神東塗料 水道管塗料の認証不正 影響が拡大

神東塗料は1/14、「特別調査委員会の設置及び当社製の一部製品に係る第三者認証マークの使用停止等について」を公表しました。鋳鉄製の水道管に使われる合成樹脂塗料で試験データを改ざんし、不正に認証を取得して製造出荷していた件ですね。

影響が拡大中

特別調査委員会の設置を決定しましたね。また、日本水道協会から同社製水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料(管用)に係る認証に関し、認証の一時停止及び認証マークの使用禁止の通知を受けています。さらに、認証マーク等を表示している当該認証製品であって、該当する審査基準に適合していないものを出荷しないこと等について請求を受けたということです。当然の流れですね。

水道管製造企業も

同社の塗料を使用してきた水道管企業からもお知らせが相次いでいます。水道管大手のクボタに続き、栗本鉄工所と日本鋳鉄管が14日までにダクタイル鋳鉄管の出荷を停止した旨を公表しています。未上場企業ではコスモ工機株式会社という企業も出荷を停止したようです。

2019年度に敷設された水道管のうち、ダクタイル鋳鉄管は半分以上を占めるんだそうです。で、そのほぼ全量の出荷をクボタ、栗本鉄工所、日本鋳鉄管がまかなっているみたい。

自治体等も

自治体でもやはり工事の停止を始めたようで、予想通りかなりのインパクトある事件に発展してきています。水道管の更新工事はいうまでもなく公共工事です。3月末、いわゆる年度末に工事量が増加すると思われますが、まさにそのタイミングでの工事停止。

工事が止まっている間に老朽化した水道管が災害等で壊れ、大規模な断水が発生。なんてことにならなければ良いのですが。

神東塗料 試験データ改ざん 認証不正の疑いが発覚

神東塗料株式会社は1/12、「当社製の一部製品に係る不適切行為について」を公表しました。鋳鉄製の水道管に使われる合成樹脂塗料で試験データを改ざんし、不正に認証を取得して製造出荷していた疑いが発覚したということです。

神東塗料株式会社

神東塗料は、水性・無溶剤・粉体など環境対応型塗料に強みを持ち、自動車、家電、建材など幅広い分野に製品を展開する企業。金属を浸して通電させることで塗膜を形成させる電着塗料で高い技術を持っています。住友化学の持分法適用関連会社で、創業80年を超える東証1部上場企業です。

不正の概要

対象となる製品は、水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料なるもの。公益社団法人日本水道協会の認証規格に沿わない方法で検査し、認証を取得。同規格認証品として販売・出荷していた疑いが確認されたとのこと。また、同規格に記載されていない原料が使用されている疑いもあるようです。

これを受けて、同社は、不正の疑いが確認された対象製品についての出荷を停止。また、水道協会において、これら不正認証品について、認証マーク等の使用停止を検討中とのこと。この事案、同社の開示では明らかにされていませんでしたが、昨年11月に内部通報があり、発覚したようです。

外側だけじゃない

問題となったこの塗料、地中に埋設する水道用鋳鉄管の外側に塗って腐食、さびを防ぐものです。が、しかし、水道管の接合部分では、塗料と水が触れる構造なんだそう。妙な成分が入っていたりすると、水道利用者の身体に入ってしまうかも。

この件を受けて、自治体が実施している老朽化した水道管の更新工事が停止されたといいます。昨年和歌山で大規模な断水がありましたよね。老朽化した水道管問題。更新工事は待ったなしというところに、困った事案が発生したものです。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し(その3)

日本軽金属ホールディングスは7/5、「当社子会社(日軽新潟株式会社)におけるJIS認証の取消しについて」を公表しました。アルミニウム加工を手掛ける新潟県の子会社が、日本産業規格(JIS)の認証の取り消し処分を受けたということです。

既に3社目

日軽金HDがJIS認証の取り消しを受けるのは、今年既に3件目となります。日軽金名古屋工場、日軽形材株式会社に続く今回は、日軽新潟株式会社。日軽金HDのJIS認証違反調査委員会より、JISマーク表示製品に対する総点検を指示され、その点検で発覚したようです。

本来JISマークを表示してはならない製品に、2007年5月から2021年4月にかけて、製品の出荷時に添付する現品票にJISマークが表示されていることが判明したといいます。

さらに、押出棒製品の引張試験において、JISの規定で要求されている試験片形状と異なる試験片を作製して引張試験をしつつ、更新審査時のみJISの規定に沿った試験片で審査を受けていたとのこと。これって日軽金で発覚した不正と同じ手口のようです。両社は別会社であるにもかかわらずです。

日軽金グループ

グループの主要会社は、日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングスの4社。この中では日軽金で不正が発覚しています。

また、日軽金加工開発ホールディングスにはさらに子会社が6社ぶら下がっていて、そのうちの2社、日軽形材株式会社と日軽新潟株式会社で発覚。孫会社まで含めて10社中3社で不正ということですね。やはり予想通り、拡大してきました。

東洋紡 度重なる不祥事 安全認証不正取得

東洋紡は12/29、PBT樹脂「プラナック」に関する不適切事案の調査結果を公表しました。この件についての第一報は10/28で、第三者の委員も入れてプラナック事案対応委員会を立ち上げ、調査をしてきました。プラナック以外の製品については、現在まだ調査中とのこと。

今年3回目の不祥事

まぁ、次から次へと起こしますねぇ、不祥事。以下に並べたように、今年に入ってからでも3度目の不祥事になります。

6/17 オメプラール注用20 自主回収に関するお詫び
9/28 当社犬山工場における火災につきまして(お詫び)
10/28 当社PBT樹脂「プラナック」の第三者認証登録内容における一部不適合について

オメプラールの件は、同社大津医薬工場における製造区域に要求される清浄度に関するモニタリングに不備があったというもの。これを受けアストラゼネカの決定により全品回収となりました。

犬山工場については、工場内のフィルム製造ラインから出火し、従業員2名が死亡、1名が負傷したという事件。実はこれだけでなく、少し遡ると、2019年4月には三重工場で火災が起きていますし、2018年9月には敦賀事業所でも火災を起こしています。

そして今回のプラナックの認証不正。2010年に他社から譲り受けた事業で、当該他社が米国の認証を、実際の商品とは異なる組成のサンプルで取得していたようです。譲渡時に東洋紡もそれを認識していながら、ここまで引っ張ったんですね。タチ悪いです。

プラナック事案から見えてくること

東洋紡はプラナックの不正認証を2010年から認識していて、少なくとも2015年には組織としても認識していました。その後、2017年、2018年と検査不正や不適切検査などといわれる他社での事件が毎日のように報道されました。この当時、東洋紡ではプラナックの不正認証を隠蔽し続けてきたということです。やっぱりタチ悪いです。