米投資ファンドのKKR 傘下の総合スーパー「西友」を売却?

報道によると、米投資ファンドのKKRが傘下の総合スーパー「西友」の売却を検討していることが1/7、わかったとのこと。セブン&アイHD傘下のイトーヨーカ堂の件もあり、総合スーパー国内大手の再編が加速してきました。

西友

1956年に西武百貨店から独立し、西武ストアとして設立スタート。その後西友に社名変更し、2008年には米ウォルマートの完全子会社になりました。2020年代には米投資ファンドのKKRの傘下へと、経営母体が変わってきました。そして今回KKRが売却に動くと。

株式売却に向けた入札手続き

株式売却に向けた入札手続きを始めており、イオンやパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ドン・キホーテ)、トライアルホールディングスなど、小売り大手に加えて投資ファンドも応札したもようとのこと。買収額は数千億円に上る可能性があるといいます。

最近人気上昇中の「無印良品(良品計画)」も実はもともと西友のプライベートブランドからスピンアウトしたものだし、現在も「みなさまのお墨付き」シリーズは人気があります。が、しかし、とにかく経営が安定しないんですね。さて、どこが買収することになるでしょう。個人的に期待するのはドンキかな。

日立化成 昭和電工が優先交渉権

2次入札が締め切られていた日立化成の売却ですが、残っていると言われていた4陣営の中から、昭和電工が選ばれました。まぁ、2次入札に残った中では順当と言えば順当なところですかね。日経の報道によると、日立製作所の保有株に加え、残りの49%も含めた全株式を取得することを視野に入れているとのこと。

ちと高すぎる買い物では?

同じく日経の記事では、全株式を買い付けるとなると、買収額は9000億円になるとも伝えていますが、昨日の日立化成株が急騰したため、1兆円規模になってもおかしくない展開になっています。いやぁ、マネーゲーム化してきました。この急騰を見越して仕込んできた投資家の皆さん、おめでとうございます。

一方で、買収する昭和電工の方はと言うと、急落です。買収資金の調達で株式を新たに発行することになると、、、ということを投資家は懸念したんでしょうかね。昭和電工の手元資金、現金および現金同等物の期末残高はせいぜい1100億円ですから、何らかの形で巨額の資金調達が必要です。

自社株の新規発行での調達、社債での調達、銀行からの借り入れ、LBO(レバレッジドバイアウト)、いろいろな選択肢はあるでしょうが、いずれにしても昭和電工には財務上の負荷がデカすぎるような気がします。

あれからちょうど1年

2018年11月22日、今からちょうど一年前。日立化成は不適切な検査等に関する特別調査委員会の報告書を受領し、再発防止策を公表するとともに、役員等の報酬減額という一連の処置を実施しました。あれからちょうど一年経ったことで喪が明ける? 何かとタイミングの良い日立の戦略ですが、今回もちょうど一年というところで売却先決定の公表です。これまた絶妙なタイミングですね。

日立化成 2次入札も終了

親会社日立の、「ルマーダ」との相乗効果が見込めないという判断から、売却の方向で進んできた日立化成の入札。先週11/15をもって2次入札も締め切られました。米投資ファンドのベインキャピタル、カーライル・グループと日東電工、昭和電工の4陣営が入札に進んだといわれています。

8000億円~9000億円

日経ビジネスがこの話題を取り上げていました。一次入札では、投資ファンドや韓国企業が、かなり高い価格で応札したとか。『8000億円~9000億円超(日立化成の時価総額は足元で約7000億円)とかなりの高値で応札したようだ』と書かれてました。

今回入札されるのは、日立が保有する日立化成株式ですよね。日立化成の発行済み株式は2億836万株ですが、日立はその51.2%を保有。1億670万株です。この1億670万株に8000億円も投入するんでしょうか。一株当たり8000円ですよ。これはいくら何でも高すぎますよね。

先ほどの引用部分に、カッコ書きで日立化成の時価総額が比べられているので、発行済み株式すべてを取得することを前提に8000億円と言ってるんでしょうか。まぁ、こちらのシナリオの方がまだ現実味ありますね。一株4000円ほどになります。

ところが日経ビジネスでは、「株価には買収によるプレミアムが上乗せされる。そのプレミアムは通常2~4割のところ、日立化成では2倍前後まで膨らんでいる」と書いてます。となると、やはり前者の考え方なんですかね。いやいや、春先の株価から現在は2倍になっている、、、とも読めなくはないですが。

結論がなくてすみません

筆頭株主の株式売却。おそらくM&Aにおける買収と同じような手続きで進んでいるものと思われますが、kuniにはM&A実務の経験がないもので、、、日経ビジネスの記事、感覚的によく分かりません。最後の方でディスカウントTOBもあり、、、なんてことも書いてるので、おそらく全株式取得で8000億円程度という意味だと思うんですが。

