株式会社カンセキ 役員の不正行為 第三者委員会を設置

株式会社カンセキは10/8、「当社役員による資産の流用発覚に伴う2022年2月期第2四半期決算発表の延期および第三者委員会設置に関するお知らせ」を公表しました。役職員の不正行為で決算発表の延期。このところまた増えてきましたね。

カンセキ

カンセキは栃木県およびその隣接地域を主たる商圏として、ホームセンター「カンセキ」を中核にアウトドアライフ専門店「WILD-1」などを展開する小売チェーン。業務用食品などを販売する「業務スーパー」も運営しているようです。

主力事業がホームセンターやアウトドアライフ専門店ですから、新型コロナの感染拡大でむしろ業績を伸ばしており、直近期では過去最高益を記録しています。

不正の概要

同社の連結子会社である株式会社バーンへの内部監査において、帳簿上の残高と実際の残高に現金720万円の不一致があることを認識したことから、同社および株式会社バーンにおいて調査を進めたところ、当社役員が資産の流用を行っていた事実が確認されたとのこと。

「不足しておりました現金720万円につきましては既に弁済されております。」とありますので、一応この件については一件落着の様子。親会社による子会社監査で見付かってしまうような事件ですので、この件以外に大きく拡大していきそうな気配ではなさそうですね。

とはいえ、役員(開示文では取締役かどうかは不明)の不正行為。第三者委員会を設置して、類似事案の有無等について調査を行うとしています。この開示の翌営業日には第三者委員会の委員の選任結果についても開示しています。

役員の不正行為ということで、同社の役員一覧を探したんですが、同社ホームページには掲載されていませんでした。ホームページ上では不正を働いた役員を消してみたり、表示を最下位に移動させたりとかで、この人かぁ、って分かったりするんですけどね。

第一カッター興業 連結子会社で役職員の不正行為

第一カッター興業は8/5、「当社連結子会社における不正資金流用疑惑につきまして」を公表しました。さらに翌日には「第三者委員会設置に関するお知らせ」を公表。この事案を受けて、2021年6月期の決算発表を延期することも決めています。

第一カッター興業

第一カッター興業は、舗装道路やコンクリート構造物の解体、撤去に必要な切断工事、穿孔(せんこう)工事などを行う。「切る」「はつる」「洗う」「剥がす」「削る」に、特化した技術を様々な現場に提供する、東証1部上場企業です。

「はつる」って一般の人には分からないですよね。アスファルトやコンクリート部分を、削ったり、切ったり、穴をあけたりする作業のことです。工事現場ではよく聞く用語です。

不正資金流用疑惑

同社連結子会社の従業員からの内部通報により、一部の役職員等が本来の使途とは異なる経費精算等を行い、不正に資金を流用していたと疑われる事象が発覚したといいます。内部通報により発見できたというのは評価できますね。

同社から開示されている情報はここまで。「従業員が」ではなく、「役職員等が」としているところが気になりますね。多くの場合、役職員とは「役員及び従業員」という意味で使われます。最近増加している役員の不正行為が含まれていそうです。

一連の開示から見て取れること。一つには内部通報が機能していたことですね。そしてもう一つは社外監査役が機能したことでしょうか。後者について開示では、「同社外監査役は、本件を認識した後、最初に、独自の調査を行い、公正な調査を求めてきた者である」としています。

監査役が一言、経営に対して「本当にそれでいいのか」と、釘を刺せるかどうか。これってめちゃくちゃ重要なんです。

株式会社 アイ・テック(9964) 第三者調査委員会を設置 役員の不正行為

アイテックは7/26、「第三者調査委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。同社役員と従業員が取引先に対して外注費を過剰に支払わせ、当該取引先からキックバックを受けていた可能性があることが判明したとのこと。

株式会社 アイ・テック

アイ・テックは鋼材の販売・加工および鉄骨工事請負を主体とする鉄鋼専門商社です。メーカー機能を持つ商社として、国内各工場で製品の製造や各種加工なども行っています。このほか、運送業、倉庫業を手掛けています。

