変わり始めた銀行 北國銀行

金融財政事情に「変わり始めた銀行経営」という特集が組まれており、北國銀行の成功モデルが紹介されていました。これこそ攻めのガバナンスでしょう。

北國銀行のここまでの取り組み

様々な業種の企業が北國銀行のビジネスモデル変革を学ぶために、視察に訪れているそうです。記事で紹介されている同行がここまで打ってきた各種施策は以下のようなもの。

  1. 自前主義にこだわり自社でシステム開発
  2. 清掃は外部委託せず、支店も本部も行員が行う
  3. キャッシュレス化の推進により全店の金庫廃止
  4. ペーパーレス化によりシュレッダーも基本廃止
  5. 支店長室の撤廃と支店長車の廃止、役員車も削減
  6. アクワイアリング事業への本体参入
  7. 本体でのリース事業強化
  8. コンサルティングサービスの有料化

などが紹介されています。特殊な施策というのは決して多くはありませんが、出来そうで、実はなかなか実現できないことを断行してきています。

注目すべきはその発想

1.のシステムについては、金融機関の本質がシステムであることを認識した上での決断であり、「システムのアウトソースは自分で考えることを放棄すること」と言ってます。kuniもその通りだと思います。

2.の支店や社内の清掃を行員にやらせるというのは凄い。これは経営や支店長の特権も一緒に廃止するといった、経営自身が身を切ることなしに実現しない施策です。組合納得させるのにどんな苦労があったんでしょうね。

このような施策の背景にある彼らの発想として、以下のようなことも紹介されてました。

  • 物件費のコスト削減は徹底するが、行員のモチベーションを維持するため、人件費には手を付けない
  • 社内で新しい事業を検討するとき、他行がやっているか否かは議論しない
  • コンサルティング業務を進める上で、役員が最高のコンサルタントでなければならない
  • フラットな組織作りのためには、支店長室はコミュニケーションの壁でしかない

行員の人件費には手を付けないってのがしびれますね。普通はここから手を付けて、最も大事な人という資源を失っていくんですが、地銀の中にもこういう銀行が出てきてるんですね。

経営層自ら特権を返上し、本気で取り組む姿勢を見せなければ、こういう改革は進みません。経営層が既得権の上でふんぞり返ったまま、コンサルティング会社が考えたような格好良いフレーズだけで社員は動かないということです。