関西スーパー オーケーの最後のプレスリリース

一昨日、関西スーパーの経営統合について書きました。最終的に最高裁は関西スーパーの臨時株主総会における決議(エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の企業との経営統合)を有効とし、オーケー側が敗北したという流れ。

そのプレスリリース

敗北を認める最後のプレスリリース。メチャ格好いいですよ、とだけ書いていたんですが、そのプレスリリース、取り上げておきます。まず、タイトルは「関西スーパー様の株式交換の差止めの仮処分に係る最高裁判所の判断について」。以下引用です。

2021年11月9日の本件申立てから本日までの非常に限られた期間の中で、集中的にご審議いただきました裁判所関係者の皆様、及び公正中立の立場から臨時株主総会を調査いただいた総会検査役には、深く感謝申し上げます。

また、弊社提案をご支持いただきました関西スーパー様の株主の皆様にも、これまでのご支援に厚く御礼を申し上げます。さらに、2021年9月3日に弊社による関西スーパー様への提案を公表して以降、本件についてご報道いただきました報道機関の皆様にも大変感謝しております。

弊社提案の実現こそ叶いませんでしたが、かつて大変お世話になった関西スーパー様が、この度のイズミヤ様及び阪急オアシス様との経営統合のご成功により、今後、益々ご発展されることを心よりお祈り申し上げます。引用ここまで。

どうでしょう。負けてもこの潔さ。関係したあらゆる人たちへの感謝の気持ち。これほど素敵な敗北宣言は見たことありません。いや、より大きな意味では彼らは負けてないのかもしれません。

東京ドーム TOB オアシス・マネジメントが賛同

東京ドームに対するTOB(株式公開買付)を行っている三井不動産は12/8、最大の株主であるオアシス・マネジメントがこのTOBに賛同し、保有する全株式を公開買付価格で応募する意向であることを公表しました。意外とあっさりでしたね。

公開買付価格 1,300円

オアシス・マネジメントが買付価格等に引き上げ要求でもしてくるのではないか、、、というのが一部の市場参加者のヨミだったと思われます。そのためTOB公表後、11/30~12/8までの7営業日の間、市場では1,300円以上で株価は推移しました。一時は1,400円台も。

ところが、12/8のオアシスが賛同を表明という開示がされた途端、翌日12/9は売り気配。寄り付きは1,299円となりました。まぁ、当然といえば当然なんですが、1,300円以上を買った人たちには、残念な結果でしたね。7営業日の間に、上手く売り抜けた人もいるでしょうが。

良く分からない開示

それにしても三井不動産の開示の内容がよく理解できません。オアシス・マネジメントについては、「応募する意向」とか「契約を締結する用意がある」という表現で、「確定」ではないことを匂わせています。

一番分からないのが次の部分。「関連する条項について合意が成立し、内部的な承認手続きが完了することを条件として」という但し書き部分。後半はともかく、関連する条項について合意が成立、とはどういう意味なんでしょうね。

そして、そもそもこの開示のタイトルが「東京ドーム株式に対する公開買付に伴うオアシス・マネジメントとの公開買付応募にかかる協議開始に関するお知らせ」。となっていること。これから協議することがまだまだあるようなタイトルです。

これってオアシスが株主提案していた、社長含む現取締役3人の解任の件を指してますかね。あくまで現取締役を排除することにはこだわっていると。。。

東京ドームTOB 三井不動産 読売新聞 みずほ銀行

オアシス・マネジメントの請求で臨時株主総会を予定していた東京ドーム。相当もめることになるだろうなと思っていたところへ、ホワイトナイトが登場しましたね。三井不動産が東京ドームにTOBを仕掛けました。この情報も公表前にメディアに漏れ出してました。

TOBの概要

三井不動産が行うTOBは、買付価格1株につき1,300円。買付期間は11/30~1/18までの31営業日。買付予定株数が買えたとすると、買付代金の総額は1,205億円におよびます。株主がTOBに応じる際の取扱いをするのは野村證券ですね。

今回のこのTOBが成立後、20%の株式が読売新聞グループ本社に譲渡され、、、つまり、東京ドームに20%出資する形になります。で、東京ドーム株は上場廃止になると。

東京ドームの敷地にはスタジアムのほか、ホテルや遊園地、スパ施設なんかもありますね。丸の内線後楽園駅と総武線水道橋駅に挟まれた一帯で、メチャクチャ交通の便の良いところです。ここで本格的なボールパーク開発を進めるということです。面白そうです。

