日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し(その2)

5/17に、「日本軽金属株式会社におけるアルミ板製品の JIS 認証の取消しについて」を公表した日本軽金属ホールディングス。JIS認証違反調査委員会を設置し、6/9には特別調査委員会に衣替えして調査を進めていましたが、また別の会社でJIS認証の取り消しだそうです。

日軽形材株式会社

今度の不正は同社孫会社の日軽形材株式会社という会社です。日軽金HDの子会社である日軽金加工開発ホールディングスの子会社ですね。

同社岡山工場における JISマーク表示製品について、日本品質保証機構より鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令に定める基準を満足していないとして、2021年6月30日付でJIS認証の一時停止通知を受けました。

開示された情報

JIS認証違反調査委員会が特別調査委員会に変わったあたりで、他にも不正が新たに見つかったんだろうな、、、なんて思ってましたが、やはりという結果です。ただ、開示された情報によると特別調査委員会が発見したわけではないようです。

JIS認証を受けていない製品にJISマークを付けて出荷していたということなんですが、ちょっと気になる記述もありました。それが、「JISマークは表示していないが顧客要求に基づく判定をすべきところ、社内規格に基づく判定を行い、結果顧客要求を満たさない製品を出荷していたたことおよびJISで規定された試験を実施していなかったこと」というところです。

「判定」とか「試験」という言葉が使われていて、ビミョーですが、検査不正のようなこともやってた、ということでしょうかね。

日本軽金属ホールディングス 認証不正取得 JIS 認証の取消し

日本軽金属ホールディングスは5/17、「当社子会社の日本軽金属株式会社におけるアルミ板製品の JIS 認証の取消しについて」を公表しました。JIS認証違反調査委員会を設置し、徹底した全容解明と原因究明、さらに再発防止策策定を行っていくとしています。

不正取得の概要

「1996年頃から、日本軽金属名古屋工場のアルミ板製品の引張試験の試験片を採取する際、厚さ 6.5 mm以上で非熱処理合金の板製品において JIS の規定(圧延方向に対して平行)と異なる方法(圧延方向に対して直角)で採取した試験片にて引張試験を実施したにも関わらず、当該厚板に JIS マークを付して継続的に出荷していた。」

引張強度を測定する際、圧延方向に対して直角に採取した試験片の方が、より強度が高くなるということのようですね。より強度の高く見える試験片で認証を不正に取得していたということのようです。かなり悪意を感じさせますね。

更新審査(2020年2月)においては、更新審査用の試験片採取を行う際、上記の実態を偽り、JIS の規定に沿った試験片採取を行った。というのもあります。実地での審査においては、正しく試験片を採取しているように見せかけた、ということでしょうか。

認証取消しの内容

JIS の認証機関である一般財団法人日本品質保証機構は、鉱工業品及びその加工技術に係る日本産業規格への適合性の認証に関する省令に定める基準を満足しておらず、その内容が重大であるとして、2021年5月14日付で名古屋工場の JIS 認証取消しを行っています。

JIS認証違反調査委員会を設置して、同社グループの JIS 認証を受けている全拠点において、JIS マーク表示製品に対する総点検を開始しているようです。グループの主要会社は、日本軽金属、東洋アルミニウム、日本フルハーフ、日軽金加工開発ホールディングスの4社。さて、この認証不正取得はどこまで広がりを見せるでしょう。

京セラ 特別調査委員会の調査結果を公表

京セラが製造・販売を行っているケミカル製品について、米国の第三者安全科学機関である Underwriters Laboratories の認証に関する不適切な対応が判明。調査にあたっていた特別調査委員会から調査報告書を受領し、公表しました。かなり酷い調査結果です。

調査結果の公表日

調査報告書、やっと出てきたか、って感じです。しかし、なぜ5/14だったのでしょう。一年のうち最も適時開示情報がたくさん出てくる日です。この記事を書いている時点で27ページもある日なんです。決算発表等が集中する日なんですね。

多くの情報の中で埋没する日?目立たない日を選んだということでしょう。おまけに、調査報告書の表紙の日付、わざわざ5/13の13だけが手書きで修正されてたりして。あの京セラがこんなことするとは。

調査結果の概要

細かいことは省略しますが、報告書のいたるところに経営陣の関与、もしくは黙認に係る事実が語られています。ただし、今回の不正を指⽰あるいは命令していたといった事実までは認められない。と、委員会が配慮してはいるんですが。。。以下引用です。

「客観的資料に基づき元取締役に事実確認を⾏うことのできた2009年以降に限っても、複数の幹部層(代表取締役を含む)が、本件不正を認識していたものと認定する。これらの幹部層は、本件不正を積極的に是正しようとせず、黙認していた事実は認められるが・・・」

長年にわたり行われてきた不正、当時の代表取締役に至るまで認識していながら、是正してこなかった。ただ、指示、命令はしていなかった。って、ん~、額面通り受け取れませんね。

不正の概要

「指定された量産品とは異なる組成の試験⽚を UL に提出していたケース(試験⽚のすり替え)。」とか、「検査での発覚を避けるため、UL 検査員の⽬に届かないよう、倉庫内の製品を隠していたケース。」。こんな指摘があちこちに出てきます。

こうした手口が30年とかの間継続されていました。その気になって調べれば、取り上げらている代表取締役らの実名も特定できそうですが、読んでるうちに力が抜けてしまいました。お時間があったら、この報告書読んでみてください。適時開示ラッシュ日に公表された意味が分かってもらえると思います。