投資用不動産 値下がり(その2)

タイトルの通り投資用不動産の値下がりについて書いたところ、いきなり週刊東洋経済に特集記事が出ました。タイトルは「不動産バブル崩壊前夜」と、まぁセンセーショナルなこと。kuniが記事で「不動産全体のバブル崩壊はないでしょう」と書いた途端にです。

東洋経済の記事

東洋経済の記事では、主にアパートローンを中心に惨状を紹介しています。「1法人1物件スキーム」を利用した不動産投資なども紹介し、マンション、アパートなどの投資用不動産がヤバイことになっていることについて指摘していました。この部分についてはkuniもその通りだと思います。

しかし、それ以外のパーツ(首都圏中古マンションの成約価格の推移や空き家率の上昇のお話など)については、いずれもバブルと呼べるような状況ではなく、結果的にタイトルとはかけ離れた、説得力のない記事になっています。

そもそもバブルとは

時々バブルだの、バブル崩壊だのと言った刺激の強いニュース等を見かけますが、最近バブルの定義が変わってきてるんですかね。もちろん定量的な定義があるわけではないんですが、1990年からの景気後退局面をバブル崩壊と呼ぶのであれば、今の不動産にバブルはないと思います。先日書いた通り、あるとしたら投資用不動産に限定した狭いカテゴリーにおいてのみだと思います。

例えば、東洋経済の記事で紹介されている、首都圏中古マンションの成約価格ですが、2012年末辺りで2,500万円だったものが、2019年に入って3,500万円まで上昇しています。これをもってバブルと呼びたいようですが、本当のバブルはこんなものではありませんでした。2,500万円の不動産が数年間で7,500万円に上昇する、そんなレベルです。そしてバブルの崩壊で元の価格に戻ってしまう。

この記事を書いた記者はお幾つの方なんでしょうね。既にバブルは30年前のことです。今現在30代や40代の人ではバブルのことを直接は知らないわけです。上がったものが下がるからバブル崩壊ではありません。現状もバブルではなく、「やや過熱してきているかな」というのが実態ではないでしょうか。だから、この後少し冷めてしまうことはあると思いますよ。

外国人の買いが消えた

前回書けなかったのですが、海外からの不動産投資が急減速しています。この手のお金はまさに不動産投資として入ってきているお金です。東洋経済も書いていましたが、これには中国における規制強化が影響しているようです。

記事では深刻な事情などと表現していますが、インタビューに答えた専門家は「価格の上昇で期待利回りが低下したから」とか「物件も品薄で投資意欲があっても買いにくい」などと答えており、海外の投資家も理にかなった投資行動をとっていることがうかがえます。。。だから、バブルではないのです。さらに、言っておくと、バブルだの暴落だのと言っているときは大丈夫なもんです。本当に怖いのは、みんながまだ上がると思い始めるときです。

再生可能エネルギー バイオマス

先週末の日本経済新聞に、東京電力とイーレックスという会社が再生可能エネルギーの電力を中心に販売する新会社を共同で設立するという記事がありました。ここでの再生可能エネルギーによる発電はバイオマス発電のことのようです。ということで今回はバイオマス発電を取り上げました。

何度か書きましたが、政府は昨年改定したエネルギー基本計画で、再生エネを将来の主力電源にすると明記しました。総発電量に占める再生エネの比率を現在の16%から22%~24%へ引き上げる計画になっています。

バイオマスはカーボンニュートラル

バイオマスという言葉は何となく知っていたものの、実際にどうやって発電するのかまでは分かりませんでした。調べてみると、直接燃焼方式、熱分解ガス化方式、生物化学的ガス化方式と、大きく3種類があるそうです。つまり、結局のところは燃料を燃やして電力を得るわけですね。じゃぁ、二酸化炭素は発生するじゃん。ってことになるわけですが、バイオマス発電については、カーボンニュートラルという考え方をするそうです。

カーボンニュートラルというのは、「バイオマスは燃焼すると当然二酸化炭素を排出しますが、もともとその二酸化炭素は植物などが成長する過程で、大気中から吸収したモノであり、トータルとして二酸化炭素の量は変化しない(増加しない)」という考え方なんだそうです。ん?分かったような、、、いまいち納得できないような、、、。

一方で、再生可能エネの太陽光発電や風力発電などが気象等に左右され、発電量が計算し難いのに対し、1日24時間の連続運転できる点がバイオマス発電の強みとのこと。うまく組み合わせることが重要になりそうですね。

