グローム・ホールディングス(8938) 課徴金納付命令

グロームHDは9/11、有価証券報告書等の虚偽記載について、金融庁から4395万円の課徴金納付命令を受けたことを公表しました。この日、ナイス株式会社(2400万円)、アルファクス・フード・システム(3577万円)、フリージア・マクロス(1200万円)も同様に課徴金納付命令を受けています。

子会社における架空取引

4社に対して課徴金納付命令が出たんですが、他の3社については別途当ブログでも取り上げてきましたので、今日はグロームHDについて。

グロームHDは今年2/4、同社の元子会社であるロジコムリアルエステートにおいて、過去の決算で不適切な取引行為が行われていた可能性があると公表。併せて社内調査委員会を設置しました。外部からの指摘により判明したそうですが、、、おそらく監視委員会でしょうね。

4/22、社内調査委員会から調査報告書を受領し、その内容及び再発防止策等を公表します。同社連結子会社ロジコムリアルエステートにおいて、架空の売上や外注委託料等が計上されていたというもの。代表取締役ともう一名の取締役が主導したとして解任されています。

架空取引等は子会社で行われており、同社がこれに関与した事実は認められなかったようですが、子会社の会計処理を連結決算において取り込むわけですから、結果的に同社の有価証報告書等が虚偽の記載になってしまったというお話です。

インサイダー取引も

調べていて初めて気が付いたんですが、グロームHD、ロジコムと名乗っていた2018年11月に、インサイダー取引で代表取締役社長等が起訴されてますね。第三者割当増資や他社との業務提携の情報を知りながら、公表前に同社株を買っていたという事件でした。頻繁に社名変更する会社、要注意です。

日本フォームサービス 有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令(その2)

昨日は監査法人の話で終わってしまいました。日本フォームサービスも酷いですね。6月に公表された第三者委員会の報告書を読みましたが、正直言って上場するレベルの会社じゃなかったようです。すでに9月、前社長含む取締役3名、監査役3名いずれも退任してしています。

第三者委員会の報告書

報告書からいくつかご紹介。取締役会は事業報告には毎年度12回開催しているとし、議事録も存在するが、実際は毎年度3回ずつしか開催されていない。監査役会は毎年度4回開催されたことになっているが、実際は監査役会は開催されたことはなかった。凄いでしょ。

ワンマン社長が、社長ミーティングなる会議ですべてを指示してお終い。そのため議論するための会議は必要なし。こんな会社だったようです。社長ミーティングや経営会議の録音データの一部が残っていたようで、第三者委員会はこのデータに基づき、粉飾の手口を解明していきます。

しかし、、、なんで録音データなんか残ってたんでしょうね。一部には社長のやり方に反発する向きもあって、その証跡にと・・・。といった妄想してしまいます。

粉飾の手口としては、「仕入れの未計上」、「在庫の水増し」、「預かり在庫売り上げ計上のための偽装」、「収益の前倒し計上」、「費用の未計上」、「賞与引当金の過少計上」、「減損認識の操作」、「連結会社間の利益の付け替え」などなど。社長指示に基づき、経営陣も認識する意図的な会計操作の嵐です。

反面教師として

社長のトップダウンですべてが決まる危うい会社。このサイズの企業では決して珍しくないですよね。メリットもあるでしょうが、トップの暴走を止めるはずの取締役や監査役が全く機能していません。社外取締役についても、この会社は否定してきたようです。そりゃそうでしょうね。

コーポレートガバナンス・コードが求める様々な対応、、、何故そうした対応が必要なのかを考えるにあたり、とても良い例題になりそうな企業です。

日本フォームサービス 有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令

証券取引等監視委員会は12/6、日本フォームサービス株式会社に課徴金納付命令を発出するよう勧告を行いました。金商法に規定された重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書を提出したためですね。課徴金の額は2400万円です。

今年は多いなぁ

以前、すてきナイスグループや明豊エンタープライズについて取り上げたことがありましたが、今年は不適切な会計絡みの事件が多いなぁと思っていました。東京商工リサーチではこのことも調査していて、やはり過去最多になっているそうです。上場企業における不適切会計のこれまでの最多は2016年の57社でしたが、今年は11月末時点ですでにそれを上回り64社だそうです。

コンプライアンス意識が高まり、監査法人による厳格な監査が実施されるようになったことも、不適切な会計処理や役員・従業員による着服等が発見されるきっかけになってるのかもしれません。しかし、今回の日本フォームサービスについてはかなり事情が違っているようです。

監査法人大手門会計事務所

同じ12/6、公認会計士・監査審査会は、監査法人大手門会計事務所に対して行政処分その他の措置を講ずるよう金融庁長官に勧告しています。この会計事務所、今年の夏あたりまで日本フォームサービスの監査法人だったんですね。

勧告の内容も酷いもので、「監査報告書の提出期限内に、無限定適正意見を表明することを最優先と考え、職業的専門家としての正当な注意を払っておらず・・・」なんてくだりもあります。

この会計事務所、上場企業のクライアントを12社持っているみたいです。あえて企業名は書きませんが、クライアントは勧告の内容にあるような、なんでも無限定適正意見を出してくれるところを買ってるんですかね。

話が脱線しまくり、、、肝心の日本フォームサービスの話が書けなくなってきました。この続きは明日書かせていただきます。