ITバブル プラットフォーマー・バブル スタートアップ・バブル

1990年代から2000年までの米国を中心としたインターネット関連株の高騰と、その後の急落を指して、ITバブルとかインターネット・バブルなどと言ってきました。英語では dot-com bubble と言うんだそうです。日本でもそれなりにバブルがあって、株式市場も一息入れました。この時期以外は全然さえない時代でしたからね。

プラットフォーマー・バブル

以前にも書きましたが、いわゆるGAFAと呼ばれるITの主要企業は、無料で集めたデータを囲い込み、利活用するというビジネスモデルで、大きく成長してきました。が、しかし、その情報管理の実態や納税の在り方などで今やキリモミ状態です。とりあえずGAFAが目先復活しそうだという見方はほとんど聞くことがありません。

スタートアップ・バブル

何でもバブルって呼んじゃってますが、バブルに値する騒ぎようだったと思います。過去形で書いてしまいましたが、このスタートアップ企業を巡る提携や買収という大企業の対応も、見ていてもうそろそろ山を越えたんじゃないかなという気がするわけです。

最も象徴的なのが、米国で5月上旬に上場したIPO:ウーバーテクノロジーズの株価です。一時は史上最大のIPOみたいなこと言ってましたが、かなり控えめな公開価格45ドルになり、上場後はそこからも下げてしまったまま。公開価格を上回ることなく、今でも43ドル台と低迷しているようです。ちなみに、それより少し前に公開した同業のリフトはさらに残念なことになっています。

これらをライドシェア独特の問題であったり、ビジネスモデルの問題と捉える向きもあろうかと思いますが、kuniはスタートアップ全体に対する期待と現実のギャップに気が付き始めたんじゃないかと捉えています。つまり、スタートアップのバブルはもう弾けてしまったんじゃないかと。

ITバブルから20年

IT関連株が高騰したのが1998年から2000年。この間日経平均株価は5割ほど上昇しました。バブルが弾けたのちには、約2年間で日経平均は2万円台から7000円台まで下げています。同じころ、金融の世界では大銀行への公的資金の注入が始まり、りそなが国有化されるなど、金融機関は窮地に追い込まれていました。

伝統的な金融機関が追い詰められる一方で、IT関連がもてはやされるという構図は、まさに現状と酷似しています。前回バブルから約20年になります。10年ごとに成長株相場と公益株相場が交互に繰り返しているという見方をする人もいます。そういう意味でも節目になるのか。このあと5Gというお祭りが控えているわけですが、プラットフォーマー、スタートアップに引きずられる格好で、IT全体のバブルまで弾けてしまうのでしょうか。

投資商品に関する意識調査 金融庁

4/10 日本経済新聞で「投資商品の比較「説明なし」7割 金融庁調査」というタイトルの記事が掲載されました。かなり唐突感のある記事でしたので、金融庁の公表資料を確認してきました。正式なタイトルは、『リスク性金融商品販売にかかる顧客意識調査について (インターネット調査結果分析の中間報告)』となっています。

調査の背景・目的

金融庁は、2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表しました。併せて,その定着度合いを客観的に評価する「自主的な成果指標(KPI)」の策定・公表を働きかけ、金融事業者は顧客本位の業務運営に取り組んできたわけです。

その取り組み状況を検証するため、金融庁は金融事業者の経営陣・本部・営業現場に対し、モニタリングを実施。各金融事業者の「取組方針」と取組みの実態とが乖離していないか検証もしています。

今回の顧客意識調査は、 「原則」を公表して2年が経過する中、「顧客本位の業務運営」の定着・浸透に向けた金融庁の金融事業者に対する取組み(指導)が、顧客に適切に届いているのかどうかを検証する目的で行われたもの。ということです。この一連の流れといいますか、PDCAのサイクルを頭に入れたうえで、調査結果を見てみましょう。

顧客意識調査の調査対象者等の前提

調査はインターネットと郵送により行われています。インターネットでの調査対象者は、全国の20歳以上の個人(金融機関従事者を除く)で、 リスク性金融商品の購入等にあたり、意思決定に関与する人で、有効回答者数は6,259人。一方、郵送による調査対象者は、全国の60歳以上の個人(金融機関従事者を除く)で、リスク性金融商品の購入等にあたり、意思決定に関与す る人で、有効回答者数は1,500人だそうです。

リスク性金融商品の定義は、「外貨預金、仕組預金、投資信託、貯蓄性保険(終身保険や個人年金保険、養老保険など、貯蓄性を重視し た保険)、仕組債、外貨建て債券、株式(含む自社株式、従業員持株)」。

インターネット調査対象者と郵送による対象者(高齢者が中心)の数の違いにやや違和感がありますが、今回公表されたのはインターネット調査の方でした。

まとまらないまとめ

今日の記事は調査の目的や前提の説明でこんな文字数になってしまい、金融庁の宣伝で終わってしまいます。「8割が、リスク性金融商品の購入後、フォロー・アドバイスを受けていない、あるいは、ほとんど受けていない。」という結果など、今回日経が伝えている「投資商品の比較「説明なし」7割」と同じくらいドキッとするアンケート結果が、他にもたくさん出てます。金融関係者はぜひチェックしてみてください。

