株式会社ニップン サイバー攻撃で第2四半期報告書の提出期限延長

ニップンは11/12、「2022 年 3 月期第 2 四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」を公表しました。当ブログでも取り上げたサイバー攻撃によるサーバー等のデータ暗号化。同社システムは壊滅的な状況のようです。

被害の状況

サイバー攻撃を受け、システムは暗号化により起動そのものができず、復旧に向けた技術的手段もない状態だったとあらためて説明されています。オンラインでバックアップを行っていたサーバも同様だとしています。

しかしながら、調査を通じてランサムウェアやマルウェアは見つかっていないということで、攻撃者がシステムに対して直接不正な操作を行った可能性があるとしています。このパターンは珍しいですね。外部よりアクセスされた痕跡はあり、情報が流出した可能性も払拭できていないようです。

第2四半期

今回延長を申請した第2四半期決算にあたっては、従来自動的に処理されていた帳票の作成などを、人手で処理しなければならず、より多くの業務負荷が生じているようです。作業を終えるのは同社において12月中旬、グループでは11月下旬を見込んでおり、監査人によるレビューも通常より時間を要する。というのが延長申請の理由です。

最近では鉄建建設以来の大きなダメージでしょうかね。ニップンではパソコンやサーバを最新の状態に保ち、不正侵入検知システムやマルウェア対策ソフトを導入していたなど、セキュリティ対策を講じていたとしています。

一般的なサイバー対策を取っていたからといっても、攻撃からすべてを護れるものではありません。これ、マジで他人事じゃないです。

北弘電社は監理銘柄(確認中)へ  EduLab、アクアライン、カンセキは

OKKは最終期限に間に合い、監理銘柄(確認中)が指定解除されました。そして先週も、四半期報告書の提出期限に関する話題が多かったですね。EduLabも期限ギリギリで提出。北弘電社は監理銘柄(確認中)へ、アクアライン、カンセキは提出期限の延長申請へ。

OKK

OKKは取引所が指定する最終期限の10/12に四半期報告書を提出。なんとか上場廃止の危機から脱出しました。翌日、監理銘柄(確認中)が指定解除されています。

EduLab

EduLabは再延長後の提出期限の10/15、四半期報告書を提出したようです。しかしながら一昨日書いたように、かなり暫定的な報告書で、監査人のあずさ監査法人からは「意見不表明」、「結論不表明」といったケチがつけられています。

北弘電社

北弘電社は10/14、「令和4年3月期第1四半期報告書の提出遅延ならびに当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」を公表。取引所が指定する最終期限である10/27までに提出できなければ上場廃止となります。10/15には特別調査委員会から調査報告書を受領し、10/27の提出にめどは付けたようですが。

アクアライン

あくどい商売で消費者庁から行政処分を受けたアクアラインも10/14、「2022年2月期第2四半期決算発表の延期及び第三者委員会の設置に関するお知らせ」を公表。この日予定していた第2四半期の決算発表を延期しました。翌日には提出期限の延長を申請、延長後の提出期限は12/15となりました。

カンセキ

役員による資産の流用が発覚したカンセキは10/14、「2022年2月期第2四半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」を公表。延長後の提出期限は11/15となっています。

株式会社EduLab 四半期報告書を提出 しかしまだ、追加調査?

EduLabは再延長後の提出期限である10/15、「特別調査委員会の(中間)報告書受領及び追加調査継続に関するお知らせ」などを公表しました。同日、第3四半期報告書の提出も完了させたようです。かなり、暫定的な四半期報告書ですね。

中間報告の概要

そもそもの調査対象だった連結子会社と取引先における取引の経済合理性については、取引対象の実在性自体には疑義は生じておらず、大事には至りませんでした。

一方で、上記調査の過程で発覚した、子会社間の別件取引。これが対価に見合う役務提供があったとは認められないと。報告書ではそういう用語は使われていませんが、まぁ、架空取引の類ですね。さらに、類似の疑義のある取引も複数検出されているようです。

これらに関する調査を「追加調査」と呼んでいて、そもそもの調査対象に関する調査は完了したので、調査報告書に基づき四半期報告書を完成、提出しました。。。という少々強引な整理になっているようです。

