上場企業ホームページにフェイクニュースで株価操作

ジーエヌアイグループは3/10、「当社子会社ウェブサイトにおける偽情報の掲載と対応について」を公表しました。連結子会社である北京コンチネント薬業有限公司のホームページ上に、生成AIによる制作と思われるフェイクニュースが掲載されたということです。

ジーエヌアイグループ

ジーエヌアイグループは、中国を拠点に、バイオ技術を活用して新薬探索・臨床開発から製造、販売まで垂直統合型で事業を行う企業。主にアジアで患者の多い疾患をターゲットにした治療薬を開発している東証グロース上場企業です。

事案の概要

掲載されたフェイクニュースは、「新薬の臨床試験が失敗した」といった情報のようですが、これを受け3/5の東証で同社の株価は2475円(700円安のストップ安)まで売られました。こうした状況に対する対応が(そんなことありませよという)冒頭の開示なんですね。

この事案は上場企業各社しっかり認識する必要がありそうです。上場企業やその子会社などのホームページに侵入し、フェイクニュースを掲載することで簡単に株価を急騰、もしくは急落させることができるという事実です。行為者はあらかじめ同社株を買い付け、もしくは売り付けておけば大儲けという手口です。

企業のホームページでのお知らせやニュースなんて信用できないってことになっていきそうです。やはりこうした情報は適時開示で公表するべきですよね(もちろんTDnetが全面的に安全ってわけでもないけど)。子会社のHPでフェイクニュース流されて、それへの否定を親会社のHPだけでやってる(適時開示はしていない)ジーエヌアイグループの対応はイケてません。

ヤフー掲示板で風説の流布 会社役員の男性に課徴金納付命令

証券取引等監視委員会は7/26、「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に係る風説の流布に対する課徴金納付命令の勧告について」を公表しました。利益を得る目的で嘘の情報を流し、株価を吊り上げたとして、会社役員の男性に課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告しました。

勧告の概要

「Yahoo!ファイナンス」内の電子掲示板に、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズに関して、合理的根拠のない情報を投稿し、これにより、同社の株式の価格を上昇させ、もって有価証券の売買のため、かつ、相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、当該風説の流布により有価証券の価格に影響を与えたとしています。

上記のように、価格を変動させる目的で、虚偽の情報を流すことにより、東京都内に住む50代の会社役員の男性は、およそ139万円の利益を得たということです。これに対して監視委員会は課徴金(209万円)納付命令を出すよう金融庁に勧告しました。

風説の流布で課徴金

過去に聞いたことないなぁ、なんて感じましたが、「風説の流布」によって課徴金納付命令の勧告が出るのは初めてなんだそう。偽情報の共有や拡散がSNS等でいとも簡単にできるような時代になっているわけですから、監視委員会の初対応は正解、至極当然なものだと考えます。っていうか、むしろ遅すぎたんじゃね、ってのが本音。