株式会社レッグス 執行役員の不正行為(その2)

執行役員による不正行為があり、当該執行役員を6月に解任していたレッグス。特別調査委員会の調査結果を踏まえて、不正の概要、取締役の処分、今後の対応についてなどを公表しています。昨日に続き本日は第2弾ということで。

増加傾向にある転職時の情報持ち出し

最近増えてきましたね、従業員による転職時の情報持ち出し。最近だとソフトバンクを退職して楽天モバイルへ転職し、5Gに関する技術情報を不正に持ち出したってのがありました。当該従業員は不正競争防止法違反の容疑で逮捕されています。

最近増えてきたと書きましたが、正確には表面化する事例が増加してきた。でしょうね。従来はほとんど持ち出された企業側が泣き寝入りだったと思われます。上記ソフトバンクの事例などが先例となり、しっかり責任を追及していく。このレッグスの件についても似たような展開になりそうです。

従業員等が退職に際して顧客情報や技術情報を持ち出し、転職先に持ち込むパターン。特にこのケースでは執行役員(取締役ではない)も絡んでいる(というか主導している)ため、今後の展開は非常に気になるところです。この事件の結末は要注目ですね。

関係者の処分と再発防止策

今回の開示で、「代表取締役社長 月額役員報酬の30%を減額」、「専務取締役 同20%減額」、「取締役 同10%減額」(3名とも10月から3ヶ月)という処分が公表されています。

取締役の管理監督責任を問うているわけですが、しかし、再発防止策の方には、取締役や取締役会の業務遂行能力向上策みたいなのが見られません。そもそも執行役員を監視し、適正な業務執行を行わせていくのは取締役の重要な役割ですよね。

株式会社レッグス 執行役員の不正行為

レッグスは9/29、「当社元執行役員による不正行為および関係役員の報酬減額についてのお知らせ」を公表しました。このての話題はチェックしてきたつもりでしたが、見事に見逃していたようです。特別調査委員会の調査結果に基づく開示です。

レッグス(4286)

レッグスは顧客企業が消費者を獲得、維持するためのマーケティング活動を支援。様々な切り口で、企業にとって最適なソリューションを提案する。創業から店頭ツールやプロモーション等で実績を積んできた東証1部上場企業です。アニメキャラクターとのコラボレーションによるプロモーションなんかも強みのようです。

第1報 執行役員解任

この不正行為に関する第1報は今年6/29。適時開示のタイトルは「執行役員人事に関するお知らせ」でした。同社のコンプライアンス方針、行動基準に反する行為が見られ、執行役員として不適格であると判断したため、当該執行役員を解任するという内容です。いやぁ、このタイトルでは見逃すわ。

不正の概要

執行役員とその指揮命令下にある従業員等より、2021年6月30日をもって当社を退職する旨の退職届が提出されたことに伴い、現況確認を行ったところ、元執行役員の背任行為の可能性、およびその背任行為への加担が疑われる従業員の法令コンプライアンス違反の可能性が発覚したとのこと。

特別調査委員会による調査の結果、同社で勤務中に取得した、主要顧客に関する営業秘密やノウハウを利用しつつ、主要顧客に働きかける等して、同社において実施していた業務を退職後の就職先である競合法人において実施ないし移転させようとしていた疑いが濃厚になったと。

元執行役員を債務者(相手方)として東京地方裁判所に競業行為の禁止を求めて仮処分命令の申し立てを実施。同社の主張を全面的に認める内容の決定が、東京地方裁判所からなされているそうです。(長くなってきたので続きは明日)