ノジマ スルガ銀行筆頭株主へ その目的

ノジマは10/30、経営再建中のスルガ銀行の筆頭株主になりました。スルガ銀行の持つクレジットカード事業が狙いではないかと言われていますが、今のところその辺りははっきりしません。11/1付の日本経済新聞で、日経がノジマ社長にインタビューをしていましたが、けむに巻かれていました。

野島社長

なんだか面白そうな人ですね。横浜ベイスターズの買収を試みたり、ITXやニフティを子会社化してきた人です。この人がM&A等で興味を示してきた企業、決してその企業の最盛期にある状況でもなさそうです。企業の持つポテンシャルに比べ、その時点での評価が低すぎる企業。そんな見方で捉えてらっしゃるんでしょう。まぁ、これが本来のM&Aのあるべき姿なんですが。

創業家の保有株式を取得

10/29付で、創業家とファミリー企業の保有する3129万株(議決権比率13.52%)を取得しています。取得金額は140億8千万円となっていますので、1株450円で取得したということですね。ノジマが筆頭株主に、、、と伝えられた直後に、スルガ銀行株は506円まで買われましたが、その後じわじわと下げてきており、この450円に収れんしつつある、そんな感じです。

ノジマは昨年中にもスルガ銀行を市場買い付けしており、こちらは1156万株(議決権比率4.99%)です。今回の取得と併せて4285万株(議決権比率18.52%)で筆頭株主になったというわけです。

純投資?

昨年、市場でスルガ銀行株を買い付けていた当時は、純投資が目的だったと言っていました。実は今でも野島社長の中では純投資に限りなく近い感覚なのかもしれませんね。

PBR0.5倍を割れた水準で取得。地銀としての収益力はかなり高い方。おまけにこの会社の最も重い病巣を全摘出(創業家との絶縁)する手術に成功したというわけです。そこにクレジットカード事業がおまけで付いてきた。そんな感じなんですかね。

欧州委員会 キャノンに制裁金34億円 ガンジャンピング

6/28付け日本経済新聞に小さく載っていた記事です。欧州連合(EU)の欧州委員会はキャノンがEUの競争法(独占禁止法)の買収ルールに違反したとして、2,800万ユーロ(約34億円)の制裁金を科すと発表したことを伝えています。

ガンジャンピング

この制裁金の決定は、2016年にキャノンが旧東芝メディカルシステムズの株式を取得した件に関するものだそうです。キャノンのホームページでも既に開示されていました。「ガンジャンピング」にあたるとして制裁金を科しているとの記述がありまして、、、「ガンジャンピング」ってなに?、ということで調べてみました。

M&Aにおける競争法(独占禁止法)に関係する論点の一つ。ガンジャンピングは Gun jumping のことだそうで、つまり陸上競技におけるフライングの意味なんだそうです。企業が合併や買収を行う際に、当局の承認を得る前に行ってはならない行為をフライングしてしまうことです。

この禁止されている行為というのが、「企業結合規制によって必要とされる事前手続きを取らないままにM&A取引を実行」する行為(届出義務違反)であったり、「事前手続きの完了後でなければ許されない行為を完了前に実施」する行為(待機義務違反)なんだそうです。他にも、競争機微情報の交換というカルテル規制違反とかもあるようです。キャノンのケースは届け出義務違反の嫌疑です。

企業結合規制

今回のキャノンによる東芝メディカルシステムズの買収、もちろん日本における日本企業同士の企業結合です。日本企業同士であっても、海外で事業を行っている場合は、こんなふうに外国の独占禁止法による制裁金を科されることがあるということです。

この規制の内容が各国で違っているみたいで、そういった規制を知らずに後から刺されて制裁金を食らってしまうケースが多いとのこと。今回のキャノンのケースも調べてみると、日本の公正取引委員会が注意喚起したのに加え、中国から30万人民元の罰金なんてのも出てきました。問題視しているのは欧州委員会だけではなかったようです。

スマホに押されて本業のカメラが不調のキャノン。前年度メディカルシステム部門で売上の11%、4,375億円を稼ぐほどこのM&Aの成果が出ています。ここで34億円といえどもケチを付けられたくないでしょう。ホームページでは以下のようにコメントしています。

「キャノンとしては、欧州委員会の判断は、根拠となる先例を欠き、EU企業結合規則および欧州司法裁判所の判例法にも矛盾するものであることから、同意できるものではないと考えています。そのため、キャノンは、本決定については欧州司法裁判所に提訴する予定です。」