日本の食品輸出 ホタテ

以前「日本の食品輸出が絶好調らしい」というタイトルで記事を書きました。昨年の輸出額が9,000憶円に達し、2019年には1兆円が達成できそうというお話。その際にいろいろと統計を読んだのですが、かなり意外に感じたのがこのホタテの輸出額でした。その後忘れていたんですが、3/14付の日本経済新聞に、北海道佐呂間漁協のホタテ漁に関する記事が掲載されていて、これを読んで納得したわけです。

農林水産物 品目別輸出額でトップ

「2018年の農林水産物・食品輸出額(速報値)品目別」でみると、ホタテの輸出金額は477憶円で前年比3.1%の増加となっています。水産物の中で見ると、ホタテに続いて真珠が346憶円、鯖が267憶円となっていて、それぞれ7%増、22%増となってますね。鯖は国内のスーパーで鯖缶が品薄といったニュースがありました。輸出もかなりの勢いで伸びています。

記事ではサロマ湖で行われるホタテ漁を中心に紹介し、漁協組合員の平均貯蓄額やら、野球選手並みの平均年収といったの景気の良い話が書かれています。イカダの場所とか、稚貝をつるす高さの調節について言及されているので、おそらくこれは養殖なんでしょうね。生産効率で世界最高峰とも書かれています。彼らの商品は台湾の高級百貨店向けで、干し貝柱として輸出。商品の差別化で成功しているようです。

輸出先は中国が1位だけど

ホタテの輸出先(2017年のデータ)を見ると、中国向けが圧倒的に多くて、238億円になっています。台湾向けは33憶円ですね。意外に多いのがアメリカで58憶円。ここのところ減少しているんですが、2015年までは100億円以上を輸出しています。

JETRO(日本貿易振興機構)で調べてみると、中国へ輸出された冷凍のホタテの多くは、殻をむいて加工された後に米国に輸出されているんだそうです。その分日本からの直接輸出が減少しているということでしょうか。

ホタテの栄養成分

ついでに北海道漁連のホームページも見てきました。もの凄い栄養成分です。ホタテの貝柱に含まれるたんぱく質は100グラム当たり17.9グラム。牛肉や豚肉に匹敵しますし、鶏もも肉を上回るそうです。お肉の場合は部位により違ってきますし、脂身の多さでたんぱく質は変化しますが、たぶん貝柱はそういう変化はなさそうですね。脂質がほぼなしというのも良いです。筋肉付けるためにはなかなか良い食材のようですよ。

貝柱以外の部分まで含めると、タウリン、亜鉛、ビタミンB12が含まれているそうです。高タンパク質かつ低脂肪で、ヘルシーな食材、日本でもブレイクするかもしれませんね。ということで、今晩はホタテのひもでも買って帰って、熱燗にしますか。

洋上風力発電 石炭火力に代わる切り札

新法が成立し、政府の補助制度などの後押しもあり、だんだん洋上風力発電の周辺がにぎやかになってきました。遠浅の海が少ないなど、課題もあるものの、脱石炭を促す世界の潮流に乗ってきたって感じですね。海外企業も含め、関連事業への新規参入の話題も増加してきています。

国内の洋上風力発電 総事業費2兆円

3/13 の日本経済新聞記事のタイトルです。みずほ銀行の試算によると、国内で計画される洋上風力発電の総事業費が2兆円に達するとのこと。新法の成立や国の補助制度といった礎もさることながら、環境に配慮する「ESG投資」におけるあらゆる業界からの評価も大きく前進させた感じです。

みずほ銀行が試算というのも不思議に感じた方もあったでしょうか。銀行にとってもESGは他人事ではありません。石炭火力発電関係への融資がやり玉にあがるご時世です。銀行としてもESGにおいて高い評価を得られる融資を拡大したいわけですね。で、銀行がそれを試算していると。

記事の最後のところで、「洋上風力発電は事業規模が大きく、複数の金融機関がプロジェクトファイナンスで資金を出す。アセス手続き前の案件も含め、10件は3メガバンクが主幹事として融資を検討しているとみられ、みずほはこのうち5件に助言している」とあります。大規模な太陽光発電の事業においても、メガバンクによる同じ形態の融資が見られました。

世界の電力 石炭火力重荷

同じ日の日経にはこういうタイトルの記事と、「日本、地方で依存度高く」という記事も掲載されています。石炭火力発電は二酸化炭素排出抑制のための追加の環境対策費用により高コスト化しており、特に規制が強い欧州では採算が悪化しているという記事です。

