東急不動産ホールディングス(3289) 「発電するデベロッパー」へ

10/5付け日本経済新聞に、「東急不動産 『発電するデベロッパー』へ 再エネ供給始動」という記事がありました。ひょっとしたら電子版だけの記事かもしれません。東急不動産が発電事業を一気に拡大し、再生可能エネルギーでトップ集団入りを目指すという内容です。

オフィスビル事情

東京ビジネス地区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)での8月のオフィスビルの平均空室率は6.31%で、前年同月の2倍だそうです。新築ビルは10.61%と2カ月連続で2桁となり、もはや「オフィスをつくれば埋まる」といった時代は終わってしまったようです。

不動産業者同士の競争が熾烈になってくるわけですが、そこでの差別化として、「東急不動産が提供するビルはグリーン電力が供給されます」と。テナント企業からは実際、どんどんやってほしい、という要望が入っているそうです。テナントとしても自社の使用電力は100%再エネ由来、ということがウリにできます。これはなかなか良い発想ですね。

再生エネ発電

同社は既に、日本でも有数の良い風が吹く北海道小樽市に10基の風力発電機を持っているそうです。これを含めた再生可能エネルギーの発電設備は8月末時点で67あり、出力は1197メガワットと原発1基分以上だそうです。凄いね。

東急不動産の21年3月期における再エネ事業の粗利は40億円近くあるそうで、近い将来、これを2~3倍に引き上げ、主力事業の1つにまで育てるとしています。同事業を一気に拡大し、再生可能エネルギーでトップ集団入りを目指すということです。

さすがに「近い将来」という漠然とした表現になっていますが、経済、産業の潮目が変わるとき、まさにこうした経営判断が求められます。非常に期待が持てる判断だと思います。

岩谷産業 川崎重工など4社で輸入 グリーン水素

岩谷産業は9/15、「日豪間での大規模なグリーン液化水素サプライチェーン構築に向けた事業化調査の実施 ~日豪6社で覚書を締結~」を公表しました。日本勢は岩谷産業、川崎重工、関西電力、丸紅の4社です。

豪州で生産

オーストラリア側は、エネルギー・インフラ企業であるスタンウェルとAPAという企業。オーストラリアで再生可能エネルギーを使用してグリーン水素を製造し、液化して運搬船により日本へ直接運ぼうというプロジェクトです。

まだ、「事業化調査を共同で実施することに合意し、6社で覚書を締結しました。」という段階ではありますが、国土が狭く再生可能エネルギーの実用化には相応の技術革新が必要と言われる日本。技術革新も期待ですが、一方でこうした他国と組んで開発を進めていくという選択肢も重要です。

プロジェクトでグリーン水素製造を想定している、オーストラリア クイーンズランド州は、年間300日以上晴天が続く気候で、再生可能エネルギーのポテンシャルが非常に高い地域なんだそうです。

岩谷産業とスタンウェル社は、2019年から大規模なグリーン液化水素の製造、および日本への輸出に向けた調査を行ってきました。この調査結果を踏まえ、事業化に向けた検討を本格的に実施すべく、今回日豪6社での事業化調査に発展させるというわけです。

長期安定的かつ安価な水素製造・供給を行うことを目指しており、2026年頃に1日100トン以上、2031年以降には1日800トン以上の水素生産規模を想定しています。ちなみに、現在の日本の液化水素生産量は1日30トン程度。現在の日本における約26倍の生産規模を目指すということですね。期待しましょう。

日立造船(7004)が暴騰 688円

日立造船(7004)株式が1/8、年初来高値を更新しました。株式市場では洋上風力発電関連(実は他にもいろいろ取り組んでます)として人気を集め、昨年末から急動意。先週末の8日には一時688円まで買われました。ものすごい勢いでしたね。

4/14 339円

実はこの銘柄、4/14付けで当ブログでも取り上げました。タイトルは「日立造船 浮体式洋上風力発電 安価な新工法」という記事。日本経済新聞の記事をもとに調べてみたものです。かなりしっかりした技術をもっている会社でした。

当時の株価は339円。コロナショック後の株価ですのでかなり安い。が、しかしこの辺りではなかなか手が出せないところ。その後コロナショックからいったん回復を見せた6月上旬。ここでの株価は400円前後。その後11月までは400円~450円で推移します。

菅総理大臣が、10/26に行った所信表明演説で、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」と表明したことで、水素やEVなど、温暖化関連銘柄全体に買いが波及していきます。

12/10 433円(+24)

