給料を事実上の担保として資金を提供し、法外な手数料を要求する「給料ファクタリング」の被害が広がってきているようです。SNSを通じた融資の投稿に、前借りする感覚で利用するケースが目立つと言います。金利ではなく手数料を取るサービスですので、利息制限法の規制を受けません。
総量規制 → 銀行個人向けカードローン → 給料ファクタリング
消費者金融に手を出し、多重債務の罠にはまる。借金を借金で返す悪循環を繰り返し、挙句の果てに自己破産や自殺といった社会現象が問題になりました。多重債務者をなくそうと導入されたのが総量規制です。年収の3分の1までしか借り入れができないというヤツですね。
すると今度は、低金利で収益の上がらなくなった銀行が、総量規制の制約を受けないことを良いことに、個人向けカードローンを積極的に取り上げます。数年間でカードローン残高は倍増し、6兆円まで積み上がります。
銀行が収益のためになりふり構わず拡大させた個人向けカードローンでしたが、やはりその倫理観が社会的に問題視されるようになり、金融庁が止めを刺す格好でピークアウトします。これで銀行は飯の種を一つなくしてしまいました。
銀行がカードローンで貸さなくなっても、借りたい人が居なくなるわけではありません。需要がある限り、それにこたえようとする(付け込もうとする)輩が出てくるんですね。次の役者がファクタリング業者というわけです。
SNSは少額債権の宝庫
ファクタリング業者は、もともと中小企業が持つ取引先への売掛債権をターゲットにしてきたわけですが、少額でより債権回収が容易な個人の給料に目を付けたわけです。比較的若い人が大勢閲覧し、知らない相手とのコミュニケーションも障害になりにくいSNSは、彼らにとって最高のツールになっているようです。
業者に住所と会社名、月給、支給日などを送ると、その日に10万円振り込まれてくる。融資条件は1カ月後に手数料を含む15万円の返済という具合です。年率600%の計算になります。それでも、金利と違って手数料は法律で規制されていません。今のところ法に抵触する行為ではありませんが、かなり悪質な行為です。皆さん気を付けましょうね。