洋上風力発電 石炭火力に代わる切り札

新法が成立し、政府の補助制度などの後押しもあり、だんだん洋上風力発電の周辺がにぎやかになってきました。遠浅の海が少ないなど、課題もあるものの、脱石炭を促す世界の潮流に乗ってきたって感じですね。海外企業も含め、関連事業への新規参入の話題も増加してきています。

国内の洋上風力発電 総事業費2兆円

3/13 の日本経済新聞記事のタイトルです。みずほ銀行の試算によると、国内で計画される洋上風力発電の総事業費が2兆円に達するとのこと。新法の成立や国の補助制度といった礎もさることながら、環境に配慮する「ESG投資」におけるあらゆる業界からの評価も大きく前進させた感じです。

みずほ銀行が試算というのも不思議に感じた方もあったでしょうか。銀行にとってもESGは他人事ではありません。石炭火力発電関係への融資がやり玉にあがるご時世です。銀行としてもESGにおいて高い評価を得られる融資を拡大したいわけですね。で、銀行がそれを試算していると。

記事の最後のところで、「洋上風力発電は事業規模が大きく、複数の金融機関がプロジェクトファイナンスで資金を出す。アセス手続き前の案件も含め、10件は3メガバンクが主幹事として融資を検討しているとみられ、みずほはこのうち5件に助言している」とあります。大規模な太陽光発電の事業においても、メガバンクによる同じ形態の融資が見られました。

世界の電力 石炭火力重荷

同じ日の日経にはこういうタイトルの記事と、「日本、地方で依存度高く」という記事も掲載されています。石炭火力発電は二酸化炭素排出抑制のための追加の環境対策費用により高コスト化しており、特に規制が強い欧州では採算が悪化しているという記事です。

また、後者の記事は、日本では地方電力ほど石炭火力への依存度が高く、今後これが高コスト化していくだろうというものです。最も石炭火力への依存が高いのは沖縄電力だそうで、最も低い東京電力の5倍になってます。自然という観光資源が生命線の沖縄。その沖縄が最も依存度が高いというのは皮肉ですね。

ESGの潮流はもう止められないでしょう。日本においても新たな環境規制が導入される(導入せざるを得なくなる)のはほぼ間違いないでしょうし、再生エネへの転換は待ったなしの状況です。

記事の最後では、中部電力の社長さんの「資源の少ない日本で石炭火力は重要な電源」という発言も掲載されていました。電気事業連合会の会長さんという立場もあり、各方面への配慮が滲む発言なんでしょうが、ちょっと不用意な発言ですね。ESGの魔女狩りはもう始まってますよ。