12/10、日本経済新聞が「電気自動車(EV)の次世代基幹技術として本命視される『全固体電池』の実用化への動きが官民で加速し始めた」と報じたことを受け、既に硫化物系固体電解質を使用した全固体リチウムイオン電池を開発済みの日立造船が物色されたといいます。その後、再生エネ関連としても人気を集めることに。

出来高が一気に膨らみ、315万株。それまでは100万株出来ることが珍しい株でしたから、短期投資ではここが乗りどころでしたね。わずか1か月足らずで5割高です。三桜工業株もそうでしたが、技術を持っている会社、流れが来たときの相場は魅力的です。

とはいえ、ここから先はよほど小回りの利く投資家でないと難しいです。kuniはもう手放しましたので、悪しからず。

グリーン水素 ブルー水素 グレー水素

1/5付け日本経済新聞、「水素開発にEU60兆円」という記事がありました。今大注目の水素ですが、製造過程の違いで色分けして区別するんだそうです。タイトルの通り3種類に分けているようで、製造過程でCO2がどうなるか、の違いなんですね。

グレー水素:化石燃料から取り出す水素のことで、低コストで大量に製造できますが、CO2が大気中に放出されます。

ブルー水素:製造過程で生じるCO2を回収・貯蔵することで、カーボンニュートラルになる水素。

グリーン水素:再エネ由来の電力で水を電気分解して生成する水素。CO2は出ませんが、現状では最も製造コストが高くなります。

こんな感じです。で、当然現在ではこのグリーン水素をいかに低コストで製造するかが課題になっているということです。

海水からグリーン水素

記事ではオランダ北部で英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルが取り組む、再生エネと海水で作る水素を紹介していましたが、これは日本にも非常に参考になるアプローチですね。

同じく日本の取組みとして、福島水素エネルギー研究フィールドが紹介されていましたが、ここでは再生エネに太陽光発電を利用しているようです。狭い国土に四方を海に囲まれた日本。太陽光発電にはやや限界がありそうです。

いっそのこと洋上風力発電と水素生成施設を一緒に海上に作ったらどうでしょう。過去に飛行場にも使用できていたメガフロートの改良版みたいな土台の上に、風力発電の風車も施設も載せて、水素を生成。メガフロートの端には水素運搬用のタンカーが横付けできるみたいな。

イメージとしてはほぼ石油掘削リグみたいなもんですね。土地の買付不要。周辺への公害無し。運搬のためのパイプライン不要。風が少なく日照に富む海域であれば、メガフロートの上に太陽電池を敷き詰めて施設も設けるというのもありですかね。どうでしょう、専門家の皆さん。

風洞発電 ゼナシステム株式会社

10/2付け日経産業新聞で読んだ記事がこの風洞発電システム。再生エネルギーの新たな担い手として、日本でも風力発電が注目されてきましたが、この風洞発電なるモノは正直初めて知りました。で、これがなかなか凄い技術のようです。

風洞発電「WIND TOWER」

ゼナシステムは福岡県久留米市の会社で平成10年に設立されてますね。この会社が世界で初めて開発したのが風洞発電「WIND TOWER」です。いわゆる風車の形をしていません。上から見ると6角形のビルのような建物(6面体の立方形)ですね。

どの方面からでも、どの高さからでも、風の強弱に関係なくすべてを捉える。そして一度捉えた各々の小さな風は3点圧縮により、集合体となり、さらに風の抜け道に向かって風洞内にて再度力を集合して出口に向かいながら加速していくといいます。

排出側に気圧を変える装置が備えられ、強い風流体を生み、これまで考えつかなかった風エネルギーを作り出します。この風が風洞の中を降りていき、複数の発電機の風車を回転させるということです。ん~、この技術、説明が難しいなぁ。

従来型を圧倒する性能

従来型は一般的に上空に6メートルの風速がないと発電できないそうですが、このWIND TOWERは約2メートルで発電可能。発電能力に対する実際の発電量を示す設備利用率は、従来型風力で2~3割。日照に左右される太陽光発電では1~2割だそうです。

WIND TOWERは全方向の微弱な風で発電できるため、稼働できないことはほぼないとのこと。実現すれば旧来の再生エネに比べ効率を大幅に引き上げられそうです。また、火力や原子力を含めた他の発電手段と比べても、発電原価は抑えられるとも。

来年の6月にWIND TOWER実証機(高さ92メートル)が完成するようです。楽しみですね。この技術、一人で開発してきた同社の社長、、御年79歳だそうです。kuniもまだまだ頑張らねば。。。