昨日、公取委を取り上げましたので、本日は金融庁を。老後2000万円問題、国会で散々もめた末に、参院選の争点になってしまいました。何ともくだらないことを、、、と思いながら見ていた人は少なくないと思います。こんなことしか争点にできない野党って、残念でしょうがないです、ホント。
金融庁にとっては自身でも想定外の効果
ここで少し整理しておきます。問題となったのは6/3に公表された、金融審議会 市場ワーキング・グループがまとめた「高齢社会における資産形成・管理」という報告書です。皆さんも時間があったらご覧になってください。kuniは読んで何の違和感もありませんでした。
思いもよらない大炎上になってしまい、とうとう金融庁企画市場局長が謝罪するという結果になってしまいました。役所の機能からすれば、与党を窮地に追い込み、確かに残念なことになってしまったわけですが、彼らの目的とするところについては、想定以上の効果が得られたのではないかと思います。
金融庁は個人に対して、資産形成に対する意識を高めるべく、様々なことに取り組んできましたが、その効果はそれほど感じられませんでした。今回の大炎上は違ったようで、このことで明らかに多くの国民が、自分の老後に備えた資産形成のことを考え始めているようです。
6月に入って、金融機関等が主催する資産形成セミナーは応募が殺到しているそうですし、大手のネット証券ではIDECOの申し込み件数が報告書発表前の2倍近くに急増したとか。まぁ、言ってみれば副作用で野党を勢い付かせてしまいましたが、金融庁が企図した長期資産形成の勧めに関しては、期待した以上の反響があったわけです。
まとめ
老後2000万円事件をきっかけに、日本ではなかなか根付かなかった、投資や運用に関するリテラシーが大きく向上してくれるのではないか。正直なところkuniも期待しているところです。金融庁はこれまで、個人の資産形成を阻害してきた金融機関の営業姿勢を是正させるべく、フィデューシャリー・デューティーや顧客本位の業務運営を浸透させてきました。
顧客の資産形成に向けた主体的な行動を補う仕組みとして、「第三者による金融機関の業務運営の評価(例えばR&IによるFD格付など)」や「顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化(IFA)」なども支援してきました。
そして今回の老後2000万円問題が、とうとう「顧客の主体的な行動」を誘発することとなったわけです。『「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた取組み』で示した工程表通り、、、結果的に勝者は金融庁かもしれませんね。