創業家内で対立 はるやまホールディングスでも

はるやまホールディングスは5/25、「株主提案に対する当社取締役会意見に関するお知らせ」を公表しました。大株主である創業者の娘(現会長の姉)が、現会長らの取締役再任に反対する株主提案を同社に出したということです。また出てきましたね、お家騒動。

はるやまホールディングス

はるやまホールディングスは、ビジネスパーソン向けのスーツなどの衣料品およびその関連商品の販売を主な事業とする企業。大型駐車場を持つ郊外型店舗と都市型店舗の2業態で出店しています。岡山県岡山市に本社を置く、東証スタンダード市場上場企業です。

株主提案の概要

ちょっとややこしいんですが、創業者の息子が現会長。で、その会長の姉が岩淵さんという方で、今回の株主提案をされた方のようです。つまり、創業者の次の世代の姉弟で争いが始まったということですね。まさに創業家内での争いです。

岩渕氏は正史氏(現会長)や中村宏明社長を取締役候補から外し、元専務の野村耕市氏など4人を選任するよう求めているということです。再任反対の理由について「(新型コロナウイルスの感染拡大で)創業以来最大の危機だ。正史氏に経営させていては立ち直れない」としています。

コロナの影響も小さくはないんでしょうが、紳士服業界全体が完全に終わってますよね。コロナとは関係なく、ビジネスマンはネクタイをしなくなりましたし、クールビスや私服OKの企業が増加していて、スーツなんてほとんど不要になってきました。

株主総会は6/29

昨年の株主総会でも、創業家や一部の機関投資家が正史氏の取締役再任に反対票を投じてたんですね。その時はなんとか交わしたみたいですが、さてさて今年の総会はどうなることやら。こんな内輪もめに興じてられるような業界だとは思えませんが。

ナイス(旧すてきナイスグループ) 創業家との決別

昨年、当ブログでも粉飾決算で取り上げましたナイスグループ。今年3月末、またナイスに商号変更してたんですね。2007年までの旧社名に戻っています。創業家の会長らが逮捕され、粉飾決算が発覚。9/3、この不祥事に対する改善対応の状況を開示しています。

おさらい

元会長が100%保有するA社、その100%子会社にB社という会社があります。このB社にナイスの約30億円の在庫物件を買い取らせていた。B社は資本上はナイスと一切関係ありません。ところがこのB社が買い付けに投じた30億円は、実はナイスから融資された資金。

資本関係はないが、元会長が支配する会社を舞台に、在庫物件を売却して、会計上認められない売り上げを計上し、利益も上げていたという事件でした。

当社元代表取締役会長らとの合意について

というのが開示のタイトルです。改善計画の中であげていた「粉飾決算主導者に対する責任追及」、、、これにに関しては、弁護士を通じて交渉を重ね、ナイスが被った損失の補てんとして元会長らから、1億4200万円の支払いを受けることになったそうです。

また、「創業家との決別」に関しては、創業家が発行済株式の100%を保有していた同社連結子会社(開示文書では2社の社名あり)の株式を、同社グループ会社で譲り受けることで合意したとのこと。

しかし、1億4200万円はちょっと少な過ぎやしませんかね。この粉飾決算で、東京証券取引所からは上場契約違約金として3360万円を徴求され、金融庁からは課徴金2400万円を納付させられています。違約金と課徴金の分は十分担えたという判断でしょうか。

改善対応は着々と進んでいるようですが、今年3月時点で、同社の10番目の大株主に元会長が残ったままですね。個人株主としてはトップ、2.43%で23万4千株の保有。創業家との決別、、、これだけはちょっと気になりますね。

アドバネクス(5998) 訴訟の判決(勝訴)に関するお知らせ

8/28、株式会社アドバネクスは、同社株主である加藤氏らから提起されていた訴訟について、東京地裁より判決(勝訴)の言渡しを受けたことを公表しました。アドバネクスは昔の加藤スプリングですね。提訴していたのは加藤雄一氏。同社の三代目社長(創業家)です。

創業家対筆頭株主

この創業家の三代目社長(当時は会長)が2018年の第70期定時株主総会で再任を否決され、事実上解任されたという事件。この解任劇を主導したのが、筆頭株主のAAA株式会社と言われています。というか、その代表の朝田氏ですね。この方が当時の社長や常務と協力して会長を解任に追い込んだといわれています。

その後、元会長は第70期株主総会の決議の無効を訴えましたが、東京地裁はこれは棄却します(2019年3月8日)。6月の第71期定時株主総会には自身を含めた取締役7名選任の件を株主提案しますが、やはり否決され返り咲くことはできませんでした。

さらに上記訴訟の控訴審に関しても、請求はいずれも棄却(2019年10月17日)。そして今年の定時株主総会に対しても、自身を含めた取締役8名の選任の件を株主提案しています。ただ今年の定時株主総会は6/4に日程が延期され、9/24に開催予定です。

またまた棄却

元会長はさらに第71期定時株主総会での決議に関して無効を求めて提起しますが、東京地裁はすべての請求を棄却しました。またまた会社側の勝訴ですね。これがこの記事のタイトルにある勝訴です。

創業家には創業家なりの会社への思い入れがあるんでしょう。気持ちは分からないではないけれど、、、。乗っ取られたという想いなんでしょうね。どこまで続けるんでしょう。