SMBC日興証券 副社長の逮捕

東京地検特捜部は3/24、法人としてのSMBC日興証券と幹部5人を金融商品取引法違反の罪で起訴するとともに、副社長を同法違反容疑で逮捕しました。大手証券会社で相場操縦罪に問われる事件というのは初めてだそうです。うん、確かに聞いたことないね。

副社長

証券会社としてこの罪で起訴されたのって、数年前に丸三証券があげられたくらいですかね。日本国債の先物取引で相場操縦をしていたとして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、、、ってのもありましたが。株式での相場操縦は大手で初めてだと思われます。

法人としての起訴もさることながら、副社長の逮捕ってのは強烈ですね。この副社長さん、1987年に現在の三井住友銀行に入行された方だそう。やはり証券の世界で育った人じゃなかったんですね。以前SMBC日興でインサイダー取引で騒ぎを起こした役員も銀行から来られた人でした。

みずほ証券でもみずほ銀行から天下ってきた役員が不祥事を起こしたことがありました。こうしてみると銀行系証券会社って、だいたい天下り組が何かしでかすんですよね。金融商品取引法などの法規制をよく理解せず、元の出世コースに戻ることを目的にいろいろやらかしてしまう。

親の銀行は

SMBC日興証券は3/5に調査委員会の設置や、3/24に役員の逮捕について開示していますが、あくまで証券としての開示。これだけの大事になっているものの、親会社の三井住友フィナンシャルグループとしては沈黙を守っています。

SMBC日興の社長は会見で「証券の問題」との認識を述べているようですが、明らかに親会社の三井住友フィナンシャルグループの問題だと思います。金融庁は親会社の三井住友フィナンシャルグループの責任についても追及してくるでしょう。

SMBC日興証券 幹部7人に加え法人も刑事告発 副社長も逮捕

証券取引等監視委員会は3/23、「SMBC日興証券株式会社による相場操縦事件の告発について」を公表しました。金融商品取引法違反(安定操作)の嫌疑で、嫌疑法人1社及び嫌疑者7名を東京地方検察庁に告発したということです。

おさらい

7人はSMBC日興が大株主から保有株をいったん引き取って投資家に転売する「ブロックオファー」取引に絡み、東証1部上場企業5社の株価を不正に安定させる目的で大量の買い注文を出した疑いがあるということですね。

とりあえず金商法違反を問われている5銘柄は、株式会社小糸製作所、株式会社モスフードサービス、アズワン株式会社、株式会社ファイバーゲート、株式会社京葉銀行の5社。先日書いたように、少なくともこれら以外の5銘柄についても捜査が進んでいるようです。

法人まで 副社長も

同社が行う自己売買の監視など、違法行為を防ぐための社内の体制も不十分だったとして、金商法の相場操縦罪に関する法人を罰する両罰規定を適用しようというものです。っていうか、役職員なのか、会社行為なのか、じゃなくて経営ですよ。多少あくどいことするにしても実績上げそうな外国人の専門家をスカウトしてきたってこと。

外国人の役員は雇われ期間中に最大限の成果を上げるだけ。後に法令違反を追及され、辞任に至ったところで、十分に元が取れてる。って話です。だからいつまでも質の悪い外資系出身者が後を絶たない。

この記事書いている最中、3/24の夕方には、この違法な取引に関与していたとして副社長も逮捕された、と報道されてます。

SMBC日興証券 相場操縦疑いで役員ら幹部4人逮捕

SMBC日興証券の相場操縦疑惑で、東京地検特捜部は3/4、特定の銘柄について人為的に株価を操作する取引をした疑いが強まったとして、執行役員を含む同社幹部4人を金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で逮捕しました。

おさらい

逮捕容疑は、2019年12月から20年11月にかけ、東証1部上場の企業5社の株式(いや、もっとあるはずだけど)を巡り、株価を不正に安定させる目的で、買い注文を大量に入れるなど不正な取引をした疑い。

問題となっているのは、大株主の保有株を立会時間外で投資家に転売する「ブロックオファー」の仲介業務です。買い手を募り、完売できる見通しが立った日の終値が、下手に下げてしまうと売り手(大株主)が売却をためらう可能性がある。そのため、同日引け際で当該株価を買い支えていたというものですね。