また、後者の記事は、日本では地方電力ほど石炭火力への依存度が高く、今後これが高コスト化していくだろうというものです。最も石炭火力への依存が高いのは沖縄電力だそうで、最も低い東京電力の5倍になってます。自然という観光資源が生命線の沖縄。その沖縄が最も依存度が高いというのは皮肉ですね。

ESGの潮流はもう止められないでしょう。日本においても新たな環境規制が導入される(導入せざるを得なくなる)のはほぼ間違いないでしょうし、再生エネへの転換は待ったなしの状況です。

記事の最後では、中部電力の社長さんの「資源の少ない日本で石炭火力は重要な電源」という発言も掲載されていました。電気事業連合会の会長さんという立場もあり、各方面への配慮が滲む発言なんでしょうが、ちょっと不用意な発言ですね。ESGの魔女狩りはもう始まってますよ。

キックバック 東邦システムサイエンス 大和ハウス

今年度も残りわずかとなってまいりました。期末の数字の総仕上げやら、来期計画の策定やら、サラリーマンには何かとバタバタする時期。お疲れ様です。 年度末ということで今年度の不正・不祥事を振り返っていましたら、ちょっと珍しい事例がありましたので、ご紹介します。

2件発生したキックバック

企業として架空の発注や水増しした発注を行い、その取引先からキックバックとして金銭を担当者が受け取っていたという類の不正です。今年度上場企業において2件発生していました(kuniが調べた限りでは)。東邦システムサイエンスという会社と、ダイワハウスです。いずれも企業の不正ではなく、役職員個人の犯罪ですね。

東邦システムサイエンス(4333)

元取締役の男が同社として総額約1億2,000万円の架空取引の発注を実行し、発注先の協力会社から発注金額の一部をキックバックとして受け取っていたという事件です。システム開発会社にはありがちな事件ですね。国税局の税務調査が発覚の端緒となったようです。個人の犯罪とはいうものの、会社の内部統制を整備し、監督すべき立場の取締役がとなると、会社としての不正・不祥事と言わざるを得ませんし、非常に悪質です。

社内調査委員会の調査結果によると、同取締役は約7年間にわたり、社内外の関係者と共謀の上、実行していたということ。この元取締役の部下である4名についても本件不正行為に関与していたことを認めています。

ちなみに、同社では内部通報制度については整備済みではあるものの、2017年度、2018年度上半期において、通報実績はゼロ。改善策の中では内部通報制度の実効性向上に努めることも書かれていました。内部監査の実効性向上についても同様に書かれています。

大和ハウス(1925)

こちらは元営業所長が、同社が手掛ける建設事業を巡って、取引先から約4,000万円のキックバックを得ていたというもの。東京国税局の税務調査を受けて、このキックバックが所得として認定され、所得隠しとして指摘されたんだそうです。

元所長がキックバックされた金銭、実は受け取っていたのは、妻が取締役を務めるシンガポールの会社で、コンサルティング名目で8,000万円を受領。これをキックバックした取引先企業の副社長と折半したということです。めちゃくちゃ、きな臭いです。

おまけにこの事件についてはダイワハウスは一切開示しておらず、関わりたくないような様子。当の元所長は同社から何のお咎めもなく退職金ももらって自主退職したとか。さらに、この事件にはあるキャバ嬢が関与していて、、、芸能ニュースみたいになってます。この事件はホント良く分かりません。

ソーシャルレンディング エーアイトラストに2回目の行政処分

何度か取り上げてきたエーアイトラスト、2月下旬に証券取引等監視委員会から行政処分の勧告が行われていましたが、3/8 金融庁(関東財務局)が2回目の行政処分を行いました。今回は第二種金融商品取引業の登録を取り消すという内容です。まぁ、予想された通りですね。

また、業務改善命令としては、顧客が出資した財産の運用・管理の状況等を精査して、顧客への説明を徹底することとか、出資した資金の顧客への返還に関する方針を策定して速やかに実施すること、とかが求められています。しかし、こういうのって履行されるんですかね。経営陣はまだ所在はっきりしてるんでしょうか。

ソーシャルレンディングってどうなんですかね

今でもこのソーシャルレンディングの世界って、アフィリエイトなんでしょうかねぇ、宣伝するというか煽るというか、そんなサイトがたくさん出てきます。各社の利回りランキングとかも掲載してるんですが、8%、10%とか、中には13%なんてのもあります。こうしたサイトに煽られて素人投資家が手を出していると思うと、、、。

