シルバーライフ 後期高齢者の急増で成長加速へ(その2)

昨日書いたシルバーライフ、その第2弾です。非常に魅力的なマーケットを持つ同社です。競合する企業としてはワタミ辺りがあげられると思います。ここも注目してるんですが、居酒屋業態等にも展開しているため、コロナの影響もあり足元の業績は苦しんでますね。

ラストワンマイル

シルバーライフの魅力をいくつか。この会社の最大の強みは、既にいわゆる「ラストワンマイル」を制しているところ。高齢者向け配食サービスのフランチャイズチェーンを運営しており、その数はなんと978店舗、国内最大規模の FC 店舗網です。一人事業者でも開業が可能だそうで、この店舗から高齢者宅まで直接宅配されます。

食材の開発、製造から、高齢利用者の自宅への配達(配食)を行う FC 店舗網の運営までを、自社で行う体制が出来上がっています。宅配以外にも、自前で給食を提供できなくなった高齢者施設へも提供しており、こちらも魅力的な市場です。

クロスセルの可能性も

宅配弁当でラストワンマイルまでを築き上げた同社ですが、今後考えられるのはクロスセル。弁当以外にも高齢者が必要とするものはあります。取扱商品の拡大ですね。そんなことを考えていたら、コンビニとのコラボなんかもありそうだな、などと感じ始めました。

宅配のネックは宅配のコスト。弁当の宅配をする顧客の場合は、既に弁当料金で配送コストをこなしているわけで、このルートにコンビニのオリジナル商品をのせて配送する。なんてのもありかなと。などなど、いろんな可能性を感じさせる企業です。

新型コロナウィルス 従業員を守る 経営の変化に投資尺度も変化を

コロナ騒動で企業の経営が変わってきた。そんな感じしません?「従業員を新型コロナ感染から守るために・・・」。そんなやりとりが経営会議等の場でも普通に聞かれるようになってきました。もちろん、経営者が急に優しい人になったわけではないんですけどね。

コロナの与えた影響

自社従業員から感染者が出たら世間から何を言われるか分からない。そんなリスクを感じ取った経営者が、従業員を守るという当たり前のことを言い始めました。効率や生産性に劣後させてきた経営スタイルが変化しています。新型コロナウィルスの一番の功績だったのかもしれません。

しかし、そういう企業は生産性の低下、業績の低迷を受け、会社としての評価が下がり、株価が低迷することになります。コロナ以前の常識では。

投資尺度のニューノーマル

新常態、ニューノーマルなどと言われ、新しい生活様式が求められていますが、株式市場における企業評価のものさしもニューノーマルがあっていいのでは。そんなふうに思うんですよね。株主の利益に貢献するだけでなく、社会に貢献する企業が評価されるように。

たとえ生産性が下がって、収益が下がったとしても、「この会社は従業員にとても優しい会社」という評価軸。これで市場平均の倍のPER(株価収益率)でも買いだ。そんなアフターコロナの投資尺度があってもいいじゃないですか。

昨年の秋口でしたか、米国大手企業のCEOらが所属する団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が、これまで20年以上掲げてきた「株主至上主義」を見直し、顧客や従業員、サプライヤー、地域社会、株主などすべてのステークホルダーを重視する方針を表明しました。

「新型コロナウィルスが変えた」のではないかもしれませんが、投資尺度の変化を加速させるのは間違いなさそうです。

長短金利逆転とフィラデルフィア半導体株指数

週末の日本経済新聞では、米国における長短金利逆転が伝えられています。10年物国債の金利が米財務省証券(TB)3カ月物の金利を下回ったということで、2007年8月以来で11年振りの出来事なんですね。通常は期間の長い債券の方が金利は高くなるのですが、これが逆転する現象です。たしか、当ブログでも過去に一度取り上げたことがあります。

長短金利逆転 リーマンショックの記憶

長短金利が逆転すると、それから1年以内に景気後退が始まると言われていて、実際過去はそのような動きになってきました。特に11年前にこの現象が起きた際、直後にリーマンショックが起きた記憶が鮮明に残っているため、今回の逆転現象には、より注目する向きが多いというわけです。

記事によると、この現象が10日間続いた場合、平均で311日後に景気後退が始まる計算になるそうです。当然これに併せて株価も下げに転じるでしょう。先週末に米株式市場でダウが460ドル下げた原因の一つにもなっています。長短金利逆転の状況が、このあと何日続くのか、要注目ですね。

フィラデルフィア半導体株指数の上昇

一方で、フィラデルフィア半導体株指数が米国株の先行指標として有効という記事も出ていました。SOX指数とも呼ばれ、半導体の製造・流通・販売を手掛ける企業(インテル、AMD、クアルコムなど)30銘柄の株式で構成される株価指数です。

昨年3月に付けた高値が1445ポイントで、先週1441ポイントまで付けています。週末に大きく下げましたが、今後高値を抜いてきそうな勢いではあります。「世界の景気動向を映す半導体株を米国株の先行指標として注目すべきだ」と米国のある調査会社が指摘しているとのこと。kuniはこの調査会社の名前知らなかったので、有名な会社かどうか分かりませんが。

スマホから5Gへの端境期

世界景気を牽引してきたスマホが急減速。これに米中貿易戦争が止めを刺すような恰好で年末年始の株安を誘発しました。そして今現在半導体株指数の動きを見ていると、確かにスマホ時代のピークを越えようとする動きがあります。以前当ブログでも整理してみたように、5G関連の投資が盛り上がり始めています。