静岡県静岡市に本社を置く、従業員数509名のJASDAQ上場会社。会長と社長の姓が一緒なので、いわゆる同族企業ですかね。

役員の不正行為

またまた役員の不正行為です。「当社役員及び従業員が」とされていますので、従業員も巻き込んで、ということのようです。同日開催の取締役会で第三者調査委員会の設置を決議し、調査を進めていきます。

発覚の端緒は、同社取引先における法人税法違反の捜査だということで、捜査当局による調査にも全面的に協力していくとしています。

取引先にはJFEスチールとか、トピー工業とかあるみたいですね。こんなデカい企業相手のキックバックとかはないだろうけど。

この記事を書いている時点で同社の株価は非表示。ストップ安売り気配かと思いきや、ただ単に売り買い食い合わないだけのようでした。税務当局の捜査が発端ということで、それなりに大きな事件になるかもしれません。

アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その4)

アジャイルメディア・ネットワークは6/17、「取締役の辞任に関するお知らせ」を公表しました。役員の不正行為に関する第三者委員会による最終報告に関するお知らせ」を公表したあのアジャイルです。

公表の内容

6/17をもって、当社取締役が辞任することとなりましたので、お知らせいたします。辞任の理由は、「第三者委員会による最終報告を受け、本人の申し出によるものであります。」とだけ説明されてますね。

不正を働いた役員、身を隠したわけではないようです。現在も連絡が取れる状況のようですね。「石をも動かす力」というお名前の前取締役CFO。実際にはその地位及び権限を悪用して従業員を動かし、会社のお金を詐取してきました。まったく残念な話です。

こういう事件は、ギャンブルか異性に対する事情というのが定番ですが、その真相はどうだったんでしょうか。

役員の所有株式数の異動

この辞任に関するお知らせの翌日、同社は「役員の所有株式数の異動に関するお知らせ」を公表しています。同社代表取締役社長から大量保有報告書(変更報告書)が提出されたことを受けての開示ということです。

元役員による資金流用の疑義及び、それに伴う2021年12月期第1四半期決算発表の延期を受け、金融機関の「債権保全を必要とする相当の事由が生じた」との判断により担保処分が実行されたとのこと。

代表取締役社長が同社株式を取得するため、金融機関に借入金の担保として同社株式を差し入れていたものの、銀行が同社の不祥事と決算発表の延期を受けて担保株式の強制売却を行ったということですね。

まさに、「雨が降り出したので貸していた傘を取り上げる」という構図。これが銀行です。

アジャイルメディア・ネットワーク 役員の不正行為(その2)

アジャイルメディア・ネットワークは5/17、「2021年12月期第1四半期報告書の提出期限の延長に係る承認申請書提出および第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表しました。先日、当ブログで取り上げた役員の不正行為に関する第2報になります。

不正行為の概要

まずは第1報で公表された内容をもう一度。

「当社は、監査法人による2021年12月期第1四半期レビュー手続の中で、不適切な会計処理があることを指摘され、その中に不適切な支出が含まれていることを認識しました。この不適切な支出について、当社役員による資金流用の疑義が生じています。」

そして今回新たに説明されているのがこちら。

「2019年12月期第4四半期から2021年12月期第1四半期に至るまでの期間において、ソフトウェア仮勘定を利用して現金で支払った金額の中に、資金流用の疑義が生じているものがあります。現時点で、当社の該当期間における各期の総勘定元帳から算出した、ソフトウェア仮勘定を利用して現金で支払った金額の合計額は、約1.2億円程度となります。」

制作途中のソフトウェアに関しては、その制作に要した費用をいったん「ソフトウェア仮勘定」等の仮勘定に集計しておき、完成して使用し始める時に「ソフトウェア仮勘定」から「ソフトウェア」勘定への振替を行います。

つまりソフトウェア制作に要した費用の合計が約1.2億円程度ということで、この中からどれだけ私的流用が行われたのか、ということですね。こういうケースではソフトウェア制作会社も巻き込んで、会社に多めに支払わせて、制作会社からキックバックしてもらう手口が多いです。ただ、同社のケースは「役員が」、ということですので、ある意味何でもできちゃいそうですが。

今日、同社のホームページを再びチェックしたところ、CFOの取締役が消えてました。あらら。