NTT 7月から3万人テレワークに

日本経済新聞は6/19、「NTT、来月から3万人テレワーク  居住地は全国自由に 出社は出張扱い、飛行機も容認」と報道しました。NTT自身はこのことについて開示してないみたいだけど、グループ各社の役員人事が大量に発表されており、同社に大きな変化を感じさせます。

テレワーク

NTTは7月から国内のどこでも自由に居住して勤務できる制度を導入するということです。主要7社の従業員の半分となる約3万人を原則テレワークの働き方とし、勤務場所は自宅やサテライトオフィスなどとするとのこと。出社が必要になった場合の交通費の支給上限は設けず、飛行機も利用できるんだそう。こうした多様な働き方を認めることで、優秀な人材の獲得につなげるとしています。

毎日3万人分負担していた通勤のための交通費がなくなるわけで、これはこれででかそう。が、一方で、いざ出社するとなると飛行機代まで含めて巨額の交通費が発生。採算のほどはどんなんでしょうね。ただ、NTTの狙いは採算ではなく、働き方を自由に選べるということに着目したもののようです。

ワークインライフ

仕事を人生の一部と捉えて、働き方を自由に選ぶ、「ワークインライフ」という考え方らしいです。今回導入する全国どこでも自由に居住して勤務できる制度は、どんな風に受け止められるんでしょうか。転勤や単身赴任など、会社の都合を従業員個人に負担させる仕組みは、もう時代遅れなんでしょうね。kuniも現役時代、何度か拒否したことがあります。

日経では、「人材獲得競争が激しさを増していることも背景にある」と指摘していました。こんなふうに住みたいところに住み、働き方を自由に選べる会社だったら、もう少し現役続けられたかな、、、なんて思います。

デジタル・プロダクト・パスポート DPP とは

デジタル・プロダクト・パスポートという言葉に初めてお目にかかりました。全デジタル製品に割り当てる旅券、という意味で、欧州連合(EU)が27年にも導入し、内外企業に取得を義務づけるんだそうです。21世紀の欧州で、モノにパスポートが必要になるってことのようです。

デジタル・プロダクト・パスポート

パスポート(冊子というよりQRコード的なもの)を持たない製品はEU域内に入れなくなる?。どうやら脱炭素と循環型経済でEUが先行しようとするための施策のようです。製品がどこで採掘された原料を使い、どこで最終製品にされたか。その間、製品はどう運ばれ、二酸化炭素(CO2)を合計どれだけ出したか。

こんなこともパスポート上で電子的に把握できるようにするんですね。このようなデータをもとに、欧州の環境基準に達せず、認証機関のお墨付きが得られなければ、EU域内企業にも海外企業にも販売許可を与えないという仕組みだそう。ワクチンを〇回接種した証明がないと、入国できない、、、みたいなルールですね。

そんなもん、どれだけ正確さを証明できるんでしょう。って疑問が起きますが、モノをネットにつなぐ情報機器や技術は多数存在し、改ざんを許さないブロックチェーン(分散型台帳)技術、データを流通させる域内プラットフォームももう確立ずみだといいます。あとは制度の詳細を詰め、EU各国の合意を取り付ける作業に絞られつつあるといいます。

日本の意識

この手の話題に触れるたび、欧州は環境問題に本気なんだなぁ、と感じさせられます。それに比べると日本の意識というのは、、、。とりあえず世界中が叫んでるから、姿勢だけは正しましょうとか、取り組む姿勢だけは見せましょう、みたいなのが多いですよね。

コスト削減、に関しては日本も先端を入っているように見えますが、こういうことにももう少しシビアに取り組まないとなぁ。そんな感じがします。

日揮ホールディングス 魚の陸上養殖を行う新会社を設立

日本経済新聞は5/21、「日揮HD、魚の陸上養殖に参入」と報じました。水中の温度や酸素濃度などを制御するシステムを備える施設を福島県に建設するとのこと。日揮ホールディングスのホームページでは5/20付でこのことが公表されています。

日揮ホールディングス

日揮ホールディングスは、オイルやガス、クリーンエネルギーなどのエネルギー分野を中心に、インフラ分野も含めて、プラント・施設の設計、調達、建設を手掛ける国内最大手のエンジニアリング会社です。石油精製・石油化学用の各種触媒、情報・電子材料、光学材料などのファイン製品も手掛けています。

