SBI SBIソーシャルレンディング 自主的な廃業

SBIホールディングスは5/24、「当社子会社のSBIソーシャルレンディングの今後の事業運営について」を公表しました。当面の間、新規募集を停止し、再発防止策の整備等を進めるとしていましたが、同事業からの撤退ということになりました。

金融庁

この開示に先立ち、日本経済新聞の5/22付け記事では、「金融庁がSBIホールディングス子会社のSBIソーシャルレンディングに業務停止命令を出す方針を固めた。」というのがありました。

太陽光発電事業者が手掛ける完成の見込みの薄い開発案件に融資。資金使途が投資家に説明した内容と異なる虚偽の表示にあたるとして、金融商品取引法の違反に該当する行為だというのが調査委員会の見立てでした。

金融庁はSBIソーシャルレンディングに対して報告徴求命令を出していたようで、その内容を精査しながら処分内容の検討を進めていたようです。記事では、金商法への重大な違反行為があったとして業務停止命令に踏み切る。としていました。

自主的廃業

この記事が伝えられた二日後の5/24、業務停止命令を受ける前に、自主的廃業という判断に。潔いですね。SBIという会社、金融庁との距離感を測るのがとても上手です。

今回のケース、貸出先の精査が不十分だったのかもしれませんが、「結果的に投資家を裏切ることになった場合でも、虚偽の表示に該当する」、という業界にとっての厳しい違反事例を提供することになりました。金融庁も満足してるでしょうね。投資家は保護されましたし、業者にはよい牽制になったでしょう。

自主的廃業が伝わった5/24、SBIホールディングスの株価は2703円(-74円)でした。今さら売られる材料でもないと思いますけどね。

日本フォームサービス 有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令(その2)

昨日は監査法人の話で終わってしまいました。日本フォームサービスも酷いですね。6月に公表された第三者委員会の報告書を読みましたが、正直言って上場するレベルの会社じゃなかったようです。すでに9月、前社長含む取締役3名、監査役3名いずれも退任してしています。

第三者委員会の報告書

報告書からいくつかご紹介。取締役会は事業報告には毎年度12回開催しているとし、議事録も存在するが、実際は毎年度3回ずつしか開催されていない。監査役会は毎年度4回開催されたことになっているが、実際は監査役会は開催されたことはなかった。凄いでしょ。

ワンマン社長が、社長ミーティングなる会議ですべてを指示してお終い。そのため議論するための会議は必要なし。こんな会社だったようです。社長ミーティングや経営会議の録音データの一部が残っていたようで、第三者委員会はこのデータに基づき、粉飾の手口を解明していきます。

しかし、、、なんで録音データなんか残ってたんでしょうね。一部には社長のやり方に反発する向きもあって、その証跡にと・・・。といった妄想してしまいます。

粉飾の手口としては、「仕入れの未計上」、「在庫の水増し」、「預かり在庫売り上げ計上のための偽装」、「収益の前倒し計上」、「費用の未計上」、「賞与引当金の過少計上」、「減損認識の操作」、「連結会社間の利益の付け替え」などなど。社長指示に基づき、経営陣も認識する意図的な会計操作の嵐です。

反面教師として

社長のトップダウンですべてが決まる危うい会社。このサイズの企業では決して珍しくないですよね。メリットもあるでしょうが、トップの暴走を止めるはずの取締役や監査役が全く機能していません。社外取締役についても、この会社は否定してきたようです。そりゃそうでしょうね。

コーポレートガバナンス・コードが求める様々な対応、、、何故そうした対応が必要なのかを考えるにあたり、とても良い例題になりそうな企業です。

日本フォームサービス 有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令

証券取引等監視委員会は12/6、日本フォームサービス株式会社に課徴金納付命令を発出するよう勧告を行いました。金商法に規定された重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書を提出したためですね。課徴金の額は2400万円です。

今年は多いなぁ

以前、すてきナイスグループや明豊エンタープライズについて取り上げたことがありましたが、今年は不適切な会計絡みの事件が多いなぁと思っていました。東京商工リサーチではこのことも調査していて、やはり過去最多になっているそうです。上場企業における不適切会計のこれまでの最多は2016年の57社でしたが、今年は11月末時点ですでにそれを上回り64社だそうです。

コンプライアンス意識が高まり、監査法人による厳格な監査が実施されるようになったことも、不適切な会計処理や役員・従業員による着服等が発見されるきっかけになってるのかもしれません。しかし、今回の日本フォームサービスについてはかなり事情が違っているようです。

監査法人大手門会計事務所

同じ12/6、公認会計士・監査審査会は、監査法人大手門会計事務所に対して行政処分その他の措置を講ずるよう金融庁長官に勧告しています。この会計事務所、今年の夏あたりまで日本フォームサービスの監査法人だったんですね。

