東京証券取引所 システム障害

また、やらかしてくれました。10月9日早朝から証券会社と東証を結ぶ4系統の発注経路のうち1系統(1号機)がコネクション出来ず。要するに、株式発注のためのネットワークが繋がらなかったということですね。証券会社からは基本的に2系統繋いでるんですが、そのうち一つが繋がらなかったわけです。

1号機に元々繋いでなかった業者と、1号機ダウンで別の回線に注文を速やかに迂回させることが出来た業者は難を逃れましたが、この迂回作業が上手く行かなかった業者の注文が滞留してしまいました。新聞では日興証券で25,000件とも書かれてました。

東証側のシステムの問題

証券会社側で注文を迂回させられたかどうかという問題もさることながら、東証側で1号機以外に迂回させることが出来なかったのか、という問題もあります。当初のコネクションが確立した後であれば、それも可能だったのかもしれませんね。メリルリンチからの大量の電文が原因らしいです。

投資家への開示と賠償責任

4系統のうち1系統がダウンしているという事実の公表は発生から約4時間後。明らかに投資家への情報開示には問題があります。上場している企業にコーポレートガバナンスや適時開示を求め、それを指導してきた立場の取引所がですよ。話になりません。役所と同じで指導する側のガバナンスが出来てません。

また、今回のシステム障害の原因がしっかり判明したとは到底思えない9日(障害発生当日)夕方の段階で、記者会見し、「賠償という形をとることはない」と言いきってます(川井執行役員)。要は切り替えをスムーズに行えなかった(注文を迂回させなかった)証券会社の責任だと言っているわけですね。

障害の翌々日11日には、前日の米国市場の急落を受け、日経平均が1,000円下げる展開となっています。市場に発注できなかった顧客の注文を証券会社が相手となって約定させた場合、証券会社側にポジションが発生します。この市場の急落でポジションの損失を拡大させられる業者もあるんじゃないでしょうか。

見苦しい東証の本音 個人投資家軽視

今回の件、そもそもの障害の発生原因を作った外資系証券のメリルリンチには最大限の配慮をしながら、国内証券会社に対してはこの見下した対応。昔からそうなんですが、見苦しいんですよ。外国人投資家や機関投資家の方ばかり向いていて、個人投資家のための市場になっていません。

日本にリスクマネーを根付かせ、個人投資家を増やしていきたかったら、この取引所の体質も改めなければダメですね。みずほの誤発注の時と一緒で、また敗訴するんじゃないの、取引所。そういえば、ジェイコム誤発注基金200億円どうなったんだっけ?今回の賠償に使わせてもらったら?

初めての証券投資 口座開設

証券総合口座

証券会社を選んだら、次は口座を開設します。証券総合口座という顧客一人に一つの口座を作るんですね。今では証券総合口座の他にNISA口座やら特定口座などという、適用される税制を選択して口座を開設できるようになっています。○○口座と同じような名前ですが、基本的には証券総合口座の中にコースとして用意された口座と考えてもらって良いと思います。

口座開設の手続きは、証券会社が用意している手続きのガイダンス等に沿って行います。外国証券の契約やら累積投資契約など、いろいろな契約をセットにしたのが証券総合口座ですので、基本的に証券会社が誘導する通りに記入して問題ありません。今はその気はなくても、いずれ外国証券への投資を考えるようになるかもしれませんから。

証券会社は何となく怖いというイメージがあるようですが、口座開設の手続きについては何も怖がる必要はありません。

本人確認

証券の世界では、実際に取り引きしている人が、口座名義人本人であるかどうかを厳密にチェックします。マネーロンダリングといって犯罪等で得たお金を一度マーケットに投資し、後に回収することでお金の洗濯をする輩がいるからなんですね。ですから、口座開設時にも免許証やマイナンバーなどで本人確認を行います。これは誰も避けることはできませんので、付き合ってください。

口座が開設されると、その通知が転送不要扱いで郵送されてきます。本人がその郵便物を受け取らなかった場合は証券会社に戻ってしまいます。つまり、届け出た住所で本人が受け取ったことをもって本人確認が完了、取引が開始できるというわけです。