そして、さらに、同社の連結範囲の決定に際して、連結財務諸表に表示される連結業績を意識した、意図的な調整が行われていたとの指摘も受けているとのこと。で、同社としては連結範囲を見直すことで監査法人を説得したんでしょうか。

投資家目線で

同社の監査人である「あずさ監査法人」は、過年度分も含めて「結論を表明する根拠となる十分かつ適切な証拠を入手できていない」としており、意見不表明のついた監査報告書と各四半期報告書について結論不表明のレビュー報告書を出しています。

近々見直しが入ることがほぼ間違いない四半期報告書。提出期限に間に合い、上場廃止の危機も解消。四半期報告書の内容を見てもそれほど大きな影響はなかったし、ここらで買ってみようか、、、なんて投資家がいるかもしれません。こういうやり方ってどうなんですかね。

株式会社EduLab 四半期報告書提出期限10/15

過去の取引における経済合理性及び連結子会社と同社関連会社との間の一部取引の実在性等を調査していたEduLab。10/8、「『令和4年度全国学力・学習状況調査』に関する委託事業(小学校事業)落札のお知らせ」を公表しました。

最悪の場合上場廃止

第3四半期報告書の提出期限(再延長済み)が10/15に迫るEduLabですが、そんな場面で上記の委託事業を落札。同事業を16億円強で受託したといいます。この開示を受けて株価は急反発。前日比339円高の2,697円まで買われました。

下手すると上場廃止の危機さえありうる企業の株がこれだけ買われるとは。。。こういう開示をして、多くの新しい株主を作っておいて、上場廃止します、、、はマズいですね。なんとしてでも四半期報告書、週末10/15までに間に合わせないと。

気になるもう一つ 文部科学省

全国学力・学習状況調査に関する委託事業というのは、文部科学省が実施する委託事業のようです。受託するのは株式会社教育測定研究所(EduLabの連結子会社)です。現時点で少なくとも経済合理性が疑われる取引について調査対象となっている企業。

そして場合によっては大きな信用を失ってしまう可能性のある企業に、文部科学省はいとも簡単に事業を委託してしまいました。この辺りの感覚ってどうなんでしょうね。架空循環取引なんかが出てくる可能性もあります。普通は応札企業から除外するんじゃないかと。

まぁ、調査結果が出てきて、ヤバいと思ったら委託の取消し。ってのもありかもしれないけど。だったら10/15まで待って判断もできたでしょうに。そしてさらに、今回不祥事で業績を悪化させるEduLabを儲けさせるための事業委託か?、なんて見え方になってしまうかもです。ん~、なんともスッキリしない事件?です。

京三製作所 大豊建設 朝日ラバー 決算発表延期

2021年3月期第3四半期決算発表が迫る2/10、上場5社が決算発表の延期を公表しました。うち2社は新型コロナの影響での延期。タイトルにある3社は訳ありの延期ですね。当ブログで取り上げてきた3社ですので、ここらでアップデートを。

京三製作所

同社に関しては非常に気の毒で、、、。本社工場における火災が原因です。開示された情報、第4報では次のような記述が。「警察・消防による現場検証が行われましたが、当社設備に起因する出火ではありませんでした。引き続き関係当局の調査に全面的に協力しております。」  もう残るのは放火ぐらい。マジで気の毒です。

大豊建設

契約金額を水増しした発注を行い、水増し分を同業者にてプールしてもらったうえで、同社が発注する別工事の工事代金に充てるといった不正が発覚した同社。調査の過程で原価の付け替えやプールさせた金の流用などが出てきているようです。

プロジェクトが儲かっているように装う原価の付け替えや、資金の横領、これくらいのことが出て来るのはまぁ当然ですよね。以前書いたように、2月初旬までと見込んだ、実質3週間弱という調査期間の想定は、やはり甘過ぎました。決算発表を延期して徹底した調査を実施。それでいいと思います。ちなみに今回の開示は「延期の可能性」としています。

朝日ラバー

同社連結子会社における棚卸資産の過大計上の発覚について、調査委員会の設置を公表していた朝日ラバー。同社も延期を公表しました。当該連結子会社が中国の子会社ですからね。

調査委員会の設置から既に1か月半近く経過しましたが、今回の開示には新たな情報が一切含まれていませんでした。理研ビタミンなんかもそうでしたが、調査自体が難航しているものと思われます。