イーレックスのバイオマス

イーレックスのバイオマス発電はパーム椰子の種からパーム油を搾油した後のヤシ殻を燃料にするんだそうです。屋外保存できる燃料として今注目されているとか。現在、ヤシ殻を燃料とする国内最大級のバイオマス発電所を運営していて、今後も6発電所を計画しているようです。

東京電力は水力発電

記事に戻りますが、一方の東京電力は水力発電により作られた電力を拠出すると書かれています。新会社としては、ESGへ積極的に取り組む企業向けに、再生可能エネにより発電された電力を売り込もうというお話です。

東京電力は国内に164ヶ所も水力発電を運営しているそうです。kuni的にはこの水力発電も気になっています。大規模な水力発電所の建設候補地は既になくなってしまったと言われていますが、ダムを造らない小水力発電なんてのもあるらしいです。この辺りのお話もまた別の機会に。

投資用不動産 値下がり

3/17 日本経済新聞に「投資用不動産 苦渋の圧縮」という記事が掲載されました。不動産業界で、アパートやマンションなど投資用物件の在庫を圧縮する動きが拡大し始めているとのこと。まさにサブリースショックによる不動産の値下がりが始まったわけです。

逆回転が始まった

今回記事になったのは、投資用不動産を主に扱う不動産業者ということなんでしょうか、6社の投資用不動産の在庫状況を伝えています。サムティ、ムゲンエステート、アルデプロ、ADワークス、TATERU、スターマイカといった企業が在庫の圧縮に動いているということです。

スルガ銀行やTATERUの不正で業界の実態が明るみに出て、レオパレス21の建築不正で大炎上。そして今回も金融庁が監視・牽制を強化したことで銀行の融資が大きく絞られました。これが止めを刺したという恰好です。1990年に当時の大蔵省が行った総量規制と同じ構図ですね。

1990年に始まったバブルの崩壊では、大蔵省の予想をはるかに超える急激な景気後退(いわゆるバブル崩壊)を日本経済にもたらし、不動産価格は急落、銀行の不良債権に繋がり、その後の「失われた20年」を日本に繋がるといった悪循環のトリガーになりました。

不動産バブルは崩壊するのか

結論から言うと、今回の投資用不動産の値下がりが、不動産全体に波及する可能性は低いと思います。1980年代の不動産は何もかもが値上がりし、不動産としての収益率で説明できない水準まで上昇していました。ただひたすら、値上がりするから誰もが買いたがる。裏では銀行の信用創造が無限に拡大していく。そんな世界だったんですね。今の若い人は知らないと思いますが、当時、山手線の内側の土地売却代金でアメリカ全土が買える計算になるほどの値上がりだったんです。

今回起きていることは、投資用不動産(アパートやマンション)、中でも特にサブリースという枠組みに取り込まれた対象物件だけが異常な価格に吊り上げられ、枠組みを形成する業者が大儲けし、当該案件のオーナーだけが食い物にされた。そんな構図だと思っています。おまけにこの枠組み、本来入ってこないはずの投資家が大勢取り込まれましたしね。

この枠組みにおける不動産オーナーはリピーターが非常に多いと言います。そのため銀行による信用創造、レバレッジがかなり効いており、逆回転し始めるとそれなりの勢いになる可能性がありそうですが、その他の不動産ではそれほどではないと思います。もちろん、都内の高層マンションなど、ちょっとやり過ぎじゃないのって物件は既に多いですけどね。

今回は投資用不動産の値下がりについてでしたが、もう一つ怖いのが海外からの不動産投資の状況ですね。こちらについてもまた機会があれば考えてみたいと思います。

ニュージーランド クライストチャーチ 銃乱射事件

3/15 ニュージーランドのクライストチャーチで銃乱射事件がありました。2ヶ所のモスク(イスラム教の礼拝所)が襲われ、50人が死亡。48人が病院で手当てを受けているそうです。警察は4人を逮捕したという当初の報道でしたが、後に単独犯ということに訂正されてます。亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

クライストチャーチ

この地名を聞いてまず思い出すのが、2011年2月に発生した地震です。この地震で語学学校が入居していたビルが倒壊し、日本人留学生が28人も亡くなりました。この時が初めてなんですね、kuniがこの街のことを知ったのは。気候も治安もよくて、きれいな街ということで、旅行者や留学生が多いと。

