を偽造し、損失をシステム上でも隠蔽していたため、10年以上も発覚しませんでした。大和銀行の内部管理も杜撰で、米国から350億円の罰金を食らってます。

それにしても、、、

許可されていなかった原油デリバティブ取引がなぜここまで続けられたのか。三菱商事やPDSの内部統制はどうなっていたのか、今後の報道に注目です。それにしても、約8か月で345億円ですか、凄いっすねぇ。大和銀行の1100億円は10年以上かかってますからねぇ。

豚コレラ ワクチン接種 OIEからの「清浄国」格付け

9/20付け日本経済新聞で「豚コレラ対策、ワクチン接種へ」という記事がありました。豚コレラに有効なワクチンあるなら何で使わないのよ、と思ったわけですよ。実はワクチン使いたくても簡単には使えない、深~い訳があったんですね。kuniの勉強不足でした。

OIE(国際獣疫事務局)

OIEは1924年に設立された獣疫に関する国際組織で、世界182ヵ国が加盟しています。国際的な家畜の安全基準を定めたり、それらに基づき安全な国かどうかを認定するなどして、国際的な家畜の取引を安全衛生面から支えている機関、といったところでしょうか。

このOIEによる「清浄国」という格付けが重要ならしく、この格付があると欧米などの同じ「清浄国」への輸出が可能になるとのこと。また、「非清浄国」からの輸入を拒むこともできるようです。

清浄国認定の要件

今回日本がワクチン接種を躊躇してきたのは、「ワクチンを使用している=非清浄国への格下げ」、という規約があるからのようです。ワクチンを用いない防疫体制が確立されていることで、「清浄国」のお墨付きがもらえるということですね。

また、最初の豚コレラ発生から2年以内に感染が収束しない場合は、ワクチンを使用しないでも「非清浄国」になるようです。既に発生から1年が経過しています。

農林水産省の判断

ワクチン接種に踏み切れば、OIEの「清浄国」の格付けから外されることになり、日本からの輸出全体が制約を受けることになる。だから、ワクチン接種はしないという判断。これがとうとう、地域を限定した接種であれば、それ以外の地域はOIEから「清浄」と認められる可能性がある。というビミョーな判断に方針転換。

何やら後手後手にまわるところ、台風15号に対応した東京電力のような感じですね。ここまで1府7県にまで拡がり、殺処分された豚は13万頭に上ります。残された時間もあと1年。このままだと輸出できなくなる前に、輸出する豚がいなくなってしまうのでは?