逮捕者と同社の対応

逮捕された4人のトップである容疑者は、相場操縦ではなく通常の売買であると主張しているようですが、SMBC日興の社長は既に、「市場の公平性と公正性に疑問を生じさせる行為であることは明らか」と、謝罪会見を行っています。

さらに、「公正性を維持するための売買管理体制が十分でなかった可能性がある」とも。いやいやそれは違うでしょ。売買管理部門は問題のある売買をちゃんと見ていたはずです。通常の引け値関与とは違って、それは問題ないんだ。という経営の判断のもと審査基準の適用を除外していたはず。

ようするに経営が問題なしと認めていたということだと思います。経営陣の問題です。今はどうだか知らないけど、この会社、コンプライアンス部門は本社(営業部門)とは別の場所に置き続けてました。コンプラや監査といった部署を、現場から引き離している会社は要注意です。

アサヒ衛陶 インサイダー取引で元社長ら逮捕

アサヒ衛陶は1/26、「当社元代表取締役の逮捕について」を公表しました。同日、大阪地方検察庁により、金融商品取引法違反の疑いがあるとして、同社元代表取締役社長である町元孝二氏が逮捕されたということです。

アサヒ衛陶

アサヒ衛陶は水洗便器、トイレカウンター、手洗器などの衛生機器や、洗面化粧台、化粧鏡、洗面ボウルなどの洗面機器の製造販売および仕入販売を手掛ける企業。業務提携や海外進出により販路を拡大し、主要な顧客はコーナン商事などだそうです。1950年、江戸時代享保年間(約300年前)に創業した東証2部上場企業です。

事件の概要

家電量販大手「ヤマダ電機(当時)」との業務提携公表前の2017年8月に当時の社長と同じく同社元役員の知人が同社株式を買い付けたという容疑。大阪地検特捜部が金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で二人を逮捕しました。

町元容疑者は業務提携情報を知人の容疑者に伝えた上、2017年8月に約580万円分のアサヒ衛陶株を別の会社名義で購入。さらに知人容疑者は同年8~11月に計約8690万円分のアサヒ衛陶株を買い付けた疑いだそうです。この提携ニュースを受けて、株価は1300円前後から一時3300円台に高騰しています。

町元容疑者は2020年11月に、健康上の理由ということで取締役を退任し、同日、同社の全役職も辞任することにより同社を離れているようです。

しかしまぁ、こんな手口で美味しい儲けができると思ったんですかね。会社の利益ではなく、自身の利益を優先する経営者。酷いもんです。あっ、ちなみにアサヒ衛陶や役職員及び元役職員の本件への関与は一切ないとのことです。

モルフォ 従業員持株会のインサイダー取引 課徴金を取り消し

東証マザーズ上場で画像処理用ソフトウエア開発の「モルフォ」の業務提携を巡る、同社株のインサイダー取引。「従業員持株会」まで課徴金が。金融庁から課徴金納付命令を受けた同社従業員らが処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、請求を認め、納付命令を取り消しました。

おさらい

「モルフォのAI学習環境をデンソーが高度運転支援システム向けの画像認識開発に採用」という、デンソーとの業務提携という重要事実を巡るインサイダー取引でしたね。役員1人と社員が課徴金納付命令を受けたという事件でした。

まず役員1名が国に処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、昨年11月に東京地裁が請求を認め、課徴金納付命令を取り消しました。

これに続いて今回の判決。従業員5人が同年10月に従業員持ち株会への拠出金を増額するなどした件についても、従業員らが処分取り消しを求めた訴訟の判決で、地裁は請求を認め、納付命令を取り消しました。

判決理由

従業員が従業員持株会への拠出金を増額する時点で、業務提携などの重要事実を知っていたとは言えないと判断したということらしいです。これに関してはそうなんだ、っていう感じでしかないんですが、次の理由は少々気になるところ。

持ち株会による株取引について、「適宜のタイミングで持ち分を売却することができず、高値で売却して利益を確定させることも困難」だから、というもの。おいおい、ここ否定してしまうと、持株会もインサイダーの規制対象としている金商法の規定が成り立ちません。上手く売り抜けられないからインサイダーじゃないと。さて、金融庁はどう動くんでしょう。