高松コンストラクショングループ 青木あすなろ建設で従業員の不正行為

高松コンストラクショングループは12/2、グループの青木あすなろ建設において、社員による協力会社との不正な取引が行われていたと公表しました。既にここまで調査を進めてきており、調査の結果や社内処分、再発防止策までセットで公表という形です。

高松コンストラクショングループ

高松コンストラクショングループは1917年創業の高松建設を中心に、多くの上場企業を傘下に収めてきた持ち株会社で、高松建設と青木あすなろ建設が中核子会社になります。今回公表された従業員の不正行為は青木あすなろ建設で起きたもの。

青木あすなろ建設

同社も高松コンストラクショングループも、今回の件を「従業員の不正行為」と言い切ってしまっているんですが、そうなのかなぁという感じもします。詳細が説明されていないためというのもあるんですが、、、。不正行為の概要を以下に引用します。

「工事着工間もない段階で協力会社に対して法令違反に該当しない社内規程を逸脱した発注により、出来高を水増しすることで工事原価の計上時期と支払時期の前倒しが行われたものでありました」 と、これだけ。

で、不正行為による支出の総額は約274百万円だとしているんですが、これに関与した従業員個人の利得はなかったということです。「出来高」というのがよく分かりませんが、法令違反がなく社内規程を逸脱した発注、、、協力会社の期末売上に協力したということですかね?

弊社従業員の逮捕について

せっかく開示するんだったらもう少し分かりやすく書いてほしいものです。てなことで少し調べていたら、2017年9月に青木あすなろ建設の従業員が逮捕されていました。この時の開示もあっさりしてます。

神奈川県の砕石採掘跡地で同社が受託している建設発生残土埋立事業用地内へ、産業廃棄物が不法投棄された事件に関与していたとして逮捕だそうです。で、その後この社員と同社が検察庁より起訴されてます。この件もあって今回は厳しく対応した?

サンテック 従業員の業務上横領 社内調査結果公表

完全に見落としていました。11/26、サンテックが社内調査結果と再発防止策を公表していました。今年7/30に同社が公表した、従業員が1億3400万円を横領し、事業所への出社を指示されるとそのまま連絡が途絶えてしまったという事件でした。

新たに分かったこと

工事現場は広島地区の電線張替工事とされています。サンテック以外の会社も1社参加するJVなんですね。犯人はこのJV現場所長という立場の人。JV構成員に対し、当該工事では実際には必要のない出資金の資金請求をし、その出資金を預けている預金通帳のコピーを偽造し、残高を偽りながら134,090,787円を私的に流用したということです。

不正に引き出した資金は本人名義の個人銀行口座に入金し、その口座を利用してギャンブルに費消したことが確認されています。不当に引き出した資金のほとんどが損失となり、最終の個人口座残高は7,966円だったそうです。

犯人が現場の代表を務めていた他のケースをはじめ、類似した現場に対する調査も行われていますが、いずれも問題はなかったとのこと。

この事件でも、「犯人は一人で現場預金通帳及び印鑑を保有し、出納・帳簿作成・会計報告まで実質的に一人で行っており、帳簿の改ざん及び通帳コピーの偽造により、同社の監視が及ばないところで不正が可能な環境にあった」という「機会」に関する指摘がされてます。

自殺?

報告書で一番インパクトがあったのは、やはり犯人が死亡していたこと。「山口県警からの連絡で車中での死亡が確認された」と説明されていて、相続人は相続放棄手続き中。相続人からの債権回収は困難で、身元保証人(実母・友人)に対して保証債務履行を交渉中だそうです。

サンテック 従業員の不正行為 1億3400万円

株式会社サンテックは7/30、「当社従業員による業務上横領の疑いについて」という開示を行いました。同社は東証2部上場の「総合設備工事のリーディングカンパニー」(同社ホームページ)だそうです。1948年創立という歴史のある企業です。

山陽電気工事株式会社

最近のカタカナ企業や英語表記企業ってほとんど知らない企業なんですが、社名を改める前の企業名でやっと思い出せたりします。サンテックもピンときませんでしたが、1992年に現社名になる前は「山陽電気工事」なんですね。この社名なら分かります。元は広島の会社です。

業務上横領の疑い

開示情報によると、事件が起きたのは、竣工引き渡し済みの電気工事現場。「当該現場の最終清算が遅延していることから当該従業員に連絡し、事業所に出社するよう指示しましたが、当該従業員は出社することなく連絡が途絶えました。」、、、いやぁ~な展開ですね。

同社は直ちに当該現場の調査を実施し、書類の改ざんによる横領の疑いが発覚したとのこと。引き渡し済みの工事現場で書類の改ざんが行われて横領が発覚、、、という流れがいまいち理解できません。すみません、業界に土地勘がないもので。

現場に残されていた書類等から、これまでの顧客との取引内容が虚偽であることが分かった、、、みたいな感じでしょうかね。現時点で判明している損害額は1億3400万円で、全額回収は厳しいとのこと。

総合設備工事の業界

当ブログでも取り上げましたが、今年5月には、日比谷総合設備で従業員の不正が発覚しています。こちらは取引先従業員と共謀した架空発注によるものでした。5億8000万円の不正でしたね。この事件との関係はあるんでしょうか。

こうした事件が起きた際、ほとんどの企業が「当社元従業員の・・・」と、表現するんですが、サンテックは「当社従業員の・・・」としています。潔いですね。当該従業員が行方不明になっているため解雇できず、、、そのため現在も社員なので、元従業員と記すことができなかったっていうことでしょうか。

日比谷総合設備(1982) 従業員の不正行為 5億8千万円

今年1月、東京国税局から一部の取引に関する照会があり、これを受けて社内調査を行った結果、従業員による不正行為が発覚したとのこと。2月中旬には外部の専門家を含めた社内調査委員会を設置し、調査を開始しており、今回の公表はすべて完了後になります。

元従業員の不正行為

不正の内容は、2012年から2019年にかけて、取引先従業員と共謀し、架空発注により同社の資金を取引先に支払ってきたというもの。総額5.8億円だそうです。この従業員は5月12日付で懲戒解雇しており、22日の公表時は元従業員になっています。

よくあるやつですね。元従業員と呼ぶ会社の手口。今現在従業員でないからってのを強調したいんでしょうね。けど、あきらかに行為時は従業員なわけで、、、日本企業のおかしな習慣です。

もう一つの妙な習慣が、「不正行為」です。会社の行為は多くの場合「不適切」というソフトとな言葉でごまかすんですが、元従業員(と切り捨ててしまったあと)にはほぼ間違いなく「不正」という言葉が使われます。会社行為は不適切、個人行為は不正。定番になってきてますね。

共謀した相手は

取引先従業員と共謀して、、、ということですが、この取引先とはどこで、その従業員とはどんなふうにお金を分けたんでしょう。日比谷総合設備が法的措置に出れば、上場企業等であれば開示しますかね。しないかな。その企業は損害受けてませんからね、当該従業員を切り捨ててお終いでしょう。

日経会社情報で見ると、同社の主な取引先として、販売先はNTTグループ。仕入先としてはダイキン、アズビル、三洋電機あたりが書かれてます。アズビルって、昔の山武ハネウェルですかぁ。年初に国税が、、、とか、行為期間も、、、この事件ネットワンの事件とは関係ないよね。