そして、その3週間後に東日本大震災が起きます。地図で見るとニュージーランドって、北海道から東北地方にかけての形に似てるんですよね。で、クライストチャーチは震源近くの三陸沖辺りに位置します。当時、こんなことを考えた記憶があります。

脱線してしまいますが、2016年にもニュージーランドで地震が起き、その2か月後に熊本地震が起きていて、その関連性を指摘しているブログがありました。偶然の一致でしょうが、何だか気持ち悪いです。

犯行の動機とか

犯人はヘルメットに付けた小型カメラで殺害場面を録画し、フェイスブックのライブ機能で中継していたそうです。フェイスブックはすぐに削除したものの、この動画はまだ拡散しているとか。今のところ犯人の動機としては、イスラムに対する嫌悪や反移民、白人至上主義などという推測がされています。

この中で、反移民という動機が個人的には気になっています。このところ、いろんな意味で世界を動かす原因になっています。トランプ大統領が作ろうとしているメキシコ国境の壁の問題。この問題で政府内は混乱し、行政機関が停止するという状況が起きています。また、EUでも折に触れ問題になりますし、特に英国に関しては移民問題に端を発したEU離脱問題に発展しています。

日本でも現実味を帯びてきた移民問題

これらの問題を巡って世界の金融市場がかなり振り回されていることは、皆さんも感じてらっしゃると思います。この反移民という感情、私たちの日本でも今後クローズアップされるんじゃないかと思っています。外国人労働者の受け入れ解禁のタイミングに合わせるかのような、日韓関係の急速な悪化。気になりますよね。

独自の文化を持つ国の国民ほど、他国からの移民が築く新しい文化の受け入れに苦労すると思われます。日本はまさにそういう国のような気がしますし、今回のニュージーランドの事件は他人事とは思えないわけです。

大和ハウス工業 中国の関連会社で不正行為

先日、2018年度の振り返りということで、大和ハウス工業の元営業所長が4000万円のキックバックを受けていた件について書きました。すると、書いた途端に別のニュース。4000万円のキックバックどころじゃありません。今回は円換算して約234憶円だそうです。

大連大和中盛房地産有限公司

プレスリリースによると、大和ハウスが中国現地企業の大連中盛集団有限公司との合弁により設立した大連大和中盛房地産有限公司が、今回の不正の舞台。大和ハウスにとっては持分法適用関連会社です。この約234億円全額が回収できなかった場合は、半分の約117億円を大和ハウスが損失計上することになるそうです。

不正行為の概要

この関連会社の経理担当者が、預金残高と帳簿に差異があることを発見、その翌日の3/13に社内で調査した結果として公表しています。なんと、合弁先から派遣されている取締役2名と出納担当者の計3名による不正の疑いがあるそうです。既に現地の捜査当局に業務上横領等の疑いで刑事告訴の手続きに入ったとしています。

ネットバンキングで現金が不正に引き出されたとのことで、現金の引き出しや送金が2015年以降複数回あったようです。大和ハウスは内部統制システムの見直しを進めるため、第三者委員会を設置する方針とのこと。

中国でのこの手の事件ってまともに解決できるんでしょうかね。これだけの金が動いていると、当局等の役人も軽く買収されちゃったりしてね。まぁ、昔の中国とは違って、国際問題になってしまいそうな、いい加減な対応はさすがにもうしないんでしょうけど。それでも、中国、韓国って鬼門ですよね。

ちなみに、この合弁会社、設立は2005年。読み方は「ダイレンダイワチュウセイボウチサンユウゲンコンス」です。意外にそのまま。

同社の情報開示対応

今回の件は事案発見後速やかに開示されており、いい感じなんですが。前回のキックバックの件が全く非開示のままというのが引っ掛かっていて、どうも素直にこのニュースも消化できないんですよね。

産経新聞によると、合弁先の建設会社がこの関連会社が開発した物件を無断で譲渡していたことが発覚し、昨年夏から両社の対立が深まっていたとも伝えています。ところがこの辺りの話はプレスリリースには出てきません。これって結構重要な情報じゃないですかね。

最後に、全然話が脱線しちゃうんですが、レオパレス21の問題を受け、「国土交通省が年間1千戸以上の共同住宅を供給している事業者を対象に、品質管理態勢に関する実態調査に乗り出す」と伝えられました。大和ハウス工業も大和リビングとかの関連会社でサブリースやってるみたいですし、調査の対象になると思われます。