株式市場 27年ぶりの高値圏

昨日の株式市場、日経平均株価は 24,120円(前日比323円高)と大きく値を上げました。とは言っても、1.36%の上昇でしかないんですけどね。

それにしてもこの煽り方は、、、

リーマンショックから10年が経過したということもあり、このところまた金融危機に備えよ、とばかりにネガティブ・キャンペーン張ってたかと思えば。「日本株、稼ぐ力に再評価」、「割安感と安定感、海外マネー呼ぶ」という日本経済新聞の小見出し。どうでしょう、この豹変振り。

高値圏でもたついている最中でのトランプの発言やFOMCの利上げなど、悪材料が目立ってる間は超弱気の記事を連ね、目の前で相場の上昇を見せられると、今度はこの報道ですからね。皆さんもマスメディアの書く記事はあまり額面どおりに受け取らないように気を付けてくださいね。

見方によっては為替の円安に合わせた動き

この日は、東証の寄り付き時点でかなり円安(対ドル)になっていました。113円台半ばです。これを好感した株式市場は上昇し、勢いで一時は24,286円(489円高)まで買われています。この上げ幅がこういう記事を書かせるんですね。

今年の1月に付けた日経平均株価の高値は24,129円ですが、今年年初の為替を見てみると、やはり113円台です。ということは、結局為替に振り回されているだけじゃん、という見方もできるわけですね。

おまけに、前日は午後だけで日経平均は200円近く下げてますので、323円高のうちの200円くらいは前日下げ分を戻しただけ。また、金曜日の後場も高値からは150円以上下げて引けているということも、ちゃんと認識しておきましょう。

記事の中で出てくる専門家の見方

記事の中で紹介される運用の専門家たちの意見もそうです。日本株が上昇してくれると儲かる専門家にインタビューしてるだけですからね。専門家のポジショントークとは言いません。彼らは本気でそう見ているわけですから。書こうとしている記事に都合の良い人を呼んできて、話を聞いているというだけの話です。

とまぁ、記事の批判だらけになってきましたが、kuniも相場が弱いといっているわけではありません。当分は強気で良いと思ってます。要は、上げれば強気、下げれば弱き、を繰り返していたら、そういう見方に振り回されていたら、投資なんか上手くいきませんからね。これが言いたかっただけです。

地方銀行 投信販売

地方銀行の投信販売額等のデータに接する機会がありました。この過酷な環境下、地銀は生き残りをかけて投信や保険を売りまくっているのかと思いきや、意外にそうでもないんですね。

低迷する投資信託の販売額

地銀協のデータですので、第二地銀は含んでません。2014年度までは毎年増加していますが、この年度をピークに15年度、16年度と販売金額は減少しており、17年度(前年度)やっと増加に転じてます。とは言え15年度実績には届かない程度です。

なんとなく状況は理解できます。ピークとなった14年度の9月、金融庁が初めてフィデューシャリー・デューティーを言い出してます。ここが転機になったのでしょう。

15年度からはこのフィデューシャリー・デューティーのせいで、投信の短期乗換は睨まれるし、このころ絶頂期だった毎月分配型投信(特に通貨選択型投信)の販売は気が引けると。約2年間どうしていいのか分からないという状況だったんでしょうね。この間投信残高も減少させていて、販売も残高も大幅に伸ばした証券会社と対照的です。

アパートローン、カードローンと投信販売

投信販売が低迷していたこの期間、地銀が力を入れてきたのが、アパートローンやカードローンだと思われます。で、ご存じの通りアパートローンもカードローンも頭打ち。スルガ銀行や東日本銀行の不祥事も出てきて、やり過ぎた銀行はこれからあっせんやら訴訟やら、顧客対応に追われることでしょう。

実はこの期間、かなり株式市場は好調だったんですよね。だから証券会社は乗換ができなくても、通貨選択型投信が売れなくても、投信販売を大きく伸ばしたわけです。

ここから本気? 投信販売

これから地銀が法令を遵守しながら本気で取り組んで、ちゃんとした収益が見込める商品は、投資信託だけになったんじゃないでしょうか。保険はフロントフィー(契約時に入る手数料)の見直しがあったので、今一つ行員に人気ないだろうし。

聞くところによると、これまで投信は若手と女性行員にしか販売させてこなかったとか。マーケットが下げた時、顧客から苦情を受けるのは若手と女性だけ、そんな構図では誰も本気で取り組みませんよね。これからは支店長はじめ全員で頑張ろうって雰囲気になってきてますかね。

