台風15号の教訓 老朽インフラ

台風15号による大規模停電、当初の想定よりもかなり厳しい現実となってしまいました。今なお電気のない生活を強いられている千葉県の皆さんには、心からお見舞い申し上げます。見込みが甘かったと、また東電が批判されてますが、そんなことより今皆に何ができるかという前向きな議論にしてほしいものです。

露呈した老朽インフラ

日経も取り上げていましたが、日本の電力や道路、都市ガス、水道などのインフラは高度成長期に構築されたもの。その老朽化は以前から折に触れ問題視されてきました。公共投資で一気に更新していくのは難しいでしょうが、新しい発想、新しい技術で、できるだけお金をかけずに対応していきたいものです。

遠くの田舎で発電した電力を送電線で都心に届ける、といった発想はもうやめ。再生エネと蓄電池によるVPP(バーチャル・パワー・プラント)と小型の燃料電池による発電所を組み合わせた地域ごとの自立した給電システムを構築する。そんな発想をすれば、巨大な鉄塔で送電網を作る必要はないでしょう。

洋上風力発電なんかもそう。関東近辺では千葉県沖が設置候補としてあがっており、一部プロジェクトもスタートしていると思います。東電が原発を失った直後から、この洋上風力発電に取り組んでいたら、今回倒れた送電線の鉄塔の影響はもっと小さくて済んだかもしれません。

取り戻すよ、数十年

公共インフラでは約50年間、待ったなしの更新時期が来ています。同じよう企業の基幹システム等も約30年間。こちらも更新時期です。さらに企業の工場設備、製造ラインなどもそうですね。バブル後の委縮した経済、経営姿勢もあり、更新需要がそこら中に出てきたわけです。

悲観的になることはありません、もう一度日本を作り直すつもりでいきましょう。この巨大な内需は日本の景気を大きく引っ張っていくことになると思います。。。と、kuniはかなり楽観的です。

日本株式市場を取り巻く環境の変化(その2)

8/18の日本経済新聞に、「投資信託によるリスク運用を初期設定(デフォルト)とする企業の確定拠出年金(DC)が増え始めた。」という記事が掲載されました。DCの窓口業務などを担う運営管理機関大手10社によると、2018年度末で1年前の2.7倍になったとのこと。

元本確保型ではもう無理

預金など元本確保型の商品ばかりだと、この低金利、もう運用にならないんですね。kuniが就職したころ(30年以上前です)、財形貯蓄に入りましたが、これはひたすら国債を毎月買い付けるもの。しかし、当時の10年利付国債の利回りは6%台だったと思います。途中7%に乗せたことも。これって10年複利で倍増するレベルの金利です。

かたや、今では金利などありゃしません。国債や預金で運用しても将来に何も残せません。ここでも老後2000万円問題が契機になったんでしょう。企業がリスクをとってでも運用するしかない、というスタンスを取り始めました。これまた株式市場に与えるインパクトはデカいです。

米国でも2006年に同様の変化があったようで、これが株式市場に相当の影響を与えたという記事が同記事に添えられていました。昨日書いたような変化に、企業の確定拠出年金(DC)も加わってきました。株式市場にとって負の要素(売り圧力)になる、企業同士の株式持ち合いの解消売り。これを吸収していくのが個人の資産運用になるはずです。

米国や中国発で日本市場が急落する場面。コツコツ買っていきましょう。個別の銘柄が分からなければ、日経225投信やTOPIX、JPX日経400といった、いわゆるインデックス投信でいいと思いますよ。

日本株式市場を取り巻く環境の変化

4~6月GDPが事前の予想を大きく上回る数値になりました。それを支えたのが設備投資などの内需であったことも先日書いた通りです。一方で米国では米中関係の悪化が伝えられるたびに株式市場が急落しています。この後、米国と日本の株式市場の強弱感が逆転してきそうな気がします。

米中貿易戦争(新冷戦)

事前の予想通り、米国にも中国にも相当悪影響が出始めています。日本も工作機械辺りを筆頭に相当影響が出ています。メディアの論調を見ていても、この新冷戦は当分続きそうな感じですね。過去の米ソの冷戦と同じくらい長引くのではということから、冷戦と呼んでみました。

若い人には冷戦と言ってもピンとこないかもしれませんが、その昔米国とソビエト(現ロシア)は直接戦うことはなかったものの、1945年から1989年まで40年以上睨み合いを続けていたんですね。一触即発という場面もありました。しかし、意外にもこの時代に日本は高度成長やバブル経済を経験しています。株式市場も基本的には右肩上がりでした。

現在の米国と中国の貿易戦争も、世界を代表する超大国が睨み合い、そのことで両国が疲弊していく構図は似たものになって行くのではないかという気がします。もちろん、ある程度長い時間を掛ければということですが。長い目で見ると日本には追い風となる大きな変化かもしれません。

老後2000万円問題

金融庁の老後2000万円問題により、国民の投資に対するスタンスが大きく変化しました。金融セミナーや投資セミナーの申し込みが急増しているようです。株の世界は日本人にとって非常にハードルが高く、kuniも証券会社で営業していた若い頃とても苦労しました。いくら後ろから押してあげても、なかなか一歩を踏み出してくれないんです。

老後2000万円問題を機に、日本人が本気で資産運用を考え始めました。資産運用元年と言っていいのではないでしょうか。これ、実は非常に大きな変化です。

身近になった証券投資

証券会社がこれまで顧客を大切にしてこなかったというのも、証券投資が一般化してこなかった大きな理由です。ここへきて、従来の証券会社とは違うIFAのようなアドバイザーが登場しましたし、お買い物のお釣りやポイントで株式投資が始められるサービスなんかも登場してきました。投資家のすそ野を拡大していくきっかけとして、これらも大きな変化と言っていいでしょう。

どうでしょう、こんなふうに考えていくと、米国や中国よりも日本の株式市場の方が明るい未来がありそうな気がしてきたんですが、、、皆さんはどう感じてます?

