東京精密(7729) 東精エンジニアリングの不祥事 調査報告書を公表

東京精密は3/15、2/8に設置した特別調査委員会から調査報告書を受領し、公表しました。同社の連結子会社である東精エンジニアリングにおける前社長のキックバックによる着服行為等に関する調査結果ですね。

不正の概要

① 前社長の架空発注によるキックバックという着服行為
② 長期滞留売掛金の回収に係る偽装取引
③ 外注先への業務委託経費の原価付替え行為

結論から言うと、上記3つの不正と金額については、これまでに判明していたことを追認した程度ですね。これら案件以外のいわゆる類似案件については発見されなかったようです。

キックバック

ある事業部門長であった2010年9月から、社長就任直後の2017年末までの間、キックバックによる着服行為が行われていました。この不正行為が止まったのは、監査役監査での気付きにより、不可解な取引を代表取締役会長にエスカレーション。会長が問いただす形で調査が行われます。

この時、社長とその配下により証拠書類等の偽装が行われたため、不正の事実が発覚するには至りませんでした。が、しかし、この時期を最後にキックバックは行われなくなっており、他の取締役等による牽制は一定の効果があったといえそうです。

売掛金回収偽装取引

ただし、もう一方の売掛金回収偽装については、2018年10月の売掛金残高を最終的に中国子会社に買い取らせて回収したのが2019年9月です。こちらの不正はキックバックが終わってから本格的に始まったという時間関係ですね。

東精エンジニアリング→台湾子会社→C社→D社→中国子会社という商流で、売掛金は最終的に、同社の中国子会社が負担する格好です。東精エンジニアリングの社長になり、台湾、中国両子会社の社長にもなったので、このような方法が可能に。

報告書では、リーダーシップが強すぎ、暴走する社長をだれも止められなかったと、、、。先日のシャープ同様、東京精密の子会社管理についても不十分としています。