合繊最大手の東レは4/27、「当社元従業員による不正行為について」を公表しました。同社のホームページで確認できます。が、しかし、適時開示はしていません。日本を代表する企業なんですが、開示に関してはずいぶんと雑ですね。これはいただけません。
不正の概要
同社の説明によると、元従業員が担当する繊維を販売する商流において、糸加工の業務委託に関連し、長年にわたり当該業務代金を委託先から自らに環流させ、着服した不正行為とのこと。社内調査では、現在までに約2億5千万円の着服を確認しているといいます。還流させる資金を作るために、架空取引?、水増し取引?、その辺りの説明はありません。
また、当該商流の一部において、本来あるべき時期よりも早期に、販売先に対する売上を計上するという不適切な会計処理があることも確認されたとしています。不正行為が明らかになったため、当該元従業員を今年4月27日付で懲戒解雇処分としたそうです。
従業員一人の不正行為でいいのか
酷い開示ですね。行為を行った従業員の性別、年齢すらも分かりません。まず懲戒解雇ありき。こういう会社はどうも信用できません。多くの企業が第三者委員会等を設置し、企業にとって都合の悪いことまでも含めて、第三者の目線で調査してもらっています。
行為を行った者だけではなく、当該行為が発生するに至った様々な問題点を解明し、再発防止に役立てる。そういう視点がなさそうですね。まず行為者を切り捨て、被害がほかへ拡大するのを防いでいる、、、かのように見えてしまいます。
同社では2019年2月にも、従業員の不正行為(有印私文書偽造、同行使罪等)が発覚しており、この際も同従業員を懲戒解雇したという開示だけで済ませていました。経営やマネジメント等における問題は何ら解決されていないのではないか。そう感じさせますね。