SPAC(Special Purpose Acquisition Company:特別買収目的会社)

9/18付け日本経済新聞で、SPACを使って資金を調達し、社会的な課題の解決に取り組もうとする動きを紹介していました。SPACは日本では特別買収目的会社と呼ばれます。ただし、日本ではまだ解禁されていませんので、もっぱら米国や英国の話題です。

とりあえず理解

SPACとは、それ自体は特定の事業を持たず、主に未公開会社を買収することのみを目的として取引所に上場する株式会社です。つまり、箱だけの会社に投資家たちは資金を投資し、集まったお金で有望な会社を買収するというスキームです。

投資家にとっては将来どんな会社を買収するのか分からないわけですから、SPACの買収の選別眼だけが頼りです。例えば、ソフトバンクの孫さんがSPACを上場させる、、、と聞いたら投資してみたくなりますよね。孫さんの先見性にすべてを賭けるわけです。

やや古い資料からですが、SPACは上場して買収企業のアナウンスまでに平均約12カ月、買収の完了までに20カ月ほどかかっているそうです。少しイメージ沸いてきたでしょうか。

そして、企業の買収後は多くの場合、SPACは社名を被買収企業の社名に変更して、取引所での上場を維持します。被買収企業からみると、多くの時間やコストのかかる伝統的なIPOよりも、SPACに買収してもらい、同時に上場というステータスも手に入れる方が効率が良いわけですね。

投資家にしても、投資から回収まで数年以上を必要とするプライベートエクイティよりも、短期間で資金回収できるところが受けているようです。

米国で上場ラッシュ

SPACのメリットを書いてきましたが、デメリットももちろんあります。冒頭に書いたようにすべてを任せてしまうわけですし、買収企業も1社ですから、分散投資にはなりません。箱だけ上場しておいて、後から買収した企業に化ける、、、なんてのもなんとなく腹落ちしないというか。。。

米国では今年7月末までで50社を超えるSPACが上場。2兆円の資金を集めているそうで。基本的にバブルの感触があるんですよね。何かに浮かれて、そのほかのリスクが目に入らないような、、、そんな仕組みじゃなかろうかと。