山崎製パンとファミリーマート 消費者庁が再発防止命令

消費者庁は山崎製パンとファミリーマートに対し、景品表示法に基づき、再発防止策を講じるよう求める措置命令を出しました。問題となった商品は「バター香るもっちりとした食パン」で、原材料名欄に記載していたバターともち米粉を実際には使用していなかったということです。

山崎製パン 札幌工場

この食パン、全国で流通しているものの、違反があったのは札幌工場で製造されたものだけのようです。約1年間にわたり製造されており、3枚入り、5枚入り、6枚入りの3種。合計約18万袋です。いわゆる優良誤認(実際のものよりも著しく優良であると示す表示)に該当するということですね。

最初にこのニュースを見た時、商品を並べて販売したファミリーマートまで処分されるとは、、、と思ったわけですが、どうもこの商品はファミマのオリジナル商品みたい。共同開発した商品となるとそりゃ責任問われますね。しょうがありません。

ファミリーマートの開示

実は今回のこの事件、昨年10月18日に山崎製パンからの連絡を受け、ファミマが公表しており、併せて消費者庁にも報告しています。それに対するお沙汰が消費者庁から出たということですね。

報道されているファミマ絡みのパンのほかにも、山崎製パンだけが違反を指摘されている商品もあるようです。こっちはかなりの量です。「味わいの食パン」、「朝の笑顔」、「恵みの朝」、「こむぎのかおり山型」の4商品で、それぞれ少なくとも102万袋、20万袋、190万袋、29万袋だそうです。

使用している原材料を表示しなかったり、原材料の表示順に違反があったり、栄養成分の量および熱量が不適正であったりといった、食品表示法に違反する表示が行われていました。

こちらの山崎製パン単独の不正行為の方が規模はデカいんですが、なぜかあまり報道されてません。景品表示法に基づく優良誤認ではないからか。ファミマと一緒じゃないとニュースバリューがないからか。

電話勧誘販売業者 株式会社広報堂 に対する行政処分について

消費者庁は、電話勧誘販売業者である株式会社広報堂(本社:東京都港区)に対し、3か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部を停止するよう命じました。自分の作品を褒められたり、社会のために役立つなどと言われ、うれしく感じる気持ち、心理などにつけ込んだ手口で、 「褒め上げ商法」と呼ばれるものです。

承認欲求につけ込む

最近、承認欲求という言葉をよく聞きます。「周囲から認められたい」、「自分を価値ある存在と認めたい」という欲求ですね。日本人には特に強い欲求のようで、様々な行動が承認欲求に基づいているといわれます。今の時代は個々人が簡単に情報発信できるようになりましたから、なおさらでしょう。

その承認欲求につけ込んで、「あなたの作品、素晴らしいですね」、「是非〇〇新聞に掲載しましょう」。と電話で勧誘され、数十万円というお金を振り込ませるのが一般的な手口のようです。

消費者庁の処分内容によると、褒め上げる対象の主なものは、短歌、俳句、絵画等の作品ということです。「年金受給者である消費者に対し、その年間の収入等に比して高額に及ぶ本件役務提供契約の締結について勧誘をし、顧客の財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘を行っている。」といった指摘がされてますので、基本的には高齢者を狙っているようです。

実は昔から・・・

まさに最近生まれた商法かと思いきや、実は意外に昔からある手口のようです。日本経済新聞の過去のニュースでは、2011/8/9付で「消費者庁がアートライフ、現代通信、東宝堂、東広通信、アドクリエイトの5社に対して9カ月の一部業務停止命令を出した」なんてのが出てきます。

今も昔も、周囲から認められたいという欲求に変わりはないということですね。kuniなんかもこうしてブログなんか書いてると、多くの方に読んでもらいたいわけで、、、騙されてしまう気持ちよく分かります。気を付けないと。

内部通報制度 国の認証制度 消費者庁

5/16 日本経済新聞の夕刊で、「適切な内部通報制度、国が認証 不正発見実効性高める まず伊藤忠・MS&AD」という記事が出ていました。第一号がこの両社ということで、5/10までに認証されたのは他に計8社。さらに十数社が手続き中ということです。

内部通報制度とは

社内にある不正や不祥事などを従業員が発見した場合、その不正や不祥事を会社の経営陣に直接告発する制度のことですね。経営陣に直接というのは実務上無理があるので、経営陣に権限を委譲された従業員や外部の弁護士などが、実務上の通報窓口になります。

内部通報制度はヘルプラインとも呼ばれます。不正等を発見した社員は本来、レポートラインに沿って、つまり直属の上司に報告し、その上司からまた直属の上司に報告され、、、これを繰り返して、その不正や不祥事を解決する機能を持つレベルの上席者が解決に動くべきです。この本来のレポートラインが目詰まりし、機能しなかったときのためにと設けられるのがヘルプライン、つまり内部通報制度ということです。

レポートラインの目詰まり

最近多くの企業の不正・不祥事が伝えられるところですが、必ずレポートラインが目詰まりし、もしくは検査等の一部の組織が経営から乖離した状態になっています。平成の30年間で日本の多くの企業で同様に進行してきた病状と言っていいかもしれません。

停滞する景気に後退する企業の競争力、さらには金融危機による資金不足など。厳しい環境の中で何とか利益を出すために、無理な業務拡大や経費削減に取り組んできました。前者はスルガ銀行のような不正を生みましたし、後者は自動車メーカー等にみる検査不正を生んできたわけですね。

内部通報制度認証の仕組み

少々脱線気味ですが、今回取り上げた認証制度の話に戻りましょう。消費者庁が指定する指定登録機関(現在は商事法務研究会だけのようです)に、事業者が自ら認証基準に適合している旨申請します。指定登録機関がその申請に基づき審査を行い、認証し、WCMSマークの使用を許諾する。という流れのようです。

適合すべき認証基準はと言うと、「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」に基づく内部通報制度認証基準、だそうです。ながっ。 また、この記事の左上に付けた画像が、WCMSマークらしいです。御上のお墨付きってことで、このマークを名刺や会社案内とかに印刷して使うんでしょうね。