この低金利で銀行は貸し出す先がなくて困ってます。地銀辺りはかなりリスクをとった先にも融資を拡大してきており、その積極性に警鐘を鳴らす向きもあります。そのような時代であるにもかかわらず、銀行から融資を得られない先がこのソーシャルレンディングの貸出先ですよね。投資家の皆さんはそういうことを考えたことあるんでしょうか。

さらに、10%の負債を抱えてもやっていけるということは、それだけ儲かるビジネスであるということです。それほど収益性の高いビジネスがあるとは考えにくいですし、そのビジネスに本当にずば抜けた収益性や将来性があるのなら、既存の金融機関が喜んで融資します。

その他の業者も

ネットで検索するとたくさん出てくるソーシャルレンディング業者。エーアイトラストの場合は経営者たちの経歴を見て、いかにもという感じでした。他の業者についても、既に行政処分を受けているみんなのクレジットだとか、maneoマーケットだとか、、、。なにやら一時期の悪徳FX業者の一斉摘発時期に似てきましたね。

証券取引等監視委員会と各地の財務局が検査に入ろうにも、なかなか全部を検査しきれません。一年、二年かかってしまうんじゃないでしょうか。悪徳業者はその辺りのことまで計算しているかもしれません。自分たちの順番が来る前に撤退、みたいな。

kuniはその他の業者まで全てを調べたわけではありません。中にはまともな融資先しか相手にしない、まともな業者もあるのかもしれません。それでも皆さん、是非慎重に投資してくださいね。それから、エーアイトラストに投資された皆さんの資金、できるだけたくさん戻ってくることを祈っております。

世界の半導体市場が急減速

3/8 日本経済新聞に「世界半導体、30か月ぶり減 GAFA向け足踏み 1月売上高、データ特需失速」という記事が掲載されました。しかしまぁ、長いタイトルですな。デジタル経済の成長をけん引してきたこの半導体の市場、現状と今後について整理してみたいと思います。

何が起きているのか

1月の半導体世界売上高(3か月移動平均)が前年同月比5.7%減となったと伝えています。このところ毎年20%以上成長してきた市場も、2018年後半に減速し、この1月のデータでマイナス圏に入ったということのようです。(ちなみに元データは確認できていません)

急減速の原因と今後の期待

① 米ネット大手がけん引してきたデータセンター投資の停滞
② 中国の景気減速で半導体需要の停滞
③ メモリー市場の4割を占めるスマホ販売の減少
④ 仮想通貨のマイニング用サーバ向け特需の終了

記事では以上4つの原因を上げていました。一方で、この記事のすぐ隣(紙面の)には、今後期待できそうな明るい話について触れていますが、なぜ、わざわざ別の記事にしたのか良く分かりません。スマホとかでテキストで読むユーザーは読み飛ばしちゃうかもって感じです。

その期待というのが次世代高速通信規格「5G」です。現在我々が使っているスマホの上部には「4G」で通信している旨の表示がされていますが、これの次世代技術になります。いまさらこれ以上の説明は要りませんよね。現在の4Gから通信速度が100倍になるというヤツです。

5Gが普及する過程では、データを演算処理するロジック半導体の需要が大幅に増えると書いてますが、ちょっと難しいですね。ロジックICとか論理素子ICとも呼ばれるこの半導体は、どちらかというとパソコンのCPU寄りの集積回路のようです。前半の記事が主に取り上げていた単純なメモリーとは違うんですね。ということで、今後の好材料として、

⑤ 5Gの立ち上がりで2019年のどの辺りから半導体市需要が喚起されるか
⑥ 他にも Iot や 、中でもEV(電気自動車)の立ち上がりでの需要喚起

という要因も加えて、今後の半導体市場を見ていく必要があるということです。この中でもやはり大きいのは②の中国の景気ですかね。また、これを大きく左右しうる米中貿易摩擦の行方も気になります。トランプ氏があえて米朝関係でビッグディールを取りにいかなかったのは、中国との交渉(これこそがビッグディール)を控えていたからだとkuniは思っているのですが。米中の関係、どうなっていくでしょう。

最後に、半導体の主戦場がPC→スマホと変化してきましたが、今後は⑤⑥の「5G」、「Iot」、「EV」に変化していくという基本線は押さえておいた方が良さそうです。