フィラデルフィア半導体株指数 SOX指数 新高値

先日、「長短金利逆転とフィラデルフィア半導体株指数」という記事で二つの先行指標について書きました。その後者のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が、先週あっさり新高値をとってきました。先週末の終値は1477ポイントです。雇用統計が市場予想を上回ったこともあり、米国株全体に引き締まった展開になりました。

長短金利逆転から1年以内にマーケットが天井を迎える。先行指標となるフィラデルフィア半導体株指数が新高値。こうなると、今年の年末辺りに向けた上昇相場が始まったと考えるのが妥当なところでしょうか。

悲観の中で生まれ、懐疑の中で育つ

相場の格言に「相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というのがあります。アメリカの有名な投資家、ジョン・テンプルトンの言葉です。この格言に当てはめると、皆さんは今どういう局面だと思われますか。kuniは今はまさに「懐疑の中で育ち」という局面ではないかと思っています。

米中貿易戦争が継続し、明らかに景気は悪化している。スマホはもうこれ以上成長しそうにない。まぁ、悪い材料には事欠かないわけですが、マーケットは下げません。皆が景気の先行きに悲観し、マーケットにも懐疑的な中、実は相場は育ち始めているんだと思います。

5G 米国でスタート

先週、米国で5Gが始まりましたね。韓国の方が先だという主張があるようですが、、、実測値では4Gの数倍のスピードしか出ていないとか(100倍のスピードになるはずだったのに)。なんでも発祥の地としてしまうお国柄ですからね。とにかくサービスがスタートしたわけです。ここから不調のスマホの分を上回る半導体等の需要が立ち上がってきそうです。

日本での5Gは来年以降になるようで、世界的には第2グループだそうです。半導体等の本格的な需要はこの辺りでしょうが、マーケットは常にこうした実需に先行して動きます。日本では今年は助走段階であり、その先に東京オリンピックが控えます。

オリンピックに向けた建設等の従来のインフラ投資は一巡したかもしれませんが、5G関連、Iot関連投資はまさにこれからです。5Gはまさにインフラそのもの。その先にIotをはじめとした様々な新しい技術開発、サービスが花開くはず。強気でいいんじゃないでしょうか。この後の東京市場の動向、楽しみになってきました。

廃プラスチック分解 水素を活かす 昭和電工

1/20 日本経済新聞に「水素を生かす(下) 廃プラ分解、ホテルの電力に」というコラムがありました。昭和電工の川崎事業所では、年間6万トンもの使用済みプラスチックを高温で分解して水素を製造しているそうです。同市の臨海部に建設されたホテルへパイプラインで供給する実験も2018年から始まったとのこと。

2年間ほどで株価は6倍に

昭和電工と言えば、昨年まで大きく株価を上げた銘柄として、証券の世界では話題になった企業です。2016年央の安値1000円辺りから、昨年10月の高値6,470円まで上昇し、現在は3,500円程度。上げも凄かったけど、下げ方もまた強烈です。

電気炉向けに黒鉛電極の販売が好調でしたし、黒鉛電極自体の値上げが浸透したことから大幅な増益基調となってました。19年12月期も大幅増益予想となっています。既に締めた直近12月期は来月辺りに発表されるんでしょうか。第4四半期が米中貿易戦争の影響をどれくらい受けるのかが気になる銘柄です。

廃プラスチックに新たな生命を吹き込め

今回、日経に取り上げられた廃プラスティックから水素を作るという話題。昭和電工のHPで調べてみました。すると特設の新卒採用サイトのプロジェクトストーリーというコーナーで、このKPRプロジェクト(廃プラスチックに新たな生命を吹き込め)が成功するまでのお話が掲載されています。

もともと学生向けの情報提供ですので非常に分かりやすいです。また、他にも2つのプロジェクトが紹介されていて、昭和電工の魅力を上手く表現しています。時間があったら是非読んでみてください。kuniお勧めです。

決算短信を読んでみました

ついでに2018年度第3四半期の決算短信も読んでみました。第3四半期までは米中貿易戦争が本格化する前ですので、引き続き好調な決算となっています。非財務情報から、この会社の魅力、いくつかか書いておきます。

「ESG投資のための3指数に2年連続採用」。世界的なインデックスプロバイダーであるFTSE Russell社(注)のESG投資指数「FTSE Blossom Japan Index」および同MSCI社の「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数」の構成銘柄に、2年連続で採用されたようです。

また、社会的責任投資ファンド「モーニングスター社会的責任投資株価指数」(モーニングスター社運営)に5年連続で、また「SNAMサステナビリティ・インデックス」(損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社運用)にも7年連続で選定されています。

さらに、株式会社シナモンと、AIを活用した技術文書活用システムを共同で開発することを決定したようで、この共同開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「AIシステム共同開発支援事業」の助成事業に採択されています。

他にも、「パワー半導体SiCエピウェハー高品質グレードの3次増強を決定」、なんてのもありました。次世代の新技術てんこ盛りみたいです。かなり、伝統ある会社ですが、なかなか魅力的な事業に挑戦してますよね。今後も少し追い掛けてみたいと思います。