読売新聞グループ本社 みずほ銀行

読売の20%はちょっとしょぼい感じですね。本業ではもう後がないんですから、ジャイアンツとボールパークに本気で取り組んでも良さそうなもんです。まぁ、稼げてないからそこまでの余裕もないってことでしょうか。

そしてTOBに応じることをあらかじめ決めてしまっているみずほ銀行も。まぁ、政策保有株を売らなきゃならないわけで、高価買取、、、渡りに船というところでしょうね。これもちょっと残念。

市場価格がTOB価格を上回って

TOB価格1,300円なのに、12/1のドーム株価は1,350円。終日1,300円を上回って推移しました。1,350円で買ってTOBに応募したら損するわけですからね。何かあります。おそらくオアシス・マネジメントが出てきて、、、TOB価格が吊り上がる可能性を買ってきてるんでしょう。まだまだ波乱の予感が。。。

前田建設 前田道路のTOBを振り返る

コロナの影響で資金調達に走る企業が増えています。先週末にもJALの公募増資による1680億円の調達の話題がありました。このニュースを見てある出来事を思い出しました。今年春の出来事、前田建設による前田道路への敵対的TOBのお話です。

何とも残念な

このTOBに関しては下に出ている関連記事をお読みいただくとして、なぜこの件を思い出したかというと、なんであのタイミングで特別配当を出し、内部留保を535億円も吐き出してしまったんだっけ、、、という疑問が湧いたからなんです。

前田道路が採った捨て身の焦土作戦だとか、戦術の問題はさておき、新型コロナの影響で今では上場企業の多くが運転資金の確保に走り回っているわけです。なんとも残念なタイミングだったんだなぁ、と。

前田建設によるTOBが成立したのは3月12日でした。その日の夜中、米国ニューヨークではダウ工業株平均がブラックマンデー以来の急落に襲われます。前日比2,352ドル安の21,200ドル。下げ幅では史上最大の下げでした。翌日東京市場も一時1,800円を超える下げ。

コロナショックを読み違え

TOBを決めた当時、コロナショックで経済がここまで冷え込んでしまい、企業が生き残るために一番重要なのは「キャッシュ」という時代が来るとは、両社ともに読めてなかったでしょうね。

先日、三洋化成と日本触媒も経営統合中止を発表していました。こちらは円満に進んでいた話ではありますが、やはりコロナの影響を中止の原因としてあげていました。前田建設と前田道路の件も、あと1ヶ月、2か月、タイミングが遅かったらどうなってたでしょう。

前田道路株式、TOBで取得された価格は3,950円。11月6日終値は1,816円です。キャッシュは大量に流出するわ、取得した株は半値以下に落ち込むわ。ん~、何とも残念な結果です。

前田道路 NIPPOと資本提携 前田建設のTOB

前田建設工業から敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けられている前田道路。従来の2020年3月期計画の6倍に相当する535億円の特別配当実施のニュースが今月21日。さらに、今度は27日、同業のNIPPOと資本・業務提携の協議を始めると発表しました。

NIPPOとの提携

最初にこのニュースを見た時、「またずいぶんふざけたことやるもんだなぁ」というのが第一印象でした。当ブログでも過去に取り上げました、道路舗装用アスファルト合材カルテルの仲間同士です。

アスファルト合材の価格を不正に引き上げるカルテルを結んでいた9社。公正取引委員会は、独占禁止法違反(不当な取引制限)で、過去最高となる総額399億円の課徴金納付を命じましたが、その道路舗装大手9社のうちの1社が前田道路。そしてもう1社がNIPPOです。NIPPOはカルテルには加わっていましたが、違反を自己申告したようで、処分は免除されています。

業界1位のNIPPOと2位の前田道路の提携ですので、独占禁止法に抵触する可能性に言及しているメディアが多いようですが、公正取引委員会はどう判断するんでしょうか。わずか半年ほど前に処分したばかりですからね。この「カルテル組んでた2社が」という感情的なものもあるでしょうし。

前田道路の言い分

とまぁ、良いイメージのない前田道路だったんですが、同社のTOBに対する反対意見表明のお知らせや、特別配当のお知らせの中での主張は、至極真っ当なものですね。

前田建設は前田道路が抱える内部留保を狙って子会社化を企んでいるが、内部留保は株主全員の利益であり、前田建設だけに提供されるものではない。よって当該内部留保を特別配当と言いう形で株主全員に還元する。そんな感じです。

特別配当は前田建設にも支払われるわけですから、これはこれで前田建設にとっても良い話かもしれません。ということですが、このまま手打ちになるかというと、、、まだ続きがありそうです。