西川ゴム工業株式会社 不適切会計の社内調査費用で3億円を計上

メキシコの連結子会社において不適切な経理処理が判明し、調査を行ってきたものの、8/26に無事有価証券報告書の提出を完了した西川ゴム工業。同日、「特別損失(環境対策引当金繰入額および特別調査費用引当金繰入額)の計上に関するお知らせ」も公表しました。

開示の概要

今回問題となったメキシコの連結子会社の棚卸資産の計算等。これについて疑義のある事象に関する調査を行ってきましたが、その調査費用として特別調査費用引当金繰入額 300 百万円を特別損失に計上したとのこと。

不適切な会計処理とその調査

そもそも棚卸資産の計算等に疑義がありと認識したのが4/25。そこから社内初期調査を行い、5/20日より、デロイトの公認会計士等も参画させて社内調査体制を強化したといいます。この社内調査体制強化後、8/15まで調査を実施しています。つまり調査期間は3か月弱。

開示では、「デロイトの公認会計士等 40名が社内調査チームに参画した」とありますが、これ本当ですかね。デロイト側にそんな余力があるとも思えませんし、延べ人数のことでしょうか。だとしてもかなりの人数。3か月で3億円という費用も納得できます。

会社側は、「会計処理等の誤謬と結論付け」ていましたが、それでも調査を外部の専門家に頼るとなると、こんなに費用が掛かるんですね。

株式会社ヤギ(7460) 調査報告書を公表

不適切な取引が行われていた疑義が判明し、外部専門家を含む社内調査委員会を設置していた株式会社ヤギ。5/31、社内調査委員会の調査結果を公表しました。21年3月期の業績予想上方修正(グッドニュース)との抱き合わせ開示です。

調査結果の概要

不適切な取引は、原糸であるにもかかわらず加工糸に偽装された商品の取引でした。このうち、同社が加工を依頼した企業が実際には加工することなく出荷していた取引では、同企業が加工費を不法に受領していたようです。

そしてこの不法に受領した加工費は、今回の商流で最上流に位置する企業A社の営業担当者の懐にも入っています。つまり、ヤギに原糸を納入するAという企業の営業担当者が主導して、数社を巻き込み加工糸偽装取引を行っていたということのようです。

原糸や加工糸が実際に流通していますので、架空取引ではないわけですが、これらのブツは数社の中で循環取引にも発展していたとのこと。

ヤギの責任とA社

で、ヤギの担当者(福井支店長)はというと、社内ルール違反は認められるものの、A社が主導する不適切取引に巻き込まれたという整理になっています。外部専門家も入れた調査委員会ですから虚偽はないでしょうが、なにやらスッキリしない結末になりました。

報告書の中でA社のブランドに触れている部分があります。こうなるとこのA社はどこだ?という疑問が出てくるわけですが、当然報告書では明らかにされていません。福井の繊維系上場企業だと、セーレンやサカイオーベックスなんかがありますが、、、。

まぁ、別に本社が福井でなくてもありうるわけですね。ブランドのある繊維商社で福井に支店を持っていれば。そのA社は今年3月時点で国税の調査を受けているとか。気になります。

株式会社ヤギ(7460) 社内調査委員会設置

株式会社ヤギは4/9、「不適切な取引に関する調査について」を公表しました。同社において不適切な取引が行われていた疑義が判明したため、社内調査委員会を設置して、調査に取り組んでいくとのこと。調査委員会のメンバーも開示されています。

ヤギ

ヤギは1893年設立の繊維専門商社だそうです。資本金10億円、売上高約1200億円、従業員は659名となってます。社長は八木氏、この方は八木一族の6代目社長のようです。国内の事務所は大阪、東京、福井、名古屋、和歌山にあり、このうちの福井支店で不適切な取引なるものが。

不適切な取引

事案の概要については、「当社福井支店における原料販売ビジネスの一部に、不適切な取引が、2014年頃から行われていた疑義が判明した」としていますが、これ以上の説明は全くありません。普通は現時点で判明している事実をもう少し説明するもんですが、、、。

「原料販売ビジネスの一部」という表現が唯一のヒントですか。有価証券報告書を見ると、原料分野の説明がありました。天然繊維原料、合成繊維原料、高付加価値原料という3種類が説明されていて、原料分野としての売上は176億円。全売り上げの15%弱ですね。