勧告の内容も酷いもので、「監査報告書の提出期限内に、無限定適正意見を表明することを最優先と考え、職業的専門家としての正当な注意を払っておらず・・・」なんてくだりもあります。

この会計事務所、上場企業のクライアントを12社持っているみたいです。あえて企業名は書きませんが、クライアントは勧告の内容にあるような、なんでも無限定適正意見を出してくれるところを買ってるんですかね。

話が脱線しまくり、、、肝心の日本フォームサービスの話が書けなくなってきました。この続きは明日書かせていただきます。

かんぽ生命 日本郵便 金融庁立ち入り検査

9/11付の日本経済新聞は「かんぽ『過剰ノルマ』焦点 不正問題 金融庁きょうから検査 経営体制の大幅見直しも」と報じました。日経は「過剰ノルマ」が焦点だと書いてますが、そうでしょうかね。ほとんどの金融機関がノルマ廃止に舵を切っているのに、いまさらでしょう。

検査の焦点は経営

kuniとしては検査の焦点は経営陣だと思っています。営業現場の実態を経営はどれほど知っていたのか。そこで行われていた営業の実態と、その違法性に関しての認識はどうだったのか。さらに、認識があったのなら、認識した時期はいつか。

特に日本郵政がかんぽ生命株式を売り出した4月当時にどういう認識だったのかについては重要になるわけですが、、、落としどころは「認識したのは4月以降」ということになるでしょう。そうなれば逆に、経営陣は不正が発覚するまで認識できていなかったということになります。

4月の売出しに関してはお咎めなし。発覚に至るまで不正の状況を把握できず、放置して法令違反や顧客本位とは到底言うことのできない業務運営を繰り返してきたことについて、経営陣の責任を問う。こんなシナリオですかね。ところで、日本郵便には通話録音システムとかあるんですかね?これがないと金融庁の検査官も裏取りとか大変だろうね。

日本郵政株式 第3次売却

今年の冬以降となる公算が大きくなったとされている第3次売却。政府が復興財源と見込む売却額を手にするためには、1132円の株価が必要だそうです。938円まで下げた株価は、9/11に久し振りに1000円を回復、昨日は1024円。

日本郵政並みにだらだらと下げ続け、640円ほどの株価を付けていた株が、今週、社長解任のニュースで一気に上昇に転じました。9/11には720円辺りまで。わずか一週間ほどで12.5%の値上がりです。もうお気づきだと思いますが、日産自動車です。

日本郵政もそう。金融庁検査でバッサリやられ、経営陣の交代を発表。これがベストシナリオですね。その時もし1000円近辺で株価が推移していて、12.5%急騰すると、株価は1125円。政府の希望価格にほぼ手が届きそうです。

石井浩郎議員 JPアセット証券 特別利益の提供

自民党の石井参院議員がJPアセット証券との金融先物取引において、不足した証拠金を建て替える便宜を受けていたことが伝えられました。日本経済新聞の記事では、関係者への取材で分かったとしています。

証券取引等監視委員会の勧告

8/30 証券取引等監視委員会はJPアセット証券への検査の結果として、「顧客に対し特別の利益を提供する行為」が認められたため、行政処分を行うよう勧告しています。この勧告内容についてはkuniも読みました。利益提供の相手が一人だけ?、というところが気にはなってたんですよね。

なんと、その唯一の顧客が石井選手でしたかぁ。kuniと同世代の元プロ野球選手です。近鉄で活躍したスラッガー、後に巨人にも3年くらい在籍していたので、それなりに有名人になってたと思います。今は政治家なんですね。しかしまた、、、つまんないことをしたもんです。

野球が繋ぐ不正の輪

このJPアセット証券、HPで従業員数も開示していません。監視委員会の勧告資料で見ると、常勤役職員45名になってますね。この規模でなぜか硬式野球部を持ってます。けっこうな頻度で「硬式野球部セレクション」なんてのをやって、部員を募集してるんですね。

普通に考えて、この規模の証券会社が硬式野球部を維持できるとは思えませんが、野球繋がり、ということで元プロ野球選手の石井氏に便宜を図る、なんてことになったんでしょうか。

もう一つ気になるのは、元巨人の投手だった林氏が逮捕された件との関係です。FX取引で損失補てんをしたとして逮捕された東郷証券の実質的な経営者です。二人がプロ野球選手として一緒に過ごした時期はなさそうですが、年齢も近く、逮捕の直後辺りからJPアセット証券に検査が入っているようなタイミング。何か関係があるのかと。

プロ野球選手は博打がお好きなようで。。。なんとか賭博やら、金商法違反など、、、他にも野球選手がぞろぞろと出て来なければ良いのですが。