ソフトバンクG ビジョンファンド 1兆円の損失発生

ソフトバンクGの7~9月期連結決算で7000億円の赤字になったこと、ビジョンファンドでも3600億円の損失が発生したことを発表しました。シェアオフィスのウィーワークの運営会社、ウィーカンパニー関連の投資損失の影響です。日本経済新聞でもこのことを大きく取り上げ、「『孫流』曲がり角」などと伝えていました。

ビジョンファンド 2兆円が1.2兆円に減少

10兆円を運用するビジョンファンドもソフトバンクG同様、ウィーカンパニー絡みの損失を被ったわけですが、その金額は3600億円です。ファンド全体で見ればたかだか3.6%の損失でしかないわけです。その他の銘柄でも評価損を計上していて、合計8000億円と言ってますが、それでも8%でしかありません。

なぜ、こうも日本の新聞は投資の目先の失敗にフォーカスしたがるんでしょうかね。ビジョンファンドのこれまでの累積利益は2兆円から1.2兆円に減っただけ。今でも立派に12%でまわってるわけです。投資の世界なんですから、こういうことも当然あるわけです。

日本で株式投資や資産運用が根付かない最大の原因は、こういうことに一喜一憂する彼らマスメディアにあるかもしれません。孫氏自身がここまでの投資の勝ち負けは3勝1敗と語っているのに、上場後の株価だけを持ち出して、2勝5敗と記事を書いてます。ちょっと悪意を感じる書きぶり、印象操作を感じさせる、まったく、情けない記事です。

スタートアップ・バブル

日経の報道の仕方は残念なわけですが、一方で、今後ビジョンファンドが安泰かというと、そこはkuniも厳しくなるだろうと予想はしています。以前からスタートアップ・バブルについては書いてきたとおりです。

バブルは弾けたと思いますので、同ファンドのプレミアムもはげ落ちてしまいました。メガバンク辺りがコネクトしちゃったフィンテック系スタートアップなんかはほぼ全滅するんじゃないでしょうか。本当にいいものしか生き残らないこれからの時代。孫さんの目利きの見せ場ですね。

投信手数料?、一段と低下 個人の資産形成に追い風

6/16付け日本経済新聞の記事です。実は記事のタイトルはもっと長くて、「投信手数料、一段と低下 個人の資産形成に追い風 日本、初の0.1%割れ 米国、料率マイナス」と続きます。本当に最近は見出しが長すぎます。

投信手数料?

この記事の気になるところは、用語を正しく使わないことです。「投信手数料」って、なんでしょう。記事は投資信託の運用手数料のことを指して、投信手数料と呼んでいるようですが、普通こういう使い方はしないと思います。事実、記事の中では「運用手数料」という表現が使われていて、「投信手数料」という言葉は本文では一度も使われていません。

整理しておくと、投資信託を買い付ける際に販売会社(証券会社や銀行)に支払う手数料のことを「購入時手数料」といいます。販売する業者たちはこれを販売手数料などという言い方をすることが多いんですが、目論見書ではあくまで「購入時手数料」と書かれています。

一方で、運用会社に対して、投資信託の運用に対する報酬として、運用資産から間接的に支払われる費用のことを、運用管理費用(信託報酬)と言います。販売する業者たちは「信託報酬」という用語を多用しますかね。他にも、費用としては監査報酬だとか、信託財産留保額などありますが、ここでは触れません。

話を戻しますが、記事が言うところの運用手数料とは、おそらくこの運用管理費用(信託報酬)を指しているのだと思われます。「運用期間が長期になればなるほど運用手数料が収益に与える影響は大きくなる」と説明していますので、おそらくそういうことでしょう。

販売・運用手数料

記事は一貫して信託報酬の低下を伝えているのですが、最後の段落でなぜか「販売・運用手数料」なる言葉が使われています。記事では「日本でも投信の販売・運用手数料に収益を頼ってきた準大手・中堅証券が19年3月期決算に相次ぎ赤字・減益になるなど逆風が吹いている」と展開し、最後には「日本ではこれまで証券会社や銀行は、手数料が高めの投信を積極的に販売する傾向があった」という批判になっていきます。

最後は、いつのまにか購入時手数料が高いという話になっているわけですね。海外で信託報酬の低下が進んでいる、という記事が日本の購入時手数料(販売手数料)が高すぎるという話に・・・。おまけに信託報酬は0.1%のレベルで伝えておきながら、2%、3%の購入時手数料(販売手数料)の話に結び付けて、、、、いったい何を伝えたかったんでしょう。