日経平均株価 年末に44,000円 とな

先日、楽天証券のチーフストラテジストが公表したマーケット見通し。強硬だった米国の関税政策に緩和の兆しが出ていることを受け、世界的な不況や長期低迷を回避できるとの見方が強まってきたことから、日経平均株価は年末めどに4万4000円まで上昇するという見方を示していました。

中々の強気

関税上乗せ部分を90日間停止したり、電子関連製品(アップルアイフォンに配慮)を相互関税の対象から除外したりと、少しづつ落としどころを探る動きが出てきています。確かに「トランプ関税えらいこっちゃ」、という市場の急落懸念は相互関税の公表時期がピークだったようにも見えますね。

この方の主張は、関税によって打撃を受けるのは米国の企業であり、米国民であるという主張で、「米国が民主主義国家である限り、最終的には世論が制する。関税の強硬姿勢は緩み、株価を押し上げる方向に作用する」というもの。

確かにおっしゃる通りなんだけど、これに対してトランプ氏が唱える米国産業の復活というシナリオをどのくらい織り込めるのかという面が注目されます。復活の条件をしっかりと確立しながら、国民の経済環境を守り抜けるのか。ここが注目されますよね。

まぁ、いろいろな見立てがあるでしょうけど、日経平均株価が年末に44,000円という主張はなかなか勇気ある見立てだと思います。ん~、そうなってほしいけど。

ラック株急落(3857) トレンドマイクロ(4704)は大幅高

先週末の株式市場でラック株が急落してましたね。前週末の株価が1305円で、先週末は1127円。おまけにこの日はほぼ安値引け。この会社、日本貿易保険におけるシステムの入札妨害事件で逮捕者が出た際、同社社員も書類送検されたことから、当ブログでも取り上げたことのある会社です。

ラック急落の謎

その後、会社自体は悪くない会社だなと思いながら、株価と事件の進展状況を両睨みしてきましたが、ここで急落となったわけです。11/5に第2四半期の決算を発表していて、売上高6.0%増ながら、営業利益90.0%減益という内容。ただし、減益の理由は「社内システムの刷新や事業拠点新設」とのことですから、それほど後ろ向きに捉える必要はなさそうです。

決算短信もサクッと眺めてみましたが、システムの刷新や新オフィスの開設で、全社共通費用が3億円弱上昇してますので、利益が出にくくはなっています。が、それにしても、株価の下げ方がきつすぎる感じがします。日本貿易保険の事件の続きがあって、同社に関する不正等の情報が近々公表されるのでは、、、などと勘ぐってしまいます。

調べてみると、いちよし証券のアナリストがレーティングを「A」→「B」へ引き下げ、フェアバリューは2000円→1500円に引き下げた。。。という話はあるようです。詳細はいちよし経済研究所まで。

トレンドマイクロは大幅高

一方で、同業(と言っていいのかな)のトレンドマイクロ株は、週末金曜日、大幅高しています。11/6に、同社元社員が12万人分の個人情報を第三者に売却していたという事件を公表したにもかかわらず、、、です。公表後2連騰で、このところの高値を更新してるんですね。

トレンドマイクロの大幅高、投資家の反応がいまいち読めません。悪材料を公表した日が底になって、即反発し始める。この情報漏えいの事件に関する情報も、社外に漏れていたかのような動きなのはちょっと気になりますね。

4~6月GDP 日本経済 株式市場

内閣府が8/9、4~6月GDP速報値を発表しました。年率換算で1.8%増で、プラス成長が3四半期連続となりました。市場予想では0.4%増などと言われていましたが、これを大きく上回る結果になったわけです。

内需による下支え

改元に伴う10連休により、旅行などのレジャー関連の消費が伸びたとか、人手不足に伴う省力化関連の設備投資が増加したなどと説明されていました。一方で輸出は2四半期連続のマイナスとなっており、中国向けの輸出の落ち込みが指摘されています。まさに内需によって下支えされている格好です。

米中貿易戦争が収まる見込みがなく、中国経済の減速懸念に加え、香港情勢も悪化を続けています。お隣韓国との貿易問題もあれば、南米の新興国でも通貨安が始まりました。とにかく足もとで良い話がないわけです。悲観一色になるのも頷けますわな。

ということで、サプライズのある4~6GDP速報値だったわけですが、株価はほとんど反応せず。米国株の急落を受けて連れ安を続けています。

日本の景気は強いのか

1990年にバブルが弾け、それ以降は日本経済にとって酷い時代でした。世界を席巻した日本の技術はどんどん他国に流出し、韓国や中国に追い付かれ、逆転されてしまいました。電子立国なんて言ってた時代が懐かしいですね。日本の一流企業の経営者がどれだけリスクを取って来なかったか、、、一番の原因ではないかと思います。

一方で、確実に進化というか変化した部分もありそうです。人・モノの高齢化・老朽化です。生産年齢人口は確実に減少してきましたし、工場やマンションといった成長期に創ったモノが老朽化し、耐用年数を過ぎていきました。こうしたこと対する更新需要であったり、対策であったりというのが、意外に大きな需要を作っているように思います。

働き方改革により、日本では当たり前だった残業が廃止されていきます。このことが生産年齢人口の減少に加わり、人手不足がより一層厳しい状況になっています。これを解消するための省力化投資やデジタル化投資が必要不可欠なわけです。

モノに関しても、リスクを取って来なかったがゆえに、古い設備の更新が遅れ工場等の生産設備の更新需要が相当溜まっているのではないでしょうか。システムについても同じです。基幹システムの更新を迫られている企業は非常に多いと聞きます(システム更新についてはまた別の機会に書きたいと思います)。

こんなふうに考えていくと、決して前向きなものではないかもしれませんが、4~6月GDPで見た強い設備投資も十分理解できますよね。