モダリス(4883) 大株主がロックアップ違反

バイオベンチャーのモダリスは3/24、「『第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書』の提出に関するお知らせ」を開示しました。上場後6カ月を経過しないと同社株式を第三者に譲渡できないことを確約していた株主が、その期間中に市場売却していたということです。

ロックアップ

上場直前に第三者割当等により株式を取得した株主は、上場後6カ月を経過するまでは第三者に譲渡(売却)できない旨を確約します。これをロックアップと呼んでいます。上場直後の株式の需給バランスに配慮し、上場前に取得する者の短期利得行為を防止するのが目的です。

上場を準備している会社は、上記の対象となる全ての第三者割当を受けた者からの確約書がない場合、上場申請が受け付けられません。と、ここまでの概要は「制度ロックアップ」について。取引所の規制により定められたロックアップのことです。

他にも「任意ロックアップ」というのもあって、これは主幹事証券が任意に設定するロックアップ。大株主や創業者、役員などから一定期間売却しない約束をしてもらうことを指します。

個人大株主 K氏

で、今回ロックアップ破りをしてしまったK氏。最初に説明した制度ロックアップの対象者なんですが、ロックアップに関する確約書の存在を失念していたとブログで弁明されています。本人はこの制度ロックアップというルールを知らず、有価証券届出書の任意ロックアップ欄で自分の名前の記載がなかったため売却してしまったとのこと。

ちなみに、K氏以外の制度ロックアップ対象株式は、株式公開後6か月間に株式の異動は行われていないとのこと。しかしまぁ、市場売却された株式は60万株。売却価額は18億65百万円だそうです。K氏はロックアップ対象ではない20万株も保有されており、これも売却されてるでしょうね。

レオス・キャピタルワークス 上場延期

テノ・ホールディングス上場承認取り消し

テノ・ホールディングスの上場承認取り消しについてはこの記事で触れてみました。この時も同じようなタイミングだったと思いますが、上場承認取り消しは東証側からの一方的なモノで、その理由は「コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性に、新たに確認すべき事項が生じた」ためだとしていました。

おそらく東証への内部通報ではないかと思われますが、その後同社への聞き取り調査などを経て問題は解消したようで、再度上場申請が承認され、12月に上場を果たしました。公募価格1920円に対して、上場初値は2400円。まずまず順調なスタートを切っています。

レオス・キャピタルワークスの上場延期に関しては、主幹事証券であるみずほ証券からの申し入れによるとされています。プレスリリースによると「当社のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について、投資家保護の観点から深掘りするべき事項が発生した」ということのようです。

「関係者によると」といういつものリーク記事

「深掘りするべき事項」について、日本経済新聞は「関係者によると」と前置きしたうえで「投資家に投信を販売する際の新たに口座を開く業務フローの一部について、みずほ証券が問題視したのが原因とみられる」と書いています。

一方で、レオス・キャピタルワークスの社長は「顧客の資金や運用資産に関わる問題は一切なく、みずほ証券の要請は納得できない」と言ってるようです。けど、最終的にはこの要請を飲んでるんですけどね。また、「弁護士にも確認の上、法令違反などはなく『白』と認識しているが、それを証明することを求められた」とも語っています。

技術的な分析(妄想だと思ってください)

「新規口座開設時の業務フローの一部」から考えられることは、「本人確認手続き」とか、「反社会的勢力のチェック」、「マネロン関係チェック」といったところでしょうか。最近では北朝鮮やイランの関係者との取引なんかがよく話題になります。あとPEPs(外国要人)とかも、一般の投信運用会社にチェックできるんだろうかと思いますね。

「弁護士にも確認の上、法令違反などはなく『白』と認識」については、あまり意味がないのでは。そんなレベルの黒でしたら、ここまでたどり着いてないでしょう。2009年に上場し、翌年粉飾決算で上場廃止になったエフオーアイという会社。その主幹事証券がみずほ証券です。上場時に粉飾を見抜けなかったという苦い経験を持つ同社ですから、グレーでもそう簡単には許さないでしょうね。

マーケットが暴落中というのも・・・。主幹事証券も上場する会社も相場巧者。上場タイミングを調整するための芝居なんかじゃないですよね。ここもちょっと気になるところではあります。