高齢化と金融包摂のためのG20福岡ポリシー・プライオリティ

8/22 日本経済新聞で「G20福岡ポリシー・プライオリティ」が取り上げられていました。「金融砂漠を潤す実験」という記事の中です。

6月末に開かれた20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の宣言は高齢化と金融を結びつけるための「G20福岡ポリシー・プライオリティ」を承認事項として盛り込みました。G20と経済協力開発機構(OECD)などが検討してきた行動計画で、長生きがリスクにならないよう金融面で備えるべき8項目の提言からなります。

「福岡」の名前が付いているのは、大阪での首脳会議の前に福岡で開かれた財務相・中央銀行総裁会議に向けて検討してきたからだそうです。

8つの優先項目

この提言は、政策立案者、金融サービス提供者、消費者や実体経済における他の関係者に向けられたもので、高齢化および世界的な長寿化に伴う課題を特定し、これに対応することをサポートするためのものです。以下8項目を載せておきます。

  •  データとエビデンスを活用しよう
  •  デジタルと金融リテラシーを強化しよう
  •  生涯にわたるファイナンシャルプランニングをサポートしよう
  •  カスタマイズしよう - 高齢者の多様なニーズへの対応
  •  イノベーションを進めよう - 包摂的なテクノロジーの活用
  •  高齢者を守ろう - 高齢者への経済的な虐待や詐欺への対応
  •  みんなで連携しよう - 分野横断のアプローチ
  •  特に重要となる対象 - 脆弱性への対応

金融包摂という言葉がいたるところで使われています。金融包摂とは、高齢者であろうが、誰もが取り残されることなく金融サービスへアクセスでき、金融サービスの恩恵を受けられるようにすること。そんな意味で使われていると思います。

高齢化に向けて金融機関に何が求められるのか。世界に向けて発信された「G20福岡ポリシー・プライオリティ」ですが、まずは日本の金融関係者にしっかりとした対応をお願いしたいものです。金融庁HPの「G20福岡ポリシー・プライオリティ」へのリンクを張っておきます。是非、原文もお読みください。

働く高齢者 ひきこもり中高年 8050問題

4/16付け日本経済新聞の記事。1面には「厚生年金加入、70歳以上も」という働く高齢者に関する記事。そして、社会面には「中高年ひきこもり深刻 支える親も高齢に」という記事も。対照的な記事であり、日本を象徴する世代の今を見ているようでした。

働く高齢者

記事そのものは厚生年金への加入年齢に関する内容なんですが、注目したのは、「きょうのことば」という補足記事の方。「2018年の就業者数は、10年前に比べて255万人増え、6,664万人。15歳から64歳までの就業者数が54万人減ったのに対し、65歳以上では309万人増加した」とのこと。数字の出どころは総務省らしいです。

15歳以上64歳以下という、いわゆる生産年齢人口については、就労者数が54万人減っています。日本の場合、この生産年齢人口は今後どんどん減少していくわけですが、これを補って65歳以上が309万人も働いてくれているということですね。戦後の貧しい日本で生まれ育ち、高度成長期を支えてくれた世代。まだまだ日本を支えてくれてます。65歳以上の高齢者(この言い方は失礼ですかね)と女性の就労率拡大、日本の救世主です。

ひきこもり中高年

社会面の「中高年引きこもり深刻」。こちらはかなりショッキングです。内閣府が公表したデータですが、40歳~64歳の推計61万人が自宅に半年以上閉じこもっているとのこと。80代など高齢になった親が、ひきこもる50代ら中年の子を抱えて困窮するという現象を、福祉の現場では「8050問題」と呼ぶそうで、これが深刻になっているそうです。

収入のない中年の引きこもりですから、親を頼るしかありません。唯一社会とのつながりだったその親が高齢化してしまうと、完全に社会から孤立してしまうんですね。記事ではある教授の指摘を紹介していましたが、このひきこもりの世代が、就職氷河期で働き口を得られなかった世代なんだとか。平成10年前後、kuniのいた会社でも新人が採用できていませんでしたから、この頃の新卒の人たちだと思われます。

生産年齢人口のうち61万人もがひきこもってしまい、一方で、65歳以上の309万人もがまだ現役で頑張ってくれている。なんだか考えさせられますね。どちらもその時代や社会が産んだ日本人像、ということでしょうか。インターネットの普及でクラウドソーシング・リモートワークなど、人との交流なしで働ける機会も増加してきていると聞きます。この人たちにも頑張ってもらいたいものです。