と、調べてみたものの、依然として不適切な取引に関して、何の情報も得られませんでした。社内調査委員会の調査結果を待つしかありませんね。調査対象は国内のみでしょうし、調査対象期間も10年未満ですから、1~2か月で結果は出てくるでしょう。

わらべや日洋ホールディングス 社内調査委員会 調査報告書を公表

出入国管理及び難民認定法(入管法)違反に関して社内調査委員会を設置し、より客観的かつ専門的な事実関係の調査を行うとしていたわらべや日洋ホールディングス。約2ヶ月の調査を終え、3/15に調査報告書を公表しました。

おさらい

わらべや日洋HDの子会社であるソシアリンクにおいて、入管法違反の刑事事件が発生し、派遣していた外国人労働者5人が逮捕され、千葉営業所の所長以下4名とソシアリンク自体が起訴され、有罪判決を受けたという事件でした。

在留期間を経過して不法に日本に在留するベトナム人を、派遣従業員として働かせていたということですね。当然その多くがわらべや日洋でも働いていた(セブンイレブンの弁当や総菜を作っていた)ということです。

報告書を読んで

報告書を読んでいると、なんだか悲しくなってきます。まるで不法な人身売買とか臓器販売の映画やドラマを見ているかのような気持ちになってきます。偽造された在留カードが出回っているようで、そうしたカードを持つ人が不法就労していて、次々と逮捕されていきます。

ベトナム人の「紹介者(ベトナム人男性)」なんてのも登場します。不法就労しようとする者は当然正規のルートではなく、この紹介者の紹介を受けて千葉営業所にたどり着きます。そして、とうとうこの紹介者なる人物も「オーバーステイ」容疑で逮捕されてしまうんですね。

怪しい在留カード保有者が増加し、心配になった千葉営業所は本社に相談したようですが、本社はかなりいい加減な対応。社内調査に関しては責任の擦り付け合いのような一幕も。

全事業からの撤退

わらべや日洋HDは今年1月、ソシアリンクの一部事業を譲渡したうえで、全事業から撤退することを公表しました。これって同社も十分反省したんだと思ってましたが、、、違ってました。労働者派遣事業等法では、不法滞在の外国人に就労活動をさせた事業者は、派遣の許可が取り消されるんだそうです。

わらべや日洋ホールディングス 社内調査委員会設置 ソシアリンクの全事業撤退

わらべや日洋HDは1/18、ソシアリンクの一部事業を譲渡したうえで、全事業から撤退することを公表しました。あわせて今回問題となった出入国管理及び難民認定法(入管法)違反に関して社内調査委員会を設置し、より客観的かつ専門的な事実関係の調査を行うとしています。

株価にはびっくり

千葉地方検察庁により起訴されたのが1/5。当ブログでは1/7に取り上げましたが、同日に好決算を発表。翌日株価は200円近く急騰し、1,642円を付けています。今週は1,700円台も。。。上手くやりましたね。ネガティブなニュースが出たとたんに好決算の公表。ブラック企業の評判、見事に打ち消しました。

株価が上げて見せることには、このニュースはたいして悪材料ではないんだ、とか、世間はあまり気にしてないんだ、、、といった具合に社会的評価を改善する効果があります。

セブンが動きましたね

前回の記事で、セブンイレブンは主要取引先として、筆頭株主として、わらべや日洋に対して開示の仕方等を指導するべきと書きました。早速セブンが指導し始めたんでしょうね。好決算を開示してバッドニュースを打ち消し、社内調査委員会を設置して徹底的に調査。

そして、二度と起こされては困る不祥事。子会社ごと抹殺して事態の完全収拾を図った、、、ように見えます。さてさて企図した通りになりますやら。子会社が腐るのは親会社が腐っているからです。濁った水は高いところから低いところに流れるだけなんですね。

とまぁ、想像も織り交ぜ悪態を付きましたが、ここまでの対応は形式的には合格点だと思います。問題は本気で取り組んでいるかどうか。親会社まで含めて膿を出し切れるかどうかです。社内調査委員会の調査結果を待ちましょう。