東京海上ホールディングス 出向先の三菱UFJ銀行から顧客情報3.7万人分不正取得

東京海上日動火災保険と東京海上日動あんしん生命保険は2/21、三菱UFJ銀行に出向していた複数の社員が2020年から24年にかけて同行の顧客情報を出向元に漏洩していたと発表しました。

東京海上ホールディングス

東証プライム上場企業は東京海上ホールディングス。その子会社で国内損害保険事業の中核を担うのが東京海上日動火災保険。国内生命保険事業を担当するのが東京海上日動あんしん生命保険という組織の体制です。この両社から三菱UFJ銀行に出向していた社員達が、三菱UFJの顧客情報等を持ち出していたという事案です。

事案の概要

東京海上日動火災保険からの出向者が、法人顧客28社分の情報を、東京海上日動あんしん生命保険からの出向者が、個人顧客 37,843名分、法人顧客8社分の顧客情報等を出向元へ漏えいしていたということです。メガバンクで損害保険大手の出向社員による情報漏洩が確認されたのは初めてだそう。

顧客情報以外にも、銀行におけるデジタルトランスフォーメーション施策に関する業務資料や、行員向け研修資料なども持ち出されていたということです。これらが営業秘密に該当するとなれば、不正競争防止法などに触れる可能性もあります。この事案、出向社員の過失だけでは済まされそうにないですね。

公安調査庁 技術情報の流出対策を強化

4/15付け日本経済新聞で、「技術情報 海外流出防げ 公安調査庁、組織を拡充」という記事がありました。当ブログでも取り上げたことのある、営業情報を不正に取得して持ち出すケースですね。ソフトバンクや積水化学でこうした事件が起きています。

公安調査庁

あまり聞きなれない機関ですが、公安調査庁は日本の行政機関の一つです。破壊活動防止法や無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)に基づき、公共の安全を確保することを目的として設置された法務省の外局だそうです。

同庁のホームページを開くと、「すべては国民の安全のために」、「『情報の力で国民を守る』それが公安調査庁です。」というタイトルが目に飛び込んできます。すぐそばには「オウム真理教関連情報」やら「世界のテロ等発生状況」といったリンクも。

そして最も大きなリンクが「あなたの持っている技術やデータが狙われています」というやつ。これをクリックすると経済安全保障特集ページに。

技術情報の流出対策

先ほどの説明では団体規制が業務の中心のように見えますが、ここへ経済安全保障に関わる企業や研究機関の技術情報の流出対策を強化するために組織を拡充するというお話。

21年度から情報管理の専門知識をもった職員を募集し、情報収集や分析にあたる職員を70人超増員するそうです。企業などからの相談を受け付ける窓口も設置したとのこと。たしかにありました。「経済安全保障に関する情報提供窓口」というタイトルです。

やっとそういう情報機関ができるのか、ってのが正直なところではありますが、間違いなく必要な機能ですよね。米国にはお手本となる機関がたくさんありそうですし、彼らをお手本に、しっかりキャッチアップしてほしいものです。