2/5 日本経済新聞トップで「日本製 アジア輸出加速」という記事が掲載されました。この手の話は当ブログでも2回取り上げており、これからの日本経済をけん引することになると思っています。過去の関連記事はこちら。「化粧品輸出 5,000億円超へ 日本経済復興のカギ」、「日本の食品輸出が絶好調らしい」
インバウンド消費と帰国後のネット買付け
アジアの人たちによるインバウンド消費(いわゆる訪日外国人旅行者の日本での消費のこと)に加え、帰国後もその商品をリピートしてくれているという現象。この日経記事では、定番の化粧品に加えて、その他の日用品、食品が紹介されています。食品輸出が政府目標として掲げる19年の1兆円突破が視野に入ってきたのも、やはりこの購買パターンの影響ありだと思います。
製造業の国内回帰
もう一つの話題が製造業の国内回帰です。資生堂やユニ・チャーム、ライオンなどが国内に工場を建設中とのことですが、なんと国内での工場建設は、ユニ・チャームが26年ぶり、ライオンは52年ぶりだそうです。
kuniが就職した当時からこれまでの約30年間、日本企業はアジアに工場を移し、アジアの安い労働力により自社製品を製造し、主に欧米に販売してきました。そしてこの時代を通じてアジアの賃金は上昇し、国の経済力も向上してきたわけです。今度はアジアが生産拠点ではなく一大消費地になってきます。
そして工場が日本に戻ってきた。しかし、これって素直に喜べない部分もあります。アジアで建設するよりも、国内工場のコストの方が割安になってきたということ。日本の地価や従業員の賃金など、失われた20年の間に、アジアの中で相対的には埋没してしまったという面も否定できません。
国内回帰の波及効果
一方でポジティブに考えるべき明るいお話も。何十年ぶりに国内に工場を建設するということがどういう変化をもたらすかについても考えておく必要があります。昔と違って高度に自動化が進み、省人化が進んだ工場でしょうから、爆発的な雇用を生むことはないでしょう。それでも確実にその地域に雇用やその他サービスの機会が生まれます。
工場に導入される産業機械にしても、輸出規制や為替の変動なんかを気にすることなく生産・納入できます。また、新たな物流も生まれるでしょうし、工場誘致による町興しのようなことも起きるでしょう。人口減少や高齢化が進む地方にとっては魅力あるお話ですね。地域金融機関も一息入れられるかもしれません。
越境ECによる輸出
輸出という概念も大きく変わろうとしているのかもしれません。越境ECにより直接消費者に届けられる。物流は専門業者に任せて、商品の品質だけで勝負できるようになっていくでしょう。現地に進出して様々なコストを負担する必要もありません。もちろんアジアの国々のそれぞれで、守るべきルールとかはあるでしょうけどね。
中国の爆買いにつづくキーワードは、アジアを相手とする越境ECかもしれません。従来、輸出産業と言えば自動車や電気製品というのが相場でしたが、化粧品や食品、日用品が輸出産業の花形、なんて時代が来るかもです。