まとめ

先日、業界最大手証券会社の北九州支店営業員が、顧客のお金4,700万円を横領していたというニュースがありました。こんな事があるから心配になってしまうし、強引な勧誘で・・・なんて話を聞くから怖がられるんですね。しかし、口座開設手続きまでは大丈夫です。ご心配なく。

この記事でお伝えしたかったのは、口座開設までは何も怖がる必要もないし、証券会社のアドバイス通りに手続きしてもらって全く問題ないということです。証券会社との取引で色々なことが起きるのは、実際に取引を始めてからです。更に、先ほどのような事件が起きるのは、営業員と顧客の間に一定の信頼関係が出来上がってからなんです。

色々なことが起きないように、巻き込まれないように注意すべきことなんかを書いていこうと思っています。次回は証券会社に特有の受渡(うけわたし)について書く予定です。

初めての証券投資 お勧めの証券会社

株式投資、投資信託、外国債券、初めて投資を考える時って何から初めていいのか難しいですよね。kuniは30年間証券会社に勤めてきましたので、大勢の読者の皆さんに投資の世界を知っていただきたいと思っています。今日は、最初の入り口のお話です。

どの証券会社を選べば良いのか

現在の証券会社は、最大手の野村を筆頭に、大和、日興、三菱、みずほ、この辺りまでがいわゆる大手証券と呼ばれています。岡三、東海東京、岩井コスモ、と準大手が続くわけですが、投資を始めるにあたり、どの証券会社を選んでもらってもかまいません。基本的には大きな違いはないはずです。職場から近い、自宅から近い、ネットの画面が使いやすそう、といった理由で選べばいいんじゃないでしょうか。

証券会社と顧客の関係

どこの証券会社で取引しても違いはありませんが、これから投資を始めるのであれば、ネットでの取引をお勧めします。対面取引(営業員が担当に付く取引)で良い思いができるのは、それなりに資力のある顧客だけです。野村、大和、日興あたりで1億円以上、三菱、みずほでも5000万以上の預かりがないと、難しいでしょう。

一方で、営業員は皆さんが思っているほど、投資に関する良い情報なんて持っていません。昔の証券会社は株式と投資信託くらいしか扱っていませんでしたので、株式に関する情報もそれなりに勉強し持っていました。しかし、手数料の自由化が進み、株式だけでは経営が成り立たなくなってきたため、商品の多角化が進みました。今ではもの凄い種類の商品を覚え、説明できるように、幅広く勉強しなければならない分、株式の知識や情報に関しては非常に貧弱になってしまっています。

また、証券会社には引き受けという業務があり、引き受けてきた有価証券を顧客に販売しなければなりません。IPO(新規公開株式)もその一つです。これは魅力的かもしれませんが、一方で証券マン自身が「こんな商品誰が買うんだよ」なんて商品も販売します。そういう商品の受け皿にはなりたくないですよね。

もちろん、IPOも配分してくれるし、困ったときはお互い様で買っていただく、みたいなバランスの良い営業をする営業員もいますが、なかなかそういう営業員が担当になってくれることは期待しにくいです。基本的に担当の営業員は顧客側から選択できませんしね。

ネット専業の証券会社

投資に際して支払うことになる手数料については、ネット専業の証券会社の方が間違いなく安いです。証券各社の手数料比較みたいな情報はネットに溢れていると思いますので、そちらに任せますが、手数料の高さ、安さを証券会社を選択する際の条件にするかどうかも、皆さん次第だと思います。安い方がそりゃいいんでしょうが、kuniは短期間に何度も取引するような投資を勧める気はありませんので、手数料の違いはそれほど気にする必要はないと思ってます。

PER 株価収益率

以前、地銀の株価を説明するにあたり、会社の解散価値に着目した指標である、PBRについて書きました。今日はもう一つの代表的な株価指標であるPER(ピーイーアールと読みます)について書いてみます。

株価が割安か割高かを判断するための指標で、PERは日本語では株価収益率と呼ばれることもあります。ちなみにPERは(Price Earnings Ratio)の略ですね。

計算の仕方

PER(株価収益率)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)

