先日、TSUTAYAに対する課徴金納付命令について記事にしました。同社の動画配信サービス等に関する宣伝が、景品表示法違反にあたるとして、消費者庁が命令を出したというものです。kuniは証券会社におりましたので、金融商品取引法における課徴金には馴染みがあるものの、その他の法律に関しては詳しくありません。ということで少し整理してみました。
金融商品取引法(金商法)金融庁
金商法における課徴金制度は、証券市場の公正性や透明性を確保するため、証券市場への信頼を害する違法行為に対して、行政上の措置として違反者に対して金銭的負担を課す制度として2005年4月から導入されました。
制度の対象となるのは、不公正取引(インサイダー取引や相場操縦、風説の流布など)、有価証券報告書の不提出や虚偽記載、大量保有報告書の不提出や虚偽記載といった違反行為です。実態としてはインサイダー取引に対する命令が圧倒的に多いですね。
証券取引等監視委員会が調査を行い、課徴金の対象となる法令違反があると認めた場合、金融庁へ勧告を行います。その後金融庁長官から課徴金納付命令が出されるという手続きになります。なお、金融庁長官が課徴金納付命令を出すケースとしては、他に公認会計士法に基づくものもあります(今回は省略します)。
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)消費者庁
2013年度に、ホテル・レストラン等で、メニュー表示とは異なる食材を使用した料理を提供していた食品偽装等が社会問題になりました。このような一連の表示問題を受け、不当表示等の適正化に向けた体制の強化や違反行為の抑止を目的として、2014年に景品表示法が改正され、課徴金制度は同法が施行された2016年4月から導入されています。意外に最近のことだったんですね。
制度の対象となるのは、食品に限らず、あらゆる商品やサービスについて、実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)と、実際より著しく有利であると誤認される表示(有利誤認表示)をする行為です。冒頭紹介したTSUTAYAが最新の事例ですね。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)公正取引委員会
法律の目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすることです。カルテル、入札談合等の違反行為を防止する目的で設けられています。公正取引委員会は、事業者等が課徴金の対象となる独占禁止法違反行為を行っていた場合、当該違反事業者等に対して、課徴金を国庫に納付することを命じます。独占禁止法における課徴金制度は歴史があり、その導入は1977年なんだそうです。
課徴金の対象となるのは、不当な取引制限(カルテル、談合)、排除型私的独占、支配型私的独占、共同の取引拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用があります。今話題になっている、ネット通販の大手に対する調査は、まさにこの優越的地位の濫用に当たるかどうかの調査ですね。
この独占禁止法にかかる課徴金については、自主申告により課徴金が減免されるという、課徴金減免制度が設けられています。自主申告した申請順位ごとに減免率が定められています。