ケンコーマヨネーズなど 役員退職慰労金制度の廃止

ケンコーマヨネーズ株式会社は4/27、「役員退職慰労金制度廃止に関するお知らせ」を公表しました。同じ日、モリテック スチール株式会社も、同じく役員退職慰労金制度の廃止を公表しています。最近よく目にするんですよね、この制度の廃止に関するお知らせ。

役員退職慰労金制度

役員退職慰労金とは、会社の役員である取締役や監査役が退職した際に支給する対価のこと。会社法上の規制等の違いはありますが、従業員の退職金みたいなものです。長年その企業のために尽力してきた役員に対し、その功績に報いるという目的でこの制度が使われてきました。

その役員退職慰労金制度の廃止を決定する企業が、最近目立ってきました。冒頭紹介した2社のほかにも、ここ1カ月間に、中央製作所、リゾートトラスト、カチタスの3社も決定を開示しています。株主総会に付議するためこの時期に決定するという事情もありますが、新型コロナの影響で業績が悪化し、、、というのも理由の一つでしょう。

役員報酬制度の見直し

今回紹介した5社はいずれも、役員退職慰労金制度を廃止するとともに、役員報酬制度の見直しを表明しています。ケンコーマヨネーズの開示では、「役員報酬制度の見直しの一環として、後払い的要素が強い本制度を廃止し、業績との連動性を高めた報酬制度設計へ移行する」と説明しています。

他の4社も異口同音に自社の業績との連動性を強める方向へ、役員報酬制度を見直そうとしてます。この流れは止まらないでしょうね。

現役員の制度廃止までの在任期間に対する退職慰労金は、もちろん支払われます。このことを「打ち切り支給する」と言うんですね。各社同じ言葉を使っています。初めて聞きました。

継続雇用や再雇用といった制度がない役員。退任時に入ってくる(あらかじめ計算できる)退職慰労金、ありがたいんですけどね。

関西電力の会長、社長 他企業の社外取締役や社外監査役を辞任

週末の日本経済新聞のニュースです。関西電力の会長、社長が他企業の社外取締役や社外監査役を辞任するとのこと。また、別の面では、同社監査役が金品授受の実態を把握していたにもかかわらず、取締役会への報告を怠っていたことも判明したと伝えています。

社外取締役や社外監査役を辞任

前回、会長、社長とも速やかに辞任すべきと書きましたが、その前に社外取締役等の社外職を辞任するようで。しかし、笑っちゃいますね。一億円以上金品受け取ってた人達が社外では取締役会の御意見番やってたってことですからねぇ。社外取締役や社外監査役を続けていると、その企業に迷惑をかける、、、と考えたんでしょうか。だったら、関西電力に対しても同じことです。

関与したことが判明している会長、社長ほか関与していた役員の辞任は速やかに行い、第三者委員会による公正な調査を実施してほしいですね。そして何より重要なのは、過去の不正・不祥事に対する是正対応と、今後の原発再稼働の是非という問題をしっかり切り離して議論することです。当事者たちに限らず、我々国民としてもその点を意識して見守る必要があると思います。

監査役の報告義務違反

前回、金品を授受した取締役について、会社法の「会社取締役の収賄罪」の適用もあるかもしれないことを書きました。こちらは、会社取締役の贈収賄罪を規定した会社法第967条第1項です。

そして今度は、会社法第382条。監査役の取締役会への報告義務違反が発覚しました。もう、何のための監査役なんだか、、、って感じです。不適切だが不正とまでは言えない、、、って解釈なんですかね。382条の条文を載せておきます。

第382条(取締役への報告義務)
監査役は、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を取締役(取締役会設置会社にあっては、取締役会)に報告しなければならない。

日本企業の外国人取締役

朝のジョギング中に何となく思い出していたお話です。日本企業における外国人取締役が次第に増えてきました。もっとも有名どころでは、やはりカルロス・ゴーン氏でしょうか。もうこの人の説明は不要でしょうが、日産の会長職、取締役を解任されました。

もう一人外国人取締役をあげなさいと言われたら、皆さんはだれを思い出しますか。kuniは歩きながらオリンパスのマイケル・ウッドフォードを思い出しました。最近だと、アイルランドの製薬大手シャイアーを買収した武田薬品工業のクリストフ・ウェバー氏が有名ですかね。この人も10億円プレイヤーです。

ちょっと脱線しますが、武田薬品は証券業界では「タケチョー」と呼ばれます。創業者の名前が武田長兵衛ということで、この呼び名になったんだと習いました。なんと1781年創業です。

マイケル・ウッドフォード

日本を代表する自動車メーカーである日産自動車で特権を濫用、その悪事がどこまで拡大するのかわからなくなってきたカルロス・ゴーン氏。彼の国籍はブラジル, フランス, レバノンだそうですが、マイケル・ウッドフォード氏は英国人です。二人の共通点は会社からトップの座を追われ解任されたことです。また、両社ともに巨額の不正を行っていたことも共通しています。

一方で決定的に違うのは、ゴーン氏が不正の行為者であるのに対し、ウッドフォード氏は巨額の不正(粉飾決算)を告発しようとした人物であること。正義の人だったんですね。ゴーン氏の不正がこれだけ大きく取り上げられているのに対し、当時のオリンパス、ウッドフォード氏にはそれほど大きな反響はなかったように思います。

日本人が好きなストーリー

やはり日本人は外国人が悪役で、日本人がそれを懲らしめるといったストーリーが好きなんだろうか。ゴーン氏の報道を見ていてそう思いました。kuniが子供のころ、かなり高い視聴率をとっていたプロレス。この世界はまさにそうで、ヒールの外国人レスラーをジャイアント馬場やアントニオ猪木が懲らしめる。このストーリーで日本人を熱狂させていました。

オリンパスでは三代にわたって日本人社長自がら関与して粉飾決算を続けていました。その金額は2000憶円を超えていたと思います。この不正に立ち向かったのが英国人新社長のウッドフォード氏だったんですね。日本人の大好きなストーリーの真逆だったわけです。どうにも報道も盛り上がりませんし、世論もなんとなくオリンパスに味方してるようなところもありました。

今の若い人たちにはこういう感覚ないんでしょうが、昭和に育った世代にはこういう風潮があったんじゃないかと、今朝歩きながら考えていた、、、というお話でした。