で計算します。EPSは(Earnings Per Share)の略称で、1株当たり当期純利益のこと。併せて覚えておきましょう。この「当期純利益」ですが、将来の利益予想を使用します。

株価が500円、1株当たり当期純利益25円の予想であれば、20倍まで買われている、という言い方をします。PERは○○倍と言うのが普通です。

日経平均株価のPER

個別銘柄の割高割安を判断するために使うのが一般的ですが、日経平均などの指数について使われることもあります。昨日のデータで見ると日経平均株価のPERは、13.93倍(EPSは1740.54円)だそうです。ちなみにPBRは1.29倍です。

ここ2年間くらいの日経平均株価のPERの推移を見てみると、概ね13倍~16倍までのレンジで動いています。もし、このまま、16倍まで買われたとすると、1740.54×16で27,848円となります。これくらい大きく上げてくれると良いんですけどね。

今年1月には15倍以上に買われた局面がありました。もし15倍まで買われたとすると、26,100円。これであと2,000円弱の上昇ですね。これは少し現実味がある水準かもしれません。

加えて、為替の円安が進んでいて、企業収益の上方修正が濃厚と言われています。つまり、1株当たり当期純利益も上方修正されるわけですね。こんなふうに考えていくと、案外あるかもしれませんね。26,000円台。

ちなみに、先日読んだ日経では、年末までに25,000円どころを目指すと予想しているアナリストが多かったですね。確か一人だけ26,000円を予想してました。

株式売買 100株単位へ

10月1日から株式売買単位が全銘柄100株へ

東京証券取引所に上場する全ての株式の売買単位が10月1日から100株になるようです。売買単位が100株に統一されることで、その銘柄の最低買付金額が明確になり、分かりやすくなるということです。

この日が最後の仕上げということで、これまでも東証の働きかけに応じる形で、各社1000株単位を100株単位へと変更してきていました。最低投資金額が株価を見るだけで把握できるのはとても良いことなんですが、一方で、最低投資金額がどんどん引き下げられることが良いことなのか。という疑問は少しあります。

新規の個人投資家が株式市場に参入する理由

個人の投資家が初めて株式を買う時の理由って何でしょうか。投資金額が少ないことが理由とは思えません。「この会社きっと将来大きく成長しそうだ」とか、「この会社は儲かりそうだ」。株式に縁のなかった投資家が、株式を初めて買ってみたいと思う理由は、このような期待を寄せられる投資対象が見付かったときです。

本当に魅力的な企業が上場している、今回上場する、これこそが最も重要なことであり、取引所や証券会社がもっと真剣に取り組むべきことです。再上場などといって、ワールドなんか上場させることではないとkuniは思いますね。

kuniが知る限り、これまで証券会社が最も多くの新規投資家を顧客化できたのは、NTT株が上場したときです。国が放出する銘柄で、誰もが知っている。公募株式1株で最低投資金額119万円でしたが、もの凄い数の新規株式顧客ができたものです。

売買単位変更にあわせて行われた株式併合

これまで売買単位1000株を100株に変更してきた銘柄の中には、同時に10株を1株に株式併合した銘柄も少なくありません。もともと200円の株式、つまり1000株で投資金額は20万円。これが100株になり、株式併合で株価は2000円になるわけです。そもそも倒産株価に近かった銘柄が、突然2000円の銘柄に。昔から株価を見てきた者にとって、非常に分かりにくくなりました。

以前は100円台、200円台の株価を付けている銘柄は、ほぼ投資対象から外すものでした。こんな株価に評価されている、つまり業績が相当ヤバイことになってるわけですから、一目でそういう銘柄は分かったんですね。今ではそれが財務内容を見てみないと峻別できません。投資家には優しくないですよね。

一方で上場している企業の側には、倒産株価みたいな見方をされなくなるわけですから好都合、企業イメージは上がります。これってどうなんでしょうね。上場企業寄りの施策であり、投資家に優しくない、もっと言うと投資家にとっては偽装されたようなもんですよね。取引所のこんな一面、また別の機会にでも取り上げたいと思います。今日はここまで。