こうして整理してみると、スマホ→5Gへの端境期なのかもしれませんね。米国株のみならず、日本の半導体関連株、5G関連株についても注目しておく必要がありそうです。

同じタイミングで報道された、長短金利逆転という不吉な現象と半導体関連株の復活の兆しという、相反する先行指標について見てきました。さてさて、今回はどちらが正しい先行指標になるんでしょうか。

プラットフォーマーバブルとパウエルショック

プラットフォーマーたちのビジネスモデル崩壊

しかしまぁ、よく下げますね、株式市場。日経平均も2万円を割れて、19,000円まで下げる局面もありました。何で日本株がここまで、、、という気もしますが、相場ってこんなもんです。振り返ってみると、秋口には米国株を先導していたGAFAは既に終わっていたんですね。

アップル株は10月高値233ドルから足元150ドル程度まで、アマゾン株は2,000ドルから1,300ドルまでと、いずれも30%以上下落しています。この間僅か3か月です。プラットフォーマーたちのこの変調ぶりは何だったのでしょう。

一番大きな変化は多くの人たちが「購買履歴や個人の情報はお金と一緒」ということに気が付いてきたことだと思われます。プラットフォーマーたちはタダで手に入れたこうした情報を元手にビジネスを創出してきました。タダで仕入れて付加価値を付けて売るわけですから、当然儲かりますよね。

ところが、ここへきて皆が、このような情報が実はお金と同じ価値があるものなんだということに気付き始めます。すると、デジタル課税などというお話が出てきたり、個人情報の利用や持ち出しの規制といった話が出てきます。課税に限らず、新たな規制についても、プラットフォーマーにとってはすべてコストになるわけです。

タダで仕入れていたものが相応の費用を伴うようになってしまった。彼らのビジネスモデルが崩れてしまったということなんですね。これからは彼らも普通の企業になってしまう。そうなるとあのバカ高い株価は説明がつきません。

FRB パウエル議長利上げ

トランプ大統領からかなり批判されてきたFRBパウエル議長でしたが、19日に政策金利を0.25%引き上げました。「トランプ氏の圧力に対抗して利上げ」といった報道が多かったように思います。彼自身「政治的な圧力は政策金利をめぐる議論や決定に全く影響しない」とコメントしています。

しかし、なぜこのタイミングにこだわったのかなぁ。というのがkuniの正直な感想です。すでに推進力を失い、方向性をなくしてしまっていた市場には致命傷だったように見えます。パウエル議長、たしか弁護士で、金融、とりわけマーケットには縁のない人です。この場面、何より政治に対抗してFRBの独立性を誇示することが重要だったのでしょう。

トランプ大統領の言葉

利上げ直前にトランプ大統領がつぶやいた言葉がいけてます。「FRBの連中がまたしても間違いを犯す前に、今日のウォール・ストリート・ジャーナルを読んでもらいたい。それからこれ以上市場を流動化させてはいけない。無意味な数字に惑わされず、市場を感じろ。グッドラック!」。
トランプ氏の読みの方が当たりましたね。市場関係者的に言うと、また彼のファンが増えたかもしれません。

レオス・キャピタルワークス 上場延期

テノ・ホールディングス上場承認取り消し

テノ・ホールディングスの上場承認取り消しについてはこの記事で触れてみました。この時も同じようなタイミングだったと思いますが、上場承認取り消しは東証側からの一方的なモノで、その理由は「コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性に、新たに確認すべき事項が生じた」ためだとしていました。

おそらく東証への内部通報ではないかと思われますが、その後同社への聞き取り調査などを経て問題は解消したようで、再度上場申請が承認され、12月に上場を果たしました。公募価格1920円に対して、上場初値は2400円。まずまず順調なスタートを切っています。

レオス・キャピタルワークスの上場延期に関しては、主幹事証券であるみずほ証券からの申し入れによるとされています。プレスリリースによると「当社のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について、投資家保護の観点から深掘りするべき事項が発生した」ということのようです。

「関係者によると」といういつものリーク記事

「深掘りするべき事項」について、日本経済新聞は「関係者によると」と前置きしたうえで「投資家に投信を販売する際の新たに口座を開く業務フローの一部について、みずほ証券が問題視したのが原因とみられる」と書いています。

一方で、レオス・キャピタルワークスの社長は「顧客の資金や運用資産に関わる問題は一切なく、みずほ証券の要請は納得できない」と言ってるようです。けど、最終的にはこの要請を飲んでるんですけどね。また、「弁護士にも確認の上、法令違反などはなく『白』と認識しているが、それを証明することを求められた」とも語っています。

技術的な分析(妄想だと思ってください)

「新規口座開設時の業務フローの一部」から考えられることは、「本人確認手続き」とか、「反社会的勢力のチェック」、「マネロン関係チェック」といったところでしょうか。最近では北朝鮮やイランの関係者との取引なんかがよく話題になります。あとPEPs(外国要人)とかも、一般の投信運用会社にチェックできるんだろうかと思いますね。

「弁護士にも確認の上、法令違反などはなく『白』と認識」については、あまり意味がないのでは。そんなレベルの黒でしたら、ここまでたどり着いてないでしょう。2009年に上場し、翌年粉飾決算で上場廃止になったエフオーアイという会社。その主幹事証券がみずほ証券です。上場時に粉飾を見抜けなかったという苦い経験を持つ同社ですから、グレーでもそう簡単には許さないでしょうね。

マーケットが暴落中というのも・・・。主幹事証券も上場する会社も相場巧者。上場タイミングを調整するための芝居なんかじゃないですよね。ここもちょっと気になるところではあります。