そんな日揮が「魚の陸上養殖に参入」、、、なもんだから記事を見てびっくり。水産物の捕獲減やら、将来の食糧危機といった、なんとなく聞こえてくる将来の危機に向け、やはりこうして本気で取り組む企業が出てくるんですね。日揮が持つ高度な水処理技術を活用し、閉鎖循環式陸上養殖システムを構築するということです。

かもめミライ水産株式会社

新たに設立する会社は、かもめミライ水産株式会社。福島県浪江町に新設する新会社は、地元の水産業を活性化するため、新たな可能性に挑戦しているいわき魚類株式会社と共同で取り組みを推進していくんだそうです。原発の件で大きな被害を被ったであろう地元の産業を復興する手掛かりにもなりそうですね。

2024年からサバの本格生産を始め、27年をメドに年間60トンの生産を目指すそうです。日揮は2021年から岡山県内の閉鎖循環式陸上養殖施設で、魚の試験生産による養殖ノウハウの蓄積とシステム開発を実施してきたみたいです。この成果も踏まえた新会社設立ということ。日揮、かなり本気のようです。

日医工 事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を検討

日本経済新聞は5/12、「日医工が私的整理検討 後発薬不正、経営を直撃 不振企業軸に再編機運」と報じました。翌日には日医工も、「事業再生ADR手続の正式申込及び受理に関するお知らせ」を公表しています。一昨年品質不正が発覚し、昨年には業務停止命令を受けていました。

おさらい

日医工は後発医薬品(ジェネリック)の御三家の一角でしたが、2020年、国が承認していない手順で医薬品を製造していたことが発覚し、21年に業務停止命令を受けました。同業の小林化工や共和薬品でも同じく品質不正が発覚しましたね。

日本ジェネリック製薬協会によると、会員企業38社のうち31社で、国に事前提出した手順とは異なる方法で、医薬品を製造していたそうです。酷過ぎますね、まさにドミノ倒しです。

私的整理を検討

こんな状況ですから後発医薬品のシェアは低下するでしょうし、不正でケチの付いた企業は淘汰されるでしょう。どう考えても業界全体が再編ということになりそうです。そんななか、日医工が今回の公表となったわけです。

産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)を利用して、関係当事者である取引金融機関の同意のもとで、今後の再成長に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指すということです。事業再生ADR手続についての正式な申請を行い、5/13日付で正式に受理されたようです。

爪水虫薬などに睡眠導入剤の成分が混入し、多数の健康被害が出た小林化工は、業界最大手のサワイグループホールディングスに吸収されました。続いて日医工の私的整理。同業他社においても、まだまだ続きそうな気配ですね。

きらやか銀行 コロナ特例で公的資金注入へ

日本経済新聞は5/12、「山形・きらやか銀行に公的資金注入へ 初の『コロナ特例』」と伝えました。金融機能強化法に基づく公的資金注入を金融庁に申請する検討に入ったことが分かったとのこと。同日、きらやか銀行を傘下に持つじもとホールディングスも、報道されていることについて、「グループ内で検討していることは事実」と認めています。

きらやか銀行

昨日に続き地銀ネタになります。きらやか銀行は山形県を地盤とする地銀。宮城県を地盤とする「仙台銀行」との経営統合により地域金融グループとして発足した銀行持株会社が、じもとホールディングスです。店舗は宮城・山形を中心に、新潟や秋田、福島などに展開しています。地元ホールディングスは東証スタンダード市場上場企業です。

公的資金の注入

新型コロナウイルス禍で苦境に陥る中小企業の支援を目的とした特例制度を利用し、きらやか銀行への200億円規模の注入を求めるとのこと。金融庁もこれを認めるようですね。昨年9月、じもとホールディングスが金融機能強化法に基づいて策定した経営強化計画、金融庁もこれを承認しているだけに認めざるを得ないという格好ですかね。

「コロナ特例」の申請第1号となる見通しだそう。「コロナ特例」の公的資金とは、通常は15年の返済期限を実質的に撤廃し、経営責任なども問われないというもの。コロナ後の企業の再生を後押しする役割が金融機関に託されているからとはいうものの、ん~、いかがなもんでしょう。

きらやか銀行が公的資金注入を申請するに至った最大の理由は、外債投資の失敗が原因だといいます。その他有価証券の評価損が37億円に拡大しています。2009年にも200億円の注入を受けており、2012年にも。そして今回となれば3回目の公的資金です。公的資金に依存する状況が恒常化している同行。う~ん、いかがなもんでしょう。