日本企業 再生

ブログでは出来るだけ日本を応援する話を書きたいと思っています。再生可能エネによる発電、食品輸出や5Gインフラでの日本再生などなど。しかし、5Gなんか、なんでこんなに出遅れてしまったんだって感じですよね。米国と中国が争って先陣を切る中、日本が後塵を拝していることにそれほど違和感もなさそうです。最近の日本人は。

kuniたちの世代は違和感ありありですよ。米国どころか中国にまで後れを取るなんて、どうしちゃったの。この状況に危機感ないの?って、ボヤきたいわけです。kuniが会社に入った頃、日本の企業の持つすべての技術が、世界を制してしまうんじゃないかと思わせるほどだったんです。と言っても今の若い人たちには上手く伝わらないんでしょうね。

皆さんも世界の株式時価総額ベスト20みたいな話を聞いたことあると思います。マジで半分以上日本の企業だったんですよ。しかし、それはどうやら幻想だったみたいで、その後日本は失われた20年とかいうデフレの中で衰退していきました。いったい何が起きたんでしょう、日本に。

30年前の米国に酷似

kuniはあまりテレビを見ないんですが、今でも日本のここが凄いぞ、みたいな番組ってやってますよね。確かに凄いところはあるんだけど、全体的に見て、もう二流の国になってしまっていることをしっかり皆で認識した方が良いんじゃないかと思います。で、一流になるために何が足りないのかを本気で考えるべき状況かと。

今の日本は、kuniの世代が若いころに見た米国によく似ています。先頭を走ってきたくせに、なんだか近視眼的な経営がはびこっていて、後ろから追いかけてきた日本に良いようにやられてました。先進国で一番のはずが、気が付いたら発展途上の国にどんどん追い越されていく。まさに、今の日本なんですね。

米国にもそんな残念な時代があったんです。今はどうでしょう。グーグルやアマゾン、フェイスブック、アップル。産業全体ではないかもしれませんが、やはり再度世界の覇者に返り咲いてます。歴史ってこういうもんなのかもしれませんね。ってことは、日本にもまだまだチャンスはあるということです。

経営者たちの挑戦する姿勢

はっきり言って経営者の問題が一番大きいように思います。リスクをとって新しいことにチャレンジする姿勢がない。それ以前に、世界に取り残されて行っている危機感をしっかり意識できていないことも重要。とりあえず、資金繰りも心配ない。次の金融危機が来た場合の備えはできた。そこで立ち止まっているように見えるんです。だから、使う予定のないお金(内部留保)が過去最高に積み上がってるんですね。そろそろエンジン掛けませんか!!!

洋上風力発電 石炭火力に代わる切り札

新法が成立し、政府の補助制度などの後押しもあり、だんだん洋上風力発電の周辺がにぎやかになってきました。遠浅の海が少ないなど、課題もあるものの、脱石炭を促す世界の潮流に乗ってきたって感じですね。海外企業も含め、関連事業への新規参入の話題も増加してきています。

国内の洋上風力発電 総事業費2兆円

3/13 の日本経済新聞記事のタイトルです。みずほ銀行の試算によると、国内で計画される洋上風力発電の総事業費が2兆円に達するとのこと。新法の成立や国の補助制度といった礎もさることながら、環境に配慮する「ESG投資」におけるあらゆる業界からの評価も大きく前進させた感じです。

みずほ銀行が試算というのも不思議に感じた方もあったでしょうか。銀行にとってもESGは他人事ではありません。石炭火力発電関係への融資がやり玉にあがるご時世です。銀行としてもESGにおいて高い評価を得られる融資を拡大したいわけですね。で、銀行がそれを試算していると。

記事の最後のところで、「洋上風力発電は事業規模が大きく、複数の金融機関がプロジェクトファイナンスで資金を出す。アセス手続き前の案件も含め、10件は3メガバンクが主幹事として融資を検討しているとみられ、みずほはこのうち5件に助言している」とあります。大規模な太陽光発電の事業においても、メガバンクによる同じ形態の融資が見られました。

世界の電力 石炭火力重荷

同じ日の日経にはこういうタイトルの記事と、「日本、地方で依存度高く」という記事も掲載されています。石炭火力発電は二酸化炭素排出抑制のための追加の環境対策費用により高コスト化しており、特に規制が強い欧州では採算が悪化しているという記事です。

また、後者の記事は、日本では地方電力ほど石炭火力への依存度が高く、今後これが高コスト化していくだろうというものです。最も石炭火力への依存が高いのは沖縄電力だそうで、最も低い東京電力の5倍になってます。自然という観光資源が生命線の沖縄。その沖縄が最も依存度が高いというのは皮肉ですね。

ESGの潮流はもう止められないでしょう。日本においても新たな環境規制が導入される(導入せざるを得なくなる)のはほぼ間違いないでしょうし、再生エネへの転換は待ったなしの状況です。

記事の最後では、中部電力の社長さんの「資源の少ない日本で石炭火力は重要な電源」という発言も掲載されていました。電気事業連合会の会長さんという立場もあり、各方面への配慮が滲む発言なんでしょうが、ちょっと不用意な発言ですね。ESGの魔女狩りはもう始まってますよ。