ラック不正入札 日本貿易保険

8/29 政府出資の特殊会社「日本貿易保険」のシステム開発の入札を巡り、同社元顧問が公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕されました。情報セキュリティ大手の「ラック」の社員らに審査基準を漏らしたり、提案書を代わりに作成した疑いだそうです。ラックの社員ら3人についても同容疑で書類送検するとのこと。

情報セキュリティ大手 ラック(3857)は、資本金10億円、従業員数2220名、売上高387億円(いずれも19年3月期末、連結ベース)で、2009年4月にJASDAQに上場している会社です。

昨年10月に発覚

実はこの事件、最初に報道されたのは昨年の10/23なんですね。日本貿易保険が調査委員会を設置して調査してきた結果として、システム開発の入札において不正があったと発表しました。ラックも同じように調査委員会を設置して事実関係の調査をしてきたうえで、10/25、12/3と、同社の社員が不当に関与したとは認識していないと発表しています。

そこから8か月後、「元顧問が逮捕され、ラックの社員ら3人についても同容疑で書類送検する」という報道になったわけです。

日本貿易保険 調査委員会の報告書

日本貿易保険は調査委員会の報告書を開示しています。報告書によると、元顧問はラック社による提案書作成への関与について、次期貿易保険システムに関する自らの構想に沿った提案がなされるよう、提案書のレビューをし、代わりに作成しただけであり、不正の意思もなかったと主張しています。

しかし、調査委員会は、元顧問の各種行為が、ラック社の提案が日本貿易保険において高い評価を得ることにかなりの貢献をしていることは明らかであり、これによって入札の公正性は著しく害されたとしています。また、これほどまでに特定の応札者(ラック社のこと)のために、便宜を図る理由が分からないとも。

個人の行為ですが・・・

報告書も完全に個人の行為としていますが、社長が惚れ込んで外部から招へいしたシステムの専門家というお墨付きの下、ほぼガバナンスの効かない状態でやりたい放題だったようです。個人の行為ではあるものの、会社としての管理責任は逃れようがありません。

ラック社としては、引き続き同社の社員が不当に関与したとは認識していないという立場ですが、このあと元顧問に対する経済的な利益の供与等の証拠が出てくるかどうかが注目されるところです。