このマーケット環境、この水準から本気で投信販売に取り組まなきゃ、というのはどうなんでしょう。どうにも買わざるを得なくなった人たちが大挙して市場に参入してくるとき、相場は天井付けるものなんです。ちょっと嫌な予感がします。

物言う株主と総会屋

物言う株主(アクティビスト)

株主としての権利を積極的に行使し、会社を変えていこうとする投資家のことを指していて、アクティビストとも呼ばれています。最近ではスチュワードシップ・コードの制定により、こうした投資家の影響力がより一層強力になってきています。

スチュワードシップ・コードというのはコーポレートガバナンス・コードの投資家版です。機関投資家向けの行動規範ですね。こちらは2014年に「責任ある機関投資家」の諸原則として金融庁が策定・公表し、今年5月に改訂されています。これもやはり7つの原則により、投資先の企業に対して持続的成長に資するよう議決権を行使することなどを求めています。

総会屋との違い

昔の総会屋は少数の株主として株主総会に乗り込んできて、議事進行を妨げるなどの妨害をし、またはそうした行為をちらつかせて、金を脅し取るなんてことをしていました。

一方で、現在のアクティビストは議決を左右しかねないほど大量に株式を買い付け、企業の経営に直接影響力を行使してきます。取締役の選任や、増配の要求、内部留保の活用などがよく聞く彼らの要求だったりしますね。

もちろんまともなアクティビストもいるでしょう。企業経営の効率化に資することもあるでしょうが、一方で、その企業を食い物にしてしまうような輩が居ることも事実です。このように、手口は違うものの、経営陣にとっては総会屋以上に手強い相手になってきていると思われます。

そうは言っても所詮素人

経営に口を出してくると言っても、彼らが当該企業の専門性を十分理解した株主であるわけでもなさそうです。最近の事例でも、大塚家具の件で久美子社長を支持して、前社長を追い出したアクティビストもある外資系ファンドでしたが、その後大塚家具が上手く行っているという話は聞きません。

正直kuni個人としては総会屋よりタチが悪いと思ってます。大塚家具の例のように、特に影響力を行使してくるのは外資系です。日本の文化や従業員、さらには顧客に至るまで、十分に理解せずに欧米流を押し付けられるというのは、長年会社や従業員、顧客と向き合ってきた経営者にとっては、ある意味妨害でしかないかもしれません。

地方銀行もターゲットに

PBRが1倍を下回っている地方銀行などは、こうした外資系アクティビストの格好のターゲットです。PBR0.4倍の地銀なら、買って即清算させれば投資金額は2.5倍になるわけですからね。まぁ、すぐに清算なんて出来ないんですが。

彼らとしては、滅多に潰れることがない日本の銀行で、PBRが0.4倍、そんな株を買い付ける。持ち合い解消で株が纏めて売られてますので、株式の調達には事欠きません。

買うだけ買ったら、株主への還元を厚くしろと迫る。配当金を増額させておいて、それを材料に株価が上昇したらさっさと売り抜ける。地銀同士の統合を経営に飲ませて、統合時の買い取り株価にプレミアムをつけさせて儲ける。なんてことを仕掛けてきます。

今の地銀は配当を増やそうにも、利益が出せてないわけですから配当原資がありません。含みのある有価証券を売却するとか、内部留保を吐き出して捻出するしかないですよね。これからも逆風の環境下で耐えていかなければならないのに、財務の健全性を損なうような経営へと追い詰められていくわけです。

なんだか書いてると悲しくなってきます。物言う株主、、、そろそろしっかりと対峙していくべきじゃないですかね。

10年周期 金融危機

リーマンショックから10年が経過

このところやたらとリーマンショックの話題を見かけます。あれから10年ということで、振り返りの記事が多いですね。ちなみに、リーマンショックというのは日本特有のネーミングらしいです。海外ではサブプライム・ショックと呼ぶのが普通だそうで、その結果としてリーマンが潰れたと。

10年というのがキリがいいからというだけではなく、この30年ほど、10年周期で金融危機が発生しているから、という背景もあるようです。このことは前回の投稿にも書きました。10年に意味があるとは思えないんですが、概ね10年ごとに起きてるんですね。

米国の政策金利との関係

この10年金融危機説、米国の政策金利との関係で語られることが多いようです。米国の金利が引き上げられ、何度か引き上げが続き、それが終わって1~2年あとに金融危機が発生しています。

