前田建設 前田道路のTOBを振り返る

コロナの影響で資金調達に走る企業が増えています。先週末にもJALの公募増資による1680億円の調達の話題がありました。このニュースを見てある出来事を思い出しました。今年春の出来事、前田建設による前田道路への敵対的TOBのお話です。

何とも残念な

このTOBに関しては下に出ている関連記事をお読みいただくとして、なぜこの件を思い出したかというと、なんであのタイミングで特別配当を出し、内部留保を535億円も吐き出してしまったんだっけ、、、という疑問が湧いたからなんです。

前田道路が採った捨て身の焦土作戦だとか、戦術の問題はさておき、新型コロナの影響で今では上場企業の多くが運転資金の確保に走り回っているわけです。なんとも残念なタイミングだったんだなぁ、と。

前田建設によるTOBが成立したのは3月12日でした。その日の夜中、米国ニューヨークではダウ工業株平均がブラックマンデー以来の急落に襲われます。前日比2,352ドル安の21,200ドル。下げ幅では史上最大の下げでした。翌日東京市場も一時1,800円を超える下げ。

コロナショックを読み違え

TOBを決めた当時、コロナショックで経済がここまで冷え込んでしまい、企業が生き残るために一番重要なのは「キャッシュ」という時代が来るとは、両社ともに読めてなかったでしょうね。

先日、三洋化成と日本触媒も経営統合中止を発表していました。こちらは円満に進んでいた話ではありますが、やはりコロナの影響を中止の原因としてあげていました。前田建設と前田道路の件も、あと1ヶ月、2か月、タイミングが遅かったらどうなってたでしょう。

前田道路株式、TOBで取得された価格は3,950円。11月6日終値は1,816円です。キャッシュは大量に流出するわ、取得した株は半値以下に落ち込むわ。ん~、何とも残念な結果です。