第三者委員会のあり方に懸念 中村直人弁護士

7/1付けの日本経済新聞に、「第三者委、『マンネリ』懸念 企業法務の雄 中村直人弁護士に聞く」、という記事がありました。「企業が選ぶ弁護士ランキング」で21年まで10年連続で総合首位だった弁護士先生だそうで、おっしゃってること、とても納得できるお話でした。

中村先生の指摘

記事からいくつか引用します。
「(第三者委員会について)売り上げをあげるために弁護士側から仕事を取りに行くような風潮があることだ。それでは厳しく調査できるわけがない。イヤイヤ受けて報酬は慰謝料であると思うくらいがちょうどいい。」

いやぁ、深いですね。経営陣を徹底的に調べ上げるような仕事なので、それによっていただく報酬は、「いろいろご迷惑をおかけしました」って感じの慰謝料みたいなものとおっしゃってます。

「報告書が定型化している点も懸念している。動機・機会・正当化がそろうと不正が起こるという『不正のトライアングル』という理論が浸透しているが、それらの論点のみに終始しがちだ。実際はそれ以外に山ほどの要因があり、細かい分析が必要であるにもかかわらず取りこぼされている。」

これまたおっしゃる通り。一般化している方程式(不正のトライアングル)に当てはめて解決できるなら、こんなありがたいことはありませんが、そんな単純な話ではありません。

「(社外取締役について)、取締役にないノウハウを社外から補うという発想で人選を変えないといけない。経営者と同じような価値観を持った応援団ならいないほうがいい。だが経営者の多くは社外取締役に何かしてもらおうと思っておらず、害がないのが大事という意識のままだ」

これも今の日本企業というか、日本の経営陣が抱える最も大きな問題点です。とまぁ、こんなふうに日本企業のガバナンスが抱える問題点を鋭く指摘されていました。他にもまだまだ良いお話出てきますので、日経読み返していただければ。電子版であれば簡単に遡って読めますよ。