景気の過熱を恐れて政策金利を引き上げます。一気に上げると影響が大き過ぎるので、一年に2回とか3回とかのペースで上げていくんですね。これをだいたい2年とか3年とか継続します。そうすることで好景気を長く継続させたいという思いと、景気が悪化し始めた場合の政策金利の下げ余地を確保するという狙いもあります。

金融危機が発生すると、先ほどの逆で、政策金利は何度も引き下げられ、次第に収束、景気も持ち直し、株価も上昇に転じていく。これを繰り返してきてるんですね。

金融危機のメカニズム

バブルという言葉は、平成以降に社会人になった人たちにはピンとこないようで、この投稿では金融危機という言葉を使ってます。念のため。投資資金は常に効率の良い投資先を探し、さまよっているのですが、金融経済は実体経済の50倍に達しており、既に投資先が枯渇しているわけです。

米国の金利がどんどん下がっていくため、米国内で行き場を失ったお金は国外に投資先を探し、アジアや新興国にも流出していきました。アジアや新興国は低い金利で資金が調達できるわけで、この間経済は拡大します。米国を例に書いてますが、同じことは日本や欧州でも起きています。メガバンクは国際金融の比率を大幅に上昇させましたし、トルコリラの急落場面では、イタリアやフランスの金融機関がトルコに大量に貸し込んでいるという話題もありました。

こんな状況で米国の金利が上昇に転じたのです。すると、これまでのお金の流れが逆流し始めます。アジアや新興国の通貨が売られドルを買って自国に戻っていきます。通貨安によってアジアや新興国の借金は膨れ上がります。このときに新興国の経済が立ち行かなくなり、失速し、資金を融通してきた金融機関の資産が毀損します。

今最も心配されている次の金融危機のシナリオはこんなところでしょうか。ただ、どんな風に危機が訪れるのか、それは誰にも分かりません。しかし、ここに書いた大きなお金の流れとその逆流の構図は頭の隅に置いておいた方がいいと思います。

割安株相場

割安株相場の到来か 10年越しの転換 カギは金利

21日の日経平均株価は6日続伸し、この間の上昇幅は1265円に達した。けん引役は銀行や素材といったPBR(株価純資産倍率)が低い割安株だ。本格的な割安株相場では市場全体に幅広く資金が行き渡り、上場企業全体の株価の底上げにつながる。これまで買われても一時的だった割安株だが「今回は違うかもしれない」との見方が浮上している。

9/22 日本経済新聞 スクランブルの記事です。このところスルガ銀行に始まり、銀行株やその他業種のPBR(株価純資産倍率)を調べていて、少し感じるところがありました。kuniの場合は金融の出身ということもあり、どうしても金融株に目がいってしまうのですが、確かにこのところ動きが変わってきていたのです。

記事では「世界では10年ごとに物色の矛先が交代してきた」、「成長株と割安株の優劣が10年ごとに交代。09年末から始まった成長株相場はそろそろ転換点を迎えるとみる。」といった見方が紹介されています。

一方で、長期にわたって上昇する相場の末期に大型株(ここで言う低PBR株にほぼ一致します)が大きく上げるというパターンもよくあります。今回はどちらでしょう。

10年に一度バブルがはじけて暴落

皆さんも聞いたことがあるかもしれません。世界的な金融危機は約10年サイクルで起きてるんですね。1987年10月の「ブラックマンデー」、1997年7月の「アジア通貨危機」、2007年8月に「サブプライムショック」。

10年丁度に何の意味もありませんが、10年程度で投資先を探してさまよう金融資産が行き場(投資先)をなくしてしまう。っていう程度の意味だと思ってください。ここから始まる割安株相場は、この10年間の総仕上げ、最後の局面になるのかもしれません。

もちろん、割安株への投資でバブルがはじけるのではなく、それは米中貿易戦争であったり、新興国の破綻であったり、欧州の銀行の破綻であったりと、別のトリガーで始まるんだと思いますけどね。で、例えばチャイナ・ショックとかのネーミングで呼ばれる暴落が起き、後講釈として「やっぱり将来が見通せない銀行株まであんなに上がったってのは、もう他に買うものなかったんだよね」、「暴落の前兆だったね」みたいな説明がされるわけです。

果たして中長期に続く割安株相場なのか、これが最後の上昇局面になるのか。まだ分かりませんが、スタンスとしては後者を想定して臨むべきでしょう。いずれにせよ、大型